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🎩BLワールド備忘録🧢ノベライズ編🌹『ダブルバインド』

英田サキ著
イラスト:葛西リカコ
キャラ文庫

夢の島で猟奇的な餓死死体が発見された。警視庁刑事の上條嘉成は第一発見者の少年に話を聞くため深川南署に向かった。少年はその時の記憶がないと言う。そこへ保護者として現れたのは上條の高校の後輩、瀬名智秋せなちあきだった。
「お前、あんまり変わったから全然わからなかったよ」
「上條さんこそ、昔はあんなに爽やかだったのに、今は…」
華奢で女の子のように可愛らしく、人見知りだった瀬名が、はにかむように自分を見上げていた顔を思いだし、イケメンへと変貌を遂げた目の前の男に嫌みを言われて、上條は悲しくなった。
捜査に追いまくられ、ろくに風呂にも入れないしがない刑事の上條には反論の余地はない。
瀬名はアメリカでいわゆる臨床心理士の仕事をしていて、第一発見者の少年、真宮祥には精神疾患があると言う。
事件の鍵は、祥の消えた記憶にあると見た上條は瀬名と祥に協力を求めた。
さらに、もうひとりの犠牲者が暴力団東誠会絡みであったことから事件は思わぬ方向へ。東誠会の若頭、新藤は瀬名の従兄弟だった…!新藤の愛人、葉鳥忍は瀬名に対して激しい嫉妬心を露にする。
ふたりの間にただならぬ過去があることを知った上條は?
祥の記憶に隠された犯人像とは?
謎の連続殺人に因って止まっていた男達の運命の歯車が再び回り始める!

猟奇的殺人事件、暴力団、警視庁捜査官達の面々。解離性同一性障害の少年、祥の幼い頃の記憶。
キーワードは『餓死』?
スリルとサスペンスの中に人間だからこその愛の葛藤が渦巻く。
緊迫する捜査の合間に繰り広げられる瀬名と上條のやり取りが、微笑ましくもあり、色っぽくもあり、ゲラゲラ笑える場面もありでお楽しみ満載!
さらに、新藤の愛人の葉鳥が瀬名と新藤の仲を勘ぐって、危なっかしいことこの上ないところがヤキモキさせる!
全4巻はあっと言う間に読破!

しかし、こんなにきれいどころが揃って収集がつくのか⁉️と思ってしまうほど、登場人物の見映えが良くて、頭の中のコミカライズに拍車がかかり、ジェットコースター状態😃
文面から引用すると

まずは、瀬名智秋
【シルバーフレームの眼鏡をかけた細身の男。年齢は三十歳前後でかなりの美形だった。前髪を上げて額を出しているので、インテリ然としたシャープな印象を受けるものの、眼鏡の奥の切れ長の目に色気があるせいか、不思議な艶っぽさも漂っていた】

そして、東誠会若頭、新藤隆征
【長身で見るからに高価そうな濃紺のスーツが恐ろしく似合っていて、たくましい体躯がいっそう立派に見える。一見するとやり手のビジネスマンに見えないこともないが、ただ者ではないオーラが漂っている。声は良く通る魅力的な低音だ】

つぎに新藤の愛人、葉鳥忍
【スラッとした細見で黒革のパンツと派手な刺繍入りのスカジャンをきている。額の真ん中で分けた前髪は長く身長は170センチほどだが、顔は小さく手足が長い】

第1発見者の少年、真宮祥
【ベージュのコートにローファーをはき、いかにも品行方正で真面目な少年。痩せているが目は大きく、頬はふっくらとして、柔らかそうな肌は幼い子供ようだ。】

因みに上條は作りは悪くないが、
【無頓着すぎて美形にはほど遠い】らしい😃


瀬名と祥のいる風景は、祥が瀬名に対して絶対の信頼を置いているから、親子のような関係。とても安心出来る風景。
なのに、上條に対しての瀬名はとても辛辣で、それをあたふた受け止める上條が笑える🎵まるで、ツンデレ奥様のご機嫌取りをしてるみたい~❤️そんな上條に瀬名も次第に絆されていくんだよね~❤️

それに比べて新藤と葉鳥は少々痛い~💦新藤は若頭の手前、感情を出さない。だから葉鳥は四方八方に感情を駄々漏れ。愛が欲しくてたまらない癖に新藤からの優しい言葉には反発してしまう。『愛されたいのに愛されるのが怖い』これって、この小説のタイトル【ダブルバインド】を表しているらしい❤️

【ダブルバインド=二重拘束】
ふたつしかない選択肢のどちらも選ぶことができずに、二重に拘束されてしまう状況。

瀬名の言葉を借りるなら『例えば、母親に甘えたい子供は手をさしのべる母の手をつかもうとする。が、直前になって母は手を引っ込めてしまう。子供はどうしたらいいかわからなくなる。
これは、社会に置いてもあり得ることで、上司に自主的に仕事をしろと励まされ、ひとりで頑張ったら、どうして先に相談しないんだと叱られると、その先に進めなくなる。』

人の感情は不安定で、脳は納得しているのに、咄嗟に出た行動は相反してしまう。
この状況は、上條と瀬名の間にも起こる。

自分はホモじゃないと言い聞かせていた上條が、酔った瀬名に見つめられて「駄目だ、お前とはできないよ」と呟く。
「…ひどい。思わせぶりなことを言っておいて突き放すなんて」瀬名の眼差しが揺れ、両方のまなじりから涙がポロっとこぼれた…!
どうしたらいいのかわからなくなって、上條は咄嗟に瀬名を抱き締めた。

こんな風に、『違うと言い聞かせた癖に結局抱き締めてしまった』と言う自分の行動について、多くは自己否定して悩むところだが、上條はあっさり開き直って先に進もうとする。
強引で無頓着に見えるが、事実を受け止めることの出来る器の大きさが、上條の魅力なんだとわかる。

多重人格の祥の異なるパーソナリティーであるヒカルは、警戒心が強く口が悪いが、ひとりの人間としてじっくり向き合う上條に、心を開いてゆく。

事件に関わる人物がそれぞれのダブルバインドを抱えている。

複雑に絡み合う事件の真相に上條の無頓着さは一石を投じることになるのか…⁉️

最後に言えるのは、一番魅力的なのはダサくて暑苦しい上條ってことかな😃シリーズ化して欲しいくらい~❤️
もっと、暑苦しい上條がみたい‼️

スピンオフもあるよ❤️
こちらは葉鳥と新藤ネタ😃


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