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来年の予習!一年で一番重要な祭典・神嘗祭、見どころは何?

10月15日から伊勢神宮で始まった神嘗祭。神嘗祭は伊勢神宮で年間1500回以上行われる祭典の中でも、最も重要なものです。

神嘗祭は一年の実りを神様に感謝する、重要な祭典です。そんな重要な祭典を一般の人も見られるの?というご質問もあるでしょう。

2023年の神嘗祭は終わってしまいましたが、来年に向けた予習のために神嘗祭や見どころについてご紹介します。


神嘗祭はどんな祭典?

伊勢神宮で一年に行われる祭典の中で、最も重要な祭典。それが、神嘗祭です。似たような祭典で「新嘗祭」というものがありますが、そちらは11月に行われます。まずはその違いを説明しましょう。

神嘗祭では、その年に収穫された新穀を最初に天照大御神捧げて、感謝します。一方で新嘗祭もその年の収穫を感謝する祭典です。同じ年の2月に祈念祭という祭典があり、そこではその年の豊かな実りを祈ります。新嘗祭は祈念祭の対になっているようなお祭りです。

ここまで聞いても「あまり違いがないのでは?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

決定的な違いとすれば、神嘗祭は宮中と伊勢神宮で執り行われる祭典であって他の神社では通常行われないものであるということです。一方で、新嘗祭は宮中と日本全国の神社で執り行われています。

実は、伊勢神宮では明治5年まで新嘗祭は行われていませんでした。神嘗祭が古くから行われていましたから、そこですでに新穀を神様に奉っているわけです。なので、新嘗祭は昔は必須の祭典ではなかったということなのでしょう。

ただ、明治5年に天皇陛下から勅使(天皇陛下のお使い)が新嘗祭の際に伊勢神宮に派遣されることになったことがきっかけで、伊勢神宮でも新嘗祭が年間の祭典の中に加わったようです。

新穀を感謝する

神嘗祭は先に述べたように、その年に収穫した新穀を神様に感謝するための祭典。お米が私たち日本人の生活において、いかに大切にされていたのかがよくわかる祭典でもあります。

神嘗祭では、伊勢神宮の内宮と外宮、それぞれの正宮の内玉垣に、その年に収穫された稲穂が掛けられます。これを「懇税(カケチカラ)」と呼びます。

こちらの動画でその様子が見られますので、ご興味がある方は見てみてください。

内玉垣の門に一番近いところに掛けられる、一際大きな稲穂は、天皇陛下がお手植えになられたその年の新穀です。

カケチカラは神嘗祭の日の直前と当日しか見ることができませんので、ぜひとも見たい!という方は、スケジュールを合わせてきてみてくださいね。

125すべての神社で祭典が行われる!

伊勢神宮は内宮・外宮の正宮を筆頭に、全部て125の宮社の集合体です。祭典には神嘗祭のような大祭から、中祭、小祭とあって、中祭以下は摂社・末社と呼ばれる小さな神社ではまとめて行われています。

しかし、神嘗祭は全ての大小全ての125社の社頭で祭典が行われます。場所によっては海のそばもあれば、山の中腹もあります。そんな場所でも、神嘗祭に関しては雨の場合を除いて、すべて神職さんが赴いて祭典を執り行います。

1日ですべての宮社で祭典を執り行うことはできませんから、何日もかけてコツコツと祭典を執り行っているようです。

神嘗祭のスケジュール

ここからは、神嘗祭のスケジュールについてご紹介しましょう。その中には、私たち一般の参拝者が祭典の様子を窺い知ることができるものもあります。

その点を含めてご紹介していきましょう。

なお、神嘗祭は外宮と内宮のそれぞれ別の日に執り行われます。先に外宮、翌日に内宮です。

前月末の大祓から

神嘗祭の準備は、前月末から始まっています。9月末日に行われる大祓で、祭典に臨む神職さんたちをお祓いするのです。

お祓いは、神道においてはとても大切です。神道の考え方では、人間は生まれながらにして完璧な存在とされています。しかし、日々の生活している中で、ストレスを抱えたりエネルギー切れになったりしますよね。

その状態からもともとの姿に戻してくれるのがお祓いです。祭典に臨む神職さんたちは、心身共に万全の状態になれるよう、大祓を受けているのです。

神様に御神意を問う

神嘗祭の諸行事は、10月15日の夕方から執り行われます。祭典のクライマックスはその日の深夜に行われますが、その前に行われる祭典を御卜(みうら)と言います。

これは、祭典を執り行う人たちが神様の御神意に適っているかどうかを確認するための行事です。神嘗祭の場合、一般参拝者の閉門時間を過ぎてからになりますので、その様子は見ることができません。

しかし、それ以外の大きな祭典においても、御卜が執り行われます。たとえば12月に行われる月次祭の御卜は、参拝時間内に執り行われますので、ご興味のある方はその時を狙ってみてはいかがでしょうか?

御卜は、祭典に参列する神職の名前を一人ずつ読み上げ、名前の後に口笛を吹きます。そのとき音がちゃんと鳴ったら、御神意に適っているので祭典に参列してもよい、ということになります。

二回のお食事

神嘗祭では夜10時と午前2時に神様にご馳走(大御饌)を奉ります。このご馳走を由貴大御饌(ゆきのおおみけ)と呼びます。意味は、「清浄で立派なご馳走」ということです。

夜に行われる祭典ですので、一般の人たちはその様子を見ることはできません。浄い闇と書いて、浄闇(じょうあん)と呼びます。その闇の中で、厳かに執り行われるのが、2回の由貴大御饌なのです。

ちなみに、この祭典の際には神様にお酒がふるまわれるそうです。まずは一献目、次に二献目、そして最後に三献目になるのだとか。

神様の世界でも、最初の乾杯から始まって、話が進む二杯目、宴もたけなわの三杯目、といった盛り上がりがあるのかもしれませんね。

勅使の奉幣

深夜の由貴大御饌がつつがなく終わった明くる日。外宮では10月16日の正午に、内宮では17日の正午に奉幣の儀式が執り行われます。

奉幣とは、天皇陛下から神様へのお供え物を奉る儀式です。どのようなものがお供えされるのかというと、実は五色の布と針と糸なのです。なかなかイメージがわきにくいと思いますので、詳しく知りたい方は、神宮徴古館に行ってみることをおすすめします。

奉幣では、祭典を執り行う神職さんや、天皇陛下からのお使いである勅使の方、並びに祭主として黒田清子様が列を作って歩いていきます。その様子は、遥か昔にさかのぼったかのようで、タイムスリップをしたような気持ちになります。

内宮のご正宮へ上がっていく神職さんたち

悠久の歴史を紡いできた伊勢神宮だからこそ、このような不思議な錯覚を覚えるのかもしれません。

この様子は、一般参列者でも見ることができます。ぎりぎりの時間に行くと、すでに人だかりができていて、その様子を見ることができない可能性がありますので、45分~30分ほど前までに場所を確保しておくことをおすすめします。

場所によっては、規制線が引かれる場合があるため、どこの位置で見てもよいかについては、神宮の衛士(えし)さんに尋ねてみるといいでしょう。

大切な行事:初穂曳

神嘗祭に先立って、人びとの間で行われる行事があります。それを初穂曳(はつほびき)と言います。その年に収穫した新穀を、台車に載せて神宮へ納めるという行事です。

初穂曳自体は今から約50年ほどまえから始まった行事です。初穂を運ぶのは、お木曳車といって、20年に一度の式年遷宮の際、新しいお宮を作るための材木を曳くために用いられているものです。初穂曳では、木に代わって新穀を載せて運びます。

なぜ初穂曳が始まったかというと、20年に一度だとお木曳の技術が後世に伝わらないことを危惧したからだそうです。昔は、生まれてから一度も自分が生まれた場所を出たことがないという人も多かったでしょうが、今の世の中は移動の多い時代です。

後世に技術や精神を継承していくためには、毎年お木曳と同じようなことを行う必要があった。そして、神嘗祭に合わせて、初穂を曳くようになったそうです。

初穂曳は陸曳(おかびき)と川曳(かわびき)の二種類があります。陸曳は外宮に初穂を納め、川曳は五十鈴川を船で曳き、内宮に初穂を納めます。陸曳は10月15日に行われ、川曳は10月16日に行われます。

2022年の陸曳の様子、奉曳車(ほうえいしゃ)が大きな音を響かせて動いていく
2023年の川曳の様子。川から勢いをつけて陸に引き上げられる。

神嘗祭の見どころをしっかり押さえる旅程案

神嘗祭に関する諸祭典や諸行事はこれまでに述べてきた通りです。一般参列者が見られる諸祭典・諸行事を全て押さえると、旅程案は次のようになります。

10月15日
10:00~12:00頃 外宮前で初穂曳(陸曳)を見学
12:00~13:00 外宮参道で昼食
13:00~15:30 二見興玉神社で神宮参拝前の禊
16:00~ ホテルにチェックイン
18:00~ 伊勢の地元居酒屋を満喫

10月16日
9:00~11:30 せんぐう館入館・外宮参拝後、奉幣のスタンバイ
12:00~ 外宮で奉幣の見学後、内宮へ移動
13:00~ 五十鈴川川曳の様子を見ながら、おはらい町で食べ歩き
13:30頃 宇治橋横で川曳のクライマックス・陸揚げを見学
14:00~ 内宮参拝、フリータイム

10月17日
~11:30 内宮参拝後、奉幣のスタンバイ
12:00~ 奉幣を見学(祭典を全部見る場合、全体で1時間~1時間半ほどかかります)

結構なボリュームがありますね!全て押さえることは難しいかもしれませんが、神嘗祭の一部でも触れられる旅程を組むと、特別な伊勢神宮参拝の思い出が作れますよ! 

また来年も同じ日、同じ時間を迎えるありがたみ

「時令順度(じれいじゅんどう)」という言葉が、平安時代に作られた律令書『令義解』に出てくるそうです。この言葉の意味は、同じ日がまた巡ってくることなのだとか。

伊勢神宮では、年間1500回もの祭典が、毎日、毎年、20年に一度と決まった日時に行われています。現代の世の中は、明日がどう変わるかわからない、不明瞭な日々が続いています。

来年も、また同じ日・同じ時間を迎え、同じことを繰り返すことができるというのは、当たり前のようでいて、とても有難いことなのだという事実を、私たちは忘れてはならないのだと思います。

何気ない日々が続くことのありがたさを、伊勢神宮の祭典を見ていると、深く実感できるのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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