おしまいの覚書(学校)

 病院の帰りにMが言った。先生(イケボ)に報告する必要はないだろうかと。コルセットを着けて生活すると体育座りができないのだが、それだけで結構影響があった。何しろ中学校とは集団行動で、座らせるつもりなく集まった場面でちょっとその場に座ってなどと急に指示があることは少なくなく、するとみんなと同じにその場に座れないMは列から外れて端で立ってるとか、困ることがあるよと話していた。
 学年の先生がたはご存知なので、ああアイツイス持ってきてなかったななどとはちらとは思うのかもしれないけど、ほとんど意に介していないから集会で突発的にその場に座れとかはフツーにあるわけで。
 それが急に明日から困らないのである。
 明日から急に、みんなと一緒に座れちゃうんである。
 良くないことは電話して、良いことは電話しないのはなんか違う気がするんだよねとMは言った。我々は年度始めにその件で電話をしている。なるほど外れる連絡もした方が筋が通っているだろう。
 じゃあMが自分で電話をしたらいいだろうと言うと、エッヤダ、と返ってきた。だが、学校や先生とのことは親には分からないんだよすでに。だから自分で電話してくれと。
 この日は先生がたの定例会議の日で、おそらく今は電話に出られないと思うから遅めの夕方電話してみればどうだろうか。今は早めの夕方だ。
 そこで、家に着いたMは先生に伝えるべきことを箇条書きにして、2年丙組のK山M子(仮名)ですイケボ先生(仮名)はいらっしゃいますかと練習を始めた。
 マジメか。
 そうこうしている間に先生に電話をするにはちょうどいい時間になったのでMは電話をかけた。5分かそこらで会談は終わった。電話に出たのが先生本人だったので名乗りの緊張はイケボの私だ!で台無しだったらしい。
 明日から着替えに保健室に行かなくて良くなること、体育座りができることを伝え、急にみんなと同じになるます。と言ったらそうですか分かりましたで終わった。良かったねとかは言われなかったそうだ。
 そういうことで次の日から身軽に学校へ行って、朝イチ保健室へ報告へ行ってよくお礼を伝え、事情を知る数少ないメンツに今日から一緒に座るよと言うと、お、おう…と返ってきて特に何も言われなかったそうだ。
 コルセットのことは公にしなかったのは正解で、すっと集会の列に戻ることができた。これをもしクラスで周知されていたらまた全体に話す必要があっただろう。考えただけでめんどうだ。
 配慮を受ける方がどうしたいか決めていいって真実である、がよく理解できた話。
 余談だが、その後運動器検診がありやってきた整形外科の先生に申告すると見た目では分からないよ?と言われたそうだ。この状態なら再検査の紙は来ないんだろうか。背が伸びると角度が同程度なら気にならなくなるのかもしれない?よく分からないが、Mは治療をした人だから、それが治療の成果なんだな良かったな、と思っている。
 そこまで思って、良かったねが出るのが本当だ。イケボ神かよ、言わねぇの。