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[2024年8月]フリーランス活動報告と制作したMVの裏話 4年と1ヶ月目

こんにちは!動画クリエイター兼イラストレーターの無印かげひと(@kage86kagen)です。

今月も終わりですので、「今月の活動内容」と「制作に携わったMVのうち、今月公開されたMVの制作の裏側のお話」をしていこうと思います。

※なお、お取引き先との調整内容や機密事項は一切表記していません。「MVのここをこうした理由は…」や「ここはペイントソフトでこうして…」、「ここは実は○○がリファレンスで…」などといった、あくまでも当方が担当した制作物のメイキングなどについてをお話ししています。


今月の活動内容

今月も毎日MVばっかり制作していました。 
い つ も の。

先月末は、めでたいことにフリーランス4周年を無事迎えることができましたが、かといって何か身の回りが変わる事もなく、相も変わらずバリバリMVを制作していました。豪華な家具や美味しい食事を求めるよりも、何かモノづくりをしている時の時間が自分にとって一番のご褒美です。

制作面においては今月もいろいろと学びを得る事ができましたが、今月は普段使用しているソフトにおいて数ヶ月解消できなかった問題をようやく解決できた…という、ちょっと嬉しい事がありました。

その出来事についてお話しますと、今年の5月辺りに、「Trapcode Particular」というAfterEffectsの超優秀なプラグインを体験版として導入し、その使い勝手の良さを存分に味わったお話をしました。このエフェクトがあれば、動画編集のクオリティはさらに一段階上がりそうなほどです。

とは言いつつ、体験版終了後、購入についてもう少し検討したいため、このプラグインの有料版の導入を一旦保留にしていたのですが、ここで問題が発生。
このソフトを入れたことがきっかけで、AEの一部機能が正常に使えない(正確には制限された)という事象が起きました…。

簡単に説明すると、3DCGデータの拡張子(objなど)をAEに入れ、それを3Dレンダラーに変更したコンポジション内に配置しようとすると、
3D MODEL FOR USE WITH TRAPCODE(TRAPCODEを利用する必要がある3Dモデルです)」というメッセージが出てしまうという事象です。
この問題の影響で、制作した3D素材をAE内に反映させることができなくなりました...。

お手製の3D素材や購入した素材を活用して動画制作をしている人にとっては、かなりの痛手のエラーかと思われます。このエラーに出くわした時、筆者もかなり衝撃を受けました。「えっ...!?うそでしょ?3D素材を取り込めないの...!?」と。

この問題を解決するためにいろいろ考えましたが、まずは単純にTrapcode(体験版)をアンインストールすればいいのでは?と考えていざ試してみたものの、なんと状況が変わらず!
筆者自身、PCやシステムには疎いため、当時の筆者は「アンインストールしても直らなければいったいどうすればいいのか...?」とガチで悩んでしまうことになります。

自身の力では即座に解決できなさそうだったので、3D表現を用いたMVを制作する際は、”AE内に3D素材を持ち込まない”方法を選ばざるを得ませんでした。
例えば、Blenderで動画を撮影&出力してこれをAEに持っていったり、AEのCinema4Dレンダラーで一から3Dを制作したり、という方法しかできなくなる。
つまりは、3Dとして形状記憶されている拡張子OBJなどをAE内で編集できない…ということになります。分かる人には分かる超不便さ。

最終手段としてはAEをインストールし直すという手も考えましたが、当時はタイトな納期のご依頼が数件あり、まずはそちらを優先することにしたため、この問題の解決を先送りにすることにしました。

そして今月、OBJデータをAEに取り込んで制作する方が断然効率が良いかつクオリティが向上するMV制作が発生したため、Trapcode問題を解決するため再度全力で取り組みます。その結果、なんと無事正常に戻すことができました!

まずは原因からあげますと、アンインストールしたはずの”「Trapcode」のシステム一式”が、AEを構成するシステムフォルダから完全に消去されておらず、このデータが残っていたことによって「Trapcodeを利用する必要がある3Dモデルです」を表示する要因となっていたことが発覚しました。

この問題の解決方法としては、使用しているバージョンのAEのファイルから、「Trapcode」の文字列が入っているファイルを全て削除することによって、Trapcodeプラグインを介さずに3Dデータを使用する事ができます。つまりは元々の使用感覚に戻すことができます。
個人的には、アンインストールさえすればそれに関するシステムやデータも勝手に全消去してくれると思っていたので、これは盲点でした。

Windowsの場合、Cドライブ等に入っている「Adobe After Effects ○○(バージョン)」の「Support Diles」の中から、「TRAPCODE」に関するファイルを全て削除することで、この問題を解決することができる。(間違って別のファイルを消さないように!起動自体ができなくなる恐れがある)

この問題を解決するにあたって「Adobe Community」でのやり取りも参考にしたのですが、過去に同じ現象に悩まされた方が複数いたようです。

外部プラグインを入れる事によって、その影響でAE本来の機能に制限がかかってしまうのは、ちょっといただけないですよね…。
何はともあれ、ネットの知識を参考にしながら自ら問題解消できたことは、とても良い体験になりました。

もし、同じような事象に合われている方は、ぜひ参考にしてみてください。


今月投稿されたMVの裏話

※投稿していた事に今月気づいたMVも紹介しています。
※制作で使用している各ソフト名
・動画編集:AfterEffects
・イラスト制作:CLIP STUDIO PAINT(メイン)、illustrator(主にロゴ制作時に使用)、Photoshop
・アニメーション:Live2D、AfterEffects、CLIP STUDIO PAINT
・3DCG:Blender

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ビビデバ / Covered by 音紡いま

こちらは音紡いまさんの歌ってみた楽曲「ビビデバ / Covered by 音紡いま」になります。こちらのMV制作を担当しました。イラストは綺平さんです。

今回のMV構成は、「魔法」をコンセプトとして掲げつつ、本家楽曲のMV構成も若干オマージュした内容を考案してみました。
例えば、上記サムネイル画像にもなっている「テレビっぽい枠」については、本家MVの冒頭をイメージしたものになります。
(本家MVのおいて、冒頭で流れた映像が0:04ぐらいにズームアウト→見ていた映像は実はテレビに映っていた映像だった…っていうシーン。このテレビをスタッフさんが移動させて本編開始…という場面)

また、「ビビデバ」は元々シンデレラ(ディズニー)の「ビビディ・バビディ・ブー」から来ている語源であるため、その元語源の作品も加味したようなデザインをチョイス。(例えば、Aメロなどで表示されている”ファンシー&魔法っぽさを感じられるようなフレーム”は、これを意識して制作しました。)

Bパートでは、魔法を想起できるような「煙もやもや」エフェクトを入れましたが、これはAEのフラクタルノイズ+反転エフェクトを使用しました。
フラクタルノイズは「煙」といったような表現を手軽にできる超優秀エフェクトなのですが、今回はここに反転(色相を反転するエフェクト)を追加しています。

これを入れた理由を文章で説明するのはなかなか難しいのですが、フラクタルノイズ単品で入れた際、自分がイメージする煙にならなかったため、明度を反転させるために「反転」エフェクトを追加しました。

語彙力が無くて申し訳ないのですが、「出っ張っている、膨張しているタイプの煙」ではなく、「吸引されているような、キセルの先の煙のような」タイプの煙を付与することを考えていました。

試行錯誤した結果、いい感じのニュアンスになりましたので、個人的には満足しています。

「煙もやもや」を表現するために使用したエフェクトの数値。「膨張煙」ではなく、「吸引煙」を表現したかったので、これを表現するために結構思考錯誤した。

「るすち世界征服」 MV / 櫻木るす

こちらは櫻木るすさんのオリジナル楽曲「るすち世界征服」になります。こちらのイラスト、MV制作を担当しました。

全体的に”魔法少女感”を感じられるような構成、色合いを意識して制作しました。楽曲自体もとても楽しい+アイドル感を感じられる内容となっていますので、ぜひご視聴ください!

個人的な推しポイントはサビ部分の演出になるのですが、サビでは「遊園地に入場する時のようなアーチ」素材を用い、これを3Dカメラで映しました。
これは楽曲や歌詞の内容から”連想”し、そこからアイデアを得て作ったものになります。

●「アーチ」を採用するに至った筆者の連想ゲーム
①本楽曲は”世界征服(自分自身を広めたい)”について歌った楽曲→でも、”征服”だからといって、SFなどでよくある「エイリアンによる征服」とか、そういった類の意味合いではない→そういった表現を用いらない感じで、本楽曲の”世界征服”を表現したい
②でもって、サビ部分はテーマパーク感を感じられるような楽しいメロディーとなっている。個性が詰まっているテーマパーク感も出したい→「自身の世界、国に引き込む」という表現方法が合いそうなので、それならば「テーマパーク入口のアーチ」を素材にすることで、「世界征服感」や「サビの楽しさ」を表現できそうではないか?

…などといろいろ考えて、サビ部分は今回のような演出を考案してみました。
ちなみに、「アーチ」はZ位置キーフレームをLOOP化しているため、永遠と”テーマパークの入口”をくぐっているような感覚になると思われます。伏見稲荷大社かな?


ユメハナビ

こちらはゆーだいさんの楽曲「ユメハナビ」になります。こちらのイラスト、MV制作を担当しました。

楽曲自体が「和風ロック」と言えるぐらい激しめかつ勢いのあるメロディーでしたので、動画の演出やカメラワークを多めに、かつリリックモーションも激しめに展開してみました。(主にサビ部分)
夏のアツい恋模様を表現できるような構成に仕上げましたが、いかがでしょうか?

ちょっとしたこだわりですが、1:55~の白黒については「時代劇」を少し意識したような構図、デザインにしました。(この地点からBPMが変更しているため、ここのインパクトをより強調するためにこの演出を考えました)
この地点は画面全体に「白黒」エフェクトを用い、これに加えて「ポスタリゼーション」で色の数を落としています。
(今思ったけど、ここは「ルミナンスキー」を用いた方がより簡単に設定できたかもしれない)

「時代劇」というと、個人的には1980~1990年代ぐらいに放送された、あの”今と比べたらいい意味で画質が悪い”時代の時代劇がとても好きなので、フレームレートも12fpsにしていい感じにカクカクに表現してみました。
あの時代の時代劇はいずれも再放送でのみで見たことしかありませんが、めっちゃ面白いですよね!


【歌ってみた】エイトビート・バーサーカー/岸田教団&THE明星ロケッツ【メデア・メディック】

こちらはメデア・メディックさんの歌ってみた楽曲「エイトビート・バーサーカー/岸田教団&THE明星ロケッツ【メデア・メディック】」になります。
こちらのイラスト、アニメーション、MV制作を担当しました。

今回は本家MVをほぼオマージュしたMVとなっています。ただ、「登場人物の被り物」や、時節でてくる「武器」といったものは、メデアさんにゆかりのある内容でアレンジしました。

被り物はメデアさんご自身の容姿から(猫耳フード)、武器についてはメデアさんが「魔法具店を経営する見習い錬金術士」ということもあり、そこから連想して”ファンタジー”要素を感じられる武器デザインにアレンジしました。(この武器は、本家MVでは一般家庭にありそうな普通のデザインをした武器でした。)

今回、イラストをオマージュするにあたり苦戦した箇所は、主線のブラシ選びでした。本家イラストはかなり個性的な絵柄&筆遣いであるため、その絵柄を少しでもリスペクト表現できるよう、ブラシ選びにはいつも以上に時間をかけています。

結果、今回はクリスタ内に備わっている「サインペン」の数値を調整したものを使用する事にしました。第二候補としては「ミリペン」を考えていましたが、絵柄を観察する限りどちらかというとサインペンの方が近しいと考えました。

サインペンとミリペン、ぱっと見似ているペン先ではありますが、ミリペンは書きはじめと書き終わりにわずかな”インクだまり”があるのが特徴です。筆者は学生の頃は全てアナログでイラストを描いていて(PC持ってなかった)、主線として使用したペンはミリペンの使用率が多かったのですが、ペイントソフトのミリペンは再現率が高く、描き味もアナログと似ているため、使用して懐かしく思いました。
ミリペンで主線を描いて、色はコピックでガシガシ塗る…。あの頃の絵描きもめっちゃ楽しかったなぁ。

選んだのは「サインペン」。これを使用しつつ、自身のいつもの手癖にわざと「ぶるぶる」を付与して描写しました。これで主線が良い感じにぐにゃぐにゃになります。

[Male Vocal Cover] Vermilion / CircusP

こちらはTokyoiteさんの歌ってみた楽曲「[Male Vocal Cover] Vermilion / CircusP」になります。こちらのイラスト、MV制作を担当しました。

Tokyoiteさんの歌ってみた楽曲MV制作はこれで2回目となります。前回は本家MVを簡略化したオマージュ作品を制作しましたが、今回はアレンジ多めの内容となっています。
特にリリックモーションにはバリバリに動きをつけて、見ごたえあるMVを制作してみました。

口元については、Live2Dを利用したモーションシンク演出となっています。Live2Dを使用したモーションシンク制作は通算4回目となりますが、今回は「Live2Dアバターのような”母音”の合間にアニメーション(中割り的な)を挟むタイプではなく、アニメのような口元(フレームごとに口の形状がパッと変わるタイプ)」を表現してみました。
そのため、今までとはまた違った作り方をしてみたのですが、これが思った以上に結構大変な作業となりました...。

今振り返れば、Live2Dのモデリングモードでのパラメータ設定時点でもう少し調整しておけばその後の作業も楽だったのですが、まだまだ勉強が必要ですね…。
自身のスキルも上げていたいため、もしモーションシンク系MVをお求めの場合は、私にやらせてください(切実)


魔法のコトバ/samo feat.初音ミク

こちらはsamoさんの楽曲「魔法のコトバ/samo feat.初音ミク」になります。こちらのMV制作を担当しました。
イラストは蜜山みつこさんになります。

MVの構成については、楽曲、イラスト共にふんわりとした明るい雰囲気でしたので、色合いについてもそれにならったデザインを考案してみました。

サビ部分のアニメーションは、デフォルメミクがマーチングの指揮棒を持って行進しているシーンを演出していますが、こちらはあらかじめ2つの差分(×表情差分2)のイラストを制作していただいています。
これをAEに取り込み、不透明度キーフレームを利用してイラストの差分を切り替えつつ、これに位置キーフレームも調整する事によって「跳ねながら歩いている」ようなモーションを表現しました。

サンプルを用意しましたが、左はいただいたイラストをただ切り替えただけのアニメーション、右はイラスト切り替え時に「位置」のキーフレームを付けて”飛び跳ねながらマーチング”を表現した

見比べて見ると、右のアニメーションの方が見ごたえや可愛らしさがアップしたんじゃないかなと思います。

今後もこういった細部も大事に調整して、より素敵なMVを制作できるようになりたいです。


まとめ

いかがだったでしょうか?
今月は6件のMVがお披露目されることとなりました。来月もバリバリMVを制作していきたいと思います!

最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!


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