[2020.8.24-30]ロウリュという原始的な現象がもたらす愉悦(1)

坐禅会で「軟酥の法」(※前々回参照)をやるときに、副住職が「イメージしにくかったら、バターとかココナッツオイルにしてもいいですよ」という助言をくれたことがある。溶けて流れるものであれば、身近なものに引き寄せてイメージしてもいいのだ。そこで私も自分なりの代用品を考えてみた。

自分の体が「サウナストーンの山」だと想定する。その頂に、好きなアロマ(※Black Forestなど)がしみ込んだアイスボールをのせてみる。息を吸うとストーンの下の火が強まり、アイスボールがジュ~ンという音を立てて溶ける。石の隙間を、官能的な香りのアロマ水が蒸発しつつ流れてゆく……。

ちょうどその頃、コロナ禍の自粛期間でサウナにまったく行けていなかった。物理的にサウナに行けないのなら、マインドだけでもサウナに行きたかったのだ。今はまた最低週1回はサウナに通うようになった(外出がほぼサウナのみ)が、自粛前は最低週2回は通っていた。我慢にも限度がある。

そんなサウナ自粛期間に作ってリリースしたのが『トトノイ人 SESSION 005』だ。これは私が編集発行人のシリーズ本で、毎回一人のサウナ狂に焦点を当てて人生を深堀りしている。この号はサウナイトのYGQ氏が主人公だが、偶然にも話の内容がその頃の「我慢」の状況とリンクして見えた。

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毎週末に1記事ずつ追加されます。その週に考えたことを、浮かんだ順に書いていきます。 ※扱うトピック(予定):言語、生活習慣、認知行動、サウ…

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