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“神客”と“神対応”と推し

「良きオタク」はアイドルが育てると思っている。
「神対応」は良きオタクによって生まれると思っている。

推し方で、「良きオタク」も「神対応」も生まれると思っている。
「良き推し方」をされてるアイドルは「良きアイドル」だと、思っている。


メンズエステで働いていた時、店長が時々「元々なつきさん(仮名)のお客様なので、神客だと思いますよ!」と言ってくることがあった。

なつきさん、というセラピストは私が入店する前に退職してしまった方だったが、お客様からもよく名前を聞いた。
「かほちゃん、なつきちゃんから教わったの?」
「なつきさんは良いセラピだったよ〜」
「なつきさんはさ〜」

私は見ることも出会うこともなかった“なつきさん”を尊敬していた。
私も、辞めてからも誰かの話に出てくるような、
神客を育てるようなセラピストになりたい。

以前の記事で書いた「クソ客は育てる」というモットーは半分くらい、なつきさんへの憧れから生まれたモットーである。

その憧れを胸に働いていたからか、ある日スタッフさんに
「かほさんはフリー新規回されがちですよね〜!育てるのうまいから!」
と言ってもらうことができた。
あの日は嬉しすぎて、入ってくれた本指名の方にウキウキで報告したら「危ない人多いのに…。店長にクレーム入れようかな…」と眉をひそめさせてしまった。(本当に私のお客さまは神客なんだよな〜)

神客と神セラピストと神対応は、循環してる。

神セラピストによって神客が作られ、神客なので神対応も生まれやすくなり、更に神セラピストになる。

アイドルも、近いところがあるように思う。

「良きアイドル」によって「良きオタク」が作られて、「良きオタク」が相手なので「神対応」が生まれる。

時々「☆☆はファンの質が悪い」とか「ファンが痛い」とか言われることがある。
これはアイドルに限らないけど。

アイドルに限らないからこそ言うけれど、ファンの質が悪いのはアイドル側(演者側)がファンに興味がないからだと思う。

別にファンに興味がなくても良い人たちは沢山いる。
例えば自分の音楽や作品と向き合うことを最優先させたアーティストや、自身の結果と向き合うスポーツ選手などはファンの顔色なんて伺う必要もないし、ファンの感情や想いなんて考える必要はない。
何も知らないキモい他人の「ファンサ全然ないよね〜」なんて言葉は何も知らなすぎてキモいので、無視で良いと思う。

それに準じる形で、お笑い芸人や俳優も考え方が「自身の芸や演技を追求する」というところに軸足を置くならば、ファンの気持ちなんて無視で良いと思うので、ファンを育てる義務なんて微塵もない。

でもアイドルの仕事は違う。

ファンを喜ばせること、幸せにすることが仕事だ。
ファンと向き合うことが仕事だし、愛されることが仕事だ。
愛することも、仕事だ。

だから自分のファンが自分の思うようなリアクションをしてくれないのは自分に原因があることも、大いにある。

もちろんこの世は広くてキモいので、普段全く応援してないくせに何かがあると急にファンを自称する奴もいる。
そんな奴はファンというより人間でもないのでカウントする必要はないと思う。

ちゃんと自分にお金を落としてくれたオタクを「育てる」のも、アイドルの仕事なのだろう。

育てる、というのは
自分が結婚したり引退することを否定させない(活動中に依存させすぎない)というのも含むと思うし、生涯アイドルでいると決めているなら「老いを許してもらう」というのも含むだろう。

それを個別にではなく、対集団に行うのは至難の業だと思う。
少なくとも、わたしには無理。

やってのけてるアイドルもいる。その人達は本当にすごいと思う。

“推し”という言葉が一般化して、オタクという存在が寛容に認知された現代社会、その中でプロになるには
神となることが本気で求められてるんだなあ、と
毎日のように誰かが炎上しているSNSを眺めながらダラダラと考えてしまった。


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