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原稿用紙の中の主人公が意思を持つ瞬間-㉚

「長谷川等伯」を少しずつだが、書き溜めている。時間系列を無視して、頭に浮かんで会話になったところから書き溜めている。「七尾時代」「京都時代―前半」「京都時代―後半」「晩年」。
 資料を読んでいるうちに頭の中で一つの出来事について、誰かと誰かの会話が浮かんでくる。それを忘れないうちに書き溜めていく。そうしながら、
『裏付けになる資料と齟齬ができたら、その時はその時………』
 と、とりあえず時系列が崩れるかもしれないと思いながらも、書き溜めていく。
 出来得る限りの範囲だが、等伯と時代の出来事を書き留めながら大きな年表を作った。そこに書き留めた文書を、モザイクみたいにはめ込んでいる。
 もしかしたら時系列から考えて、出会っていない人間との会話が、出会う前に入ってしまっているかもしれない。また、生まれていない人間との会話が時系列を無視して入ってしまっているかもしれない。さらには、大きな時代の区分けを無視して、物語りが展開してしまっているかもしれない、とか。そんな色んなことの齟齬、無視、誤解、勘違い、裏付けなし、資料の不明などなど、沢山の問題を生み出しながら、背負いながら、抱えながら、自覚しながら、それでも書き溜めている。
 400字詰め原稿用紙換算で350枚くらいを目標に書き溜めている。
 今現在、400字詰め換算で100枚分くらいまで来ている。
 ここまでくると、主人公が一人で動き始める感覚を、ちょっと予感できて来る。もう少し書き進むと、「主人公が一人で動き始める」と言う勝手に命名した「ゾーン」に入って行くことができる。そうなると、しめたものなのだが………。
 もう少しで『原稿用紙の中の主人公が「意思」を持つ』、「ゾーン」に到達する。

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