隣の芝生はどうしたって青く見えてしまうけれど…

僕はどうも、常に焦っているような気がしています。周りの人たちの活躍を見て、「自分も何か大きなことをやらなきゃ」と、常に他に目を向けていて、気づいたら大事なものを見失っている。そんなことを繰り返している気がしてなりません。

稼ぐ力を身につけなきゃと、個人事業を立ち上げたのは2年ほど前。漫画のお仕事を取って食べていく道を選んだけど、1年半経っても業績がうまく伸びずに挫折しました。今度は大好きな創作に集中しようと、「短編創作100本チャレンジ」を掲げたもの、10本目を投稿し終えたところで手は止まってしまいました。

「やっぱりお金は稼がなきゃ」

資本主義社会という現実が頭から消えません。

タイムラインを眺めていると、僕の目に映るのは事業で成功した人ばかりです。「月収30万円稼ぎました！」とか、「トークイベント大成功でした！」とか、「新サービスローンチました！」とか。彼らを見ていると、「自分も何か大きなことをやって、お金を稼いでいかなきゃ」と、無性に焦ってしまいます。

少し前から営業について勉強しだしました。やっぱり、個人事業を挫折したまま終わるのは悔しいし。目に映るのが事業で成功している人ばかりだから、自分もつい「そうしなきゃ」と思ってしまうし。

でも、だからといって、また漫画の仕事を請け負うことを生業にしてしまうと、大好きな創作ができなくなってしまうことは目に見えています。

「また同じことを繰り返すかもしれない」

当たり前だけど急に大きくなることはできません。僕にはまだ力がないから、人をたくさん動かしてサービスを開発したり、100万円の広告費をかけて事業を宣伝したり、大きな会場を借りて3000人集めて講演したり、そんなことはできません。今は、目の前のことを一つずつクリアしていくしかないんです。いくら焦っても、できないものはできないから。

僕が今クリアしなきゃいけない壁は、「面白い作品を作れるようになること」です。

創作から道を逸れずお金を稼いでいくために、現時点で僕がしなきゃいけないことを何度も何度も考えた結果、この結論に至りました。ここさえクリアできれば、創作の道から逸れずに売れる商品を生み出せるし、創作の道から逸れずに売れる商品を生み出す自分を売り出せる。何より、創作の道から逸れると幸福感や充実感を感じられなくなることは、漫画事業に奮闘していた頃の自分が証明した。

だから、「短編創作100本チャレンジ」なんていうアホな目標を自分で掲げたし、だから、10本目まで勢いで描いてきました。

でも今また、隣の芝生が青く見えています。

違う。そうじゃない。

「月収30万円稼ぎました！」とか、「トークイベント大成功でした！」とか、「新サービスローンチました！」とか、そんなのはどうでもよくて、そもそも他人の道を追いかけるような真似をする必要なんかなくて。

僕はただ、自分で建てた「創作を100本作る」っていう壁を、自分で乗り越えていけばそれでよくて、そんなアホなことやってる僕の姿を見て、面白がってくれる人がいればよくて、壁を乗り越えたら、また新しい壁を自分で作ればそれでよくて。

自分で言い出したことだし、力をつけなきゃ何も始まらないし、そもそも複数のことを同時に実行できるほど、器用な人間でもないし。今は多分そういうフェーズなんだなと。自分で建てた壁を一つずつ、クリアしていく他ないんだと。

とりあえず100本描き切ってから、次を考ればいい。

今できることをやればいい。

そんなことを、ぐるぐると考えています。

資本主義という現実は確かにあって、僕はまだ、そんな現実に追い詰められる側にいます。そんな現実をきれいに渡り歩いている人を見ると、どうしても輝いて見えてしまいます。

隣の芝生は、どうしたって青く見えてしまいます。

だからと言って、彼らのように、今すぐ大きなことをできる力はありません。彼らだってきっと、今の僕のようなフェーズがあったはずです。今の僕のような状況でも、日々積み上げて、壁を乗り越え、大きくなっていったはずです。今できることをやる他に、道はありません。そんなに焦らなくても、少しずつ大きくなっていけばいいのです。

僕はとりあえず、創作漫画を100本描き上げます。自分で建てた壁を、自分で乗り越えます。

お金は別に、キレイに稼がなくたっていいです。自分の時間を売って稼いだっていい。最悪誰か助けてください。10本目で停滞している「短編創作100本チャレンジ」に、今一度、本腰を入れて取り組みます。1年後、今よりほんの少し大きくなっている自分に、小さな希望を抱きながら。

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かいち
漫画家｜9's｜代表作「仮想通貨体験記」▶︎http://bit.ly/2CDVSzD｜漫画で伝えたいこと伝えます。夢は作品を世界へ届けること。僕の作品を通して前向きに生きる人が増えてほしい。｜

▼現在の挑戦
・短編創作100本チャレンジ
・1年間、毎日女子をいていく毎日女子

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