「不立文字(ふりゅうもんじ)」、文字では十分に伝わらないそうな……
茶道のおっしょさんはYouTubeが嫌いである。習い始めた頃、おっしょさんに、
「裏千家では、動画を禁じています」
と言われたことを覚えている。今時、何を言っているんだろう。
『利権の問題が絡んでいるから、なのだろう』
と、勝手に解釈していた。
ところが茶道の世界では、このことは近年に始まったことではないことを知った。茶道の歴史の初期の頃から、そう言う教えがあったのである。
それは、
『不立文字(ふりゅうもんじ)』
と言う教えである。『文字では、十分に伝わらない』という教えである。
先だって茶道のお稽古で、うちのおっしょさんに、
「YouTubeで、お稽古したのね」
と、イジられたばかりであるが…。『不立文字』を知った今、納得である。YouTubeで一生懸命、自主練習をして完璧と思ってお稽古に臨んでもやはり、おっしょさんの前に出ると、あれやこれやと指摘される。挙句の果てに、
「細かな部分こそ、完璧を期さなければなりません」
と教えられる。確かに、その通りである。YouTubeの動画だけでは細かな部分まで気づかない点が、多々現れる。そうは言ってもSNSが世界を救う時代であるが……。しかし、師と弟子が相対して行なう「口伝」には、SNS以上の密度があるのも事実である。認める。しかし、ここは時代の流れを受けて、ちょっとは許してもらいたい。時代に合った枠組みを、早々に構築する必要性を感じる。
そうでないと『ネット・カジノ』のように、「やったもん勝ち」のグレーゾーンが大半を占める、不平等な事態を招きかねない、と思うのですが。ダメですか?
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