The Sound of Goodbye

ぼちぼち進めていた記事のサルベージ作業が一通り終わったタイミングで、フォローなどしていただいている方に向けての事情説明としてこの場で書いておきますと、これまで仕事関連のことを書いていく場所として設定していたnoteを辞めて自分の仕事用サイトに移すことにしました。

カイ支店 – あなたの街の開始点
https://kai410.me/

理由としては予想つく方もいらっしゃるかもしれませんがこれです。

【再発防止策】IPアドレスが外部から確認できた事態について|note株式会社
https://note.jp/n/naf3775e93a58

不具合が起きること自体は仕方ないことでそこを責めるつもりはありません。スタートアップ規模の会社はこういう不具合や失敗を乗り越えて改善してこそ次につながるもの、というのは自分もとても強く経験しているので。

ただどうしてもひっかかるのは、最後の最後までIPアドレスは個人情報ではない、として突っぱねているその姿勢です。

もちろん技術的にIPアドレスで個人を完全に特定できるわけではない、というのは「理屈としては」理解できます。しかしながら、IPアドレスがわかってしまえば、ある程度その人の属性が特定できることもあります。

過去には有名なゲートキーパー事件というものがあり、ソニーばかりを褒めて他者を攻撃していた人が実はソニー社員だったということがあきらかになりました。これはIPアドレスから把握できるホスト名で明らかになった事件です。

ゲートキーパー問題 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%95%8F%E9%A1%8C

ここまでおおごとではなかったとしても、IPアドレスがわかればおおまかな住所だったり、もしくは所属している会社や学校などが特定できてしまうこともあるし、それが明らかになることで被害を受ける人もいるでしょう。

たとえば株で一儲けしていまは海外で暮らしている人のライフハック術、みたいなnoteが実は国内のIPアドレスだったら(嘘をつくのは別問題として)その人のブランディングとしては大問題です。ゲートキーパーのように特定の製品をひたすら褒めていた人のIPアドレスが実はその会社だった、などということもあるかもしれません。

そのあたりの具体例をまとめてくれているnoteがあるので、該当箇所を引用しつつリンクしておきます。

このIPアドレスの回線は、auひかりとしてKDDI株式会社から提供されているものの、マンション向けのインターネットサービスを提供している株式会社テンフィートライトの管理下にあることが分かります。

この会社の管理下にあるということは、マンション一棟での全部屋に導入する契約でしょうから、この会社と契約しているマンションを探せばいいわけです。

特定の個人と、IPアドレスからおおよその住所を紐づける事が可能なのです。

特に女性は、嫌だと思います。

noteのIPアドレス漏洩の本当の問題点|竹洞 陽一郎|note
https://note.com/takehora/n/n2a35598e8c95

また、noteの説明記事では明確にかかれていませんが、今回の騒動はとあるVtuberとそれに関する誹謗中傷に端を発して見つけられた不具合のようです。

8/14の「noteの利用者IP流出騒動」で変わった状況 楠栞桜氏のストーカーとされ..
https://anond.hatelabo.jp/20200816212222

本件に関しては当事者ではないので何が真実かどうかはさておき、とても興味深いのは上記の記事にもあるオンライン麻雀において「IPアドレスの制限によって同一の卓に座れない」仕様がある、という記述です。

前提として、天鳳では不正防止の為「同一IPは同卓に座れない」というルールがある。

本当にこの仕様が実装されているのかまで確認はしていませんが、IPアドレスを使えばこういうことはできるし、不正防止としてこのサービス以外でも使われているかもしれません。そしてこういうことがIPアドレスでできてしまう以上、IPアドレスは特定の条件下によっては個人を特定情報できるとても重要な情報にもなり得ます。

ここまでの話でなくても、繰り返しながらプロバイダーによっては居住エリアや所属組織がある程度わかってしまいます。それを「IPアドレスは個人情報ではない」の一点張りで、IPアドレスが特定されたことで何かしらの被害を被る人がいることが考慮されない一連のリリースは、個人としてnoteへの信頼を失うには十分なものでした。

ちなみにnoteの声明では、IPアドレスで地域や所属が判明する可能性については言及されてはいます。

一般的に、IPアドレスからは以下のような情報を把握できることがあります。

・利用しているインターネット接続事業者名
・発信者の大まかな地域

利用者本人が特定される、といった指摘も見受けられますが、一般的なIPアドレス単体から、利用者の住所氏名やメールアドレス等を割り出すことはできません。回線種別によっては、会社名や建物名等が判明する可能性は存在しますが、それ以上の個人まではIPアドレス単体から紐づくことはありません。

しかしここまでの事実を確認していて、なおかつ会社名や建物名が判明する可能性まで言及しておきながら「個人情報には当たらない」と明言するその姿勢はさらに不信感を募らせます。ストーカーが付くような人気者がIPアドレスで建物なり職場なり居住エリアがわかってしまうことの恐ろしさはnoteとして心配の対象外なのでしょうか。

IPアドレスが特定されることで個人もある程度特定されうる可能性があり、それが何らかの被害を受ける可能性があることについて、技術的にまったく理解できていないのならそれはそれで問題ですし、理解した上でこういう姿勢を取っているならそれもそれで信頼が置けるサービスとは言えない、こういう場所に自分の文章を預けたくは無いな、というのが長くなりましたが今回の経緯です。

まあ、使ってみて個人的には文章を書く場としてあまり使いやすいとは思えないこと、表現の種類が少ないこと(特に見出し回り)、複数人で更新するマガジン機能なのにURLは1ユーザーに紐付く仕様がセンスとして理解できないことなどなど、そもそもサービスとしてそこまで満足して使っているわけでもなく、人気のサービスを使う勉強の意味が強かったので、これはこれでいい機会かなと思います。

なお、個人的には文章を預ける場所として離脱しますが、これはあくまで個人の考えであり、他に強制するものではありません。フリーランスで仕事受けている中にはnoteで更新しているところもいくつかあり、そういう仕事では淡々とnoteを使うことになると思います。そういう意味ではnoteの仕様は仕事で確認できるからますます個人で使う必要もないな、と。

今回の事件と一連の経緯、そしてnoteなりの着地を見て、noteで書く気持ちがどんどん低下していったのですが、ああなんだかんだ自分の文章って自分にとって大事な存在なんだな、と改めて気がつくいい機会でもありました。そういう意味では大事な文章を一切エクスポートできないというnoteの仕様も好みに合わないので、手作業でできる範囲の記事数で見切りを付けられて良かったなとも思います。

そしてnote記事の移行作業をする中でブログ更新意欲が割と高まってきつつ、この問題について何かしら表明しないとブログに手を着けられないな、という気分だったので、やっとこさ吐き出せて個人的にはわりとすっきりしました。ここからは新天地や今までのブログで書きためてた内容を頻度上げて更新していきたいと思う次第です。

じゃあの。

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