擬似TQQQのデータと経済危機における下落率   〜シミュレーションしてみた〜

最終更新:2020年7月11日

カガミルです。

ブログで子育て、教育、医療、投資についての記事を書いています。TQQQを用いた戦略についても書いているので、レバレッジETFに興味のある方はぜひご覧ください。

https://kagamiru.com/lec-pf-basic/

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最近TwitterでTQQQが話題に上がることが増えた気がします。

TQQQはハイリスクな投資商品であり、リスクを正しく理解しないまま投資することは避けるべきでしょう。

以前の記事で述べましたが、TQQQが設定された2010年以降で見ると、最大ドローダウンはコロナショック期間中の約70%でした。

TQQQは、それ以前のブラックマンデー、ITバブル (またはドットコム・バブル) 崩壊、サブプライムローン問題を発端とするリーマンショックを経験していません。

本記事ではナスダック100のデータから擬似TQQQのデータを作成し、これらの経済危機下でのパフォーマンスのシミュレーションを行いました。



1、擬似TQQQのデータ作成

まず、Yahoo Financeから1985年10月以降のナスダック100のデータを取得しました。使用するのはclose (終値) です。

https://finance.yahoo.com/quote/%5ENDX/history/

注:TQQQが連動するのはナスダック100指数です。Yahoo FinanceトップからアクセスできるNasdaq Composite Index (ナスダック総合指数) は別物なので、間違えないようにしてください。

ナスダック100の日々の変動率を3倍にし、乗法を繰り返せばTQQQのデータが得られます。

ただし3倍で計算するより、適切な係数で計算した方が乖離が少ないようです。

SPXLでは、


(SPXLの1日の変動率)= 2.902 × (S&P500の1日の変動率) + 0.00009876

とする方が実際の値に近かったとのことです。

https://yu-kabu-life.com/2018/12/23/spxl_tyoukihoyu


そこで、まずはTQQQ取引が開始された2010年2月11日から2020年6月末までのデータをもとに係数を求めました。詳細は割愛します。

その結果、

(TQQQの1日の変動率) = 2.9202 × (ナスダック100の1日の変動率) + 0.00003

という式を得ました。

実際のTQQQとグラフを比較してみます。

TQQQと擬似

多少の乖離はありますが、期間全体で概ねTQQQと一致しているといえます。

係数は解析期間によって変わりますが、今回はこの数値を用います。なお3倍としてもそれほどの乖離はなかったため、3倍でもよいと思います。

この計算式を用い、1985年以降のナスダック100と擬似TQQQのグラフを作成しました。
1985年10月1日の擬似TQQQの価格は、ナスダック100と同じ約112ドルとします。

擬似TQQQチャート

(縦軸は対数であることにご注意ください。)

データのExcelファイルはこちらです。よろしければダウンロードしてお使いください。

なおファイルは読者様のサイトやSNSから二次配布していただいてかまいませんが、ソースがこのnoteであることを明記していただくようお願いします。

注意点として、TQQQでは1%の信託報酬に加え、3倍の先物を保有するための金利 (つまり借金の利息) もかかります。2000年以前のドルは高金利通貨でしたが、金利は考慮していません。従って擬似TQQQのパフォーマンスはこれよりも低かった可能性が高いことにご留意ください。



2、経済危機下でのパフォーマンス

それでは、1985年以降に起きた主要な経済危機における擬似TQQQのパフォーマンスを見ていくことにしましょう。

2-1. ブラックマンデー

1987年10月19日、ニューヨーク株式市場で史上最大の暴落が起き、ダウ平均株価は1日で22.6%も下落しました。サーキットブレーカー制度が導入されるきっかけとなった出来事でもあります。

直前のナスダック100のピークは、10月5日につけた213.81ドルでした。同月26日に128.43ドルの底値をつけたので、下落率は40.0%です。


擬似TQQQが底打ちしたのは同年の12月4日と少し遅れました。これはレバレッジETFが日々の値動きにより減価したためと考えられます。最大下落率は82.23%でした。

その後ですが、チャートを見ていただければおわかりの通り、ブラックマンデーをものともせず、ナスダック100と擬似TQQQは上昇を続けました。ITバブルも追い風となりました。

1985年から2000年までで、擬似TQQQは5000倍以上に上昇しました。計算上は1年あたり約76%上昇していることになります。

2-2. ITバブル崩壊

しかし2000年から2001年にかけてITバブルが崩壊し、株価は大幅な下落となりました。ナスダック100は最高値から82.9%も下落します。

この結果、擬似TQQQはピークから99.95%!も下落してしまいます。なんと2000分の1になってしまいました。

2-3. リーマンショック

その後ナスダック100は再び回復します。しかし2007年のサブプライムローン問題とそれに端を発したリーマンショックでマーケットは大混乱に陥りました。

2007年につけたその直前のピークから見ると、ナスダック100は53.4%、擬似TQQQは94.14%下落しました。

2-4. その後〜現在

2010年代は最長の景気回復期間となり、株主は大きな利益を得ることができ、TQQQも絶好調でした。詳細なパフォーマンスは前回記事をご覧ください。

https://note.com/kagami_ryu_/n/nfb29bf66e357

2020年、コロナショックが起きました。まだ先行きの見通せない相場ではありますが、2020年6月末時点ではS&P 500よりナスダック100の方が速やかに回復しています。そしてナスダック100は過去最高値を更新しました。

2-5. 小括

以上が擬似TQQQの動態です。

あくまで計算上のデータですが、最大の下落幅はITバブル崩壊の際の99.95%です。これは1億円の資産が5万円になってしまうことを意味します。またTQQQの価格が100ドルから0.05ドルになってしまいます。

ここまで下落したら、いくら時価総額の多いTQQQでも早期償還は避けられないと思います。

またTQQQを20年以上持ち続けても、元の価格まで戻らない可能性があることもわかります。

2020年6月、ナスダック100は過去最高値を更新しました。一方、擬似TQQQのピークは2000年3月であり、そこから2020年6月末現在まで持ち続けてもピークを越えられません。それどころか、未だピークのわずか7分の1程度しかありません。



3、ナスダック100指数の暴落は起きるのか

このように、マーケットの状況次第でTQQQの価値がほぼ0になることがわかりました。

今後、ITバブルと同程度の暴落が起きるのかは誰にもわかりません。

確かに楽天的な意見もあると思います。

根拠の一つは、「ハイテクの必需品化」です。

今はスマートフォンの個人保有率が60%を超えました。高齢者でスマートフォンを持っている人は今は少ないですが、数十年後には若者から高齢者までほとんどの人が持つようになるでしょう。

ナスダック100を構成するマイクロソフト、アップル、Google, Amazonを全く使用せずに生活している人はほとんどいないでしょう。

そういう意味で、ナスダック100構成銘柄はハイテクでありながら、ディフェンシブな必需品という側面もあります。

ナスダック100の価値が再び80%以上暴落するのは、資本主義制度そのものの終焉のときかもしれません。あるいは核戦争や宇宙人の侵略により人類が存亡の危機を迎えたときかもしれません。もっともそうなれば株式はおろか、あらゆる資産、さらには現金さえも無価値になるでしょうから、対策しようがないでしょう。

とはいえ、TQQQ投資家はリスクを十分に認識し、一定以上の下落相場での対応を決めておくべきだと思います。


4、下落時の対応法

私はレバレッジETFの中でTQQQが最も優れていると考えていますし、実際に投資もしています。

しかし損失をもたらす可能性も十分あると考えていますし、当然全財産を投入しているわけではありません。SPYやVIGなど、ロスカットの必要のない資産も保有しています。

TQQQ下落時の対策について考えてみます。

1、 あくまでガチホを続ける
2、 一定の下落をしたところで一括して売る (ロスカットまたは利確)
3、一部を売り、一部を残す。
4、(2020年7月11日追記) VIXが上昇したらQQQに乗り換える。

1についてです。
1万円分くらいのTQQQを行い、あとは気絶していれば、数十年後1億円になっているかもしれません。そう考えれば、宝くじを買うよりははるかにリターンの大きいギャンブルだと思います。

また、20代で今後の投資人生が長い人 (やり直しがきく人)、桁違いの投資余力がある人など、TQQQへの投資資金が0になっても構わないと考えている人はガチホでもよいでしょう。

ただし当初はガチホの方針だったとしても、欲張らずにある程度のところで利確した方が無難だと思います。一案として、

目標金額 (例えば1億円) に達したらその時点でTQQQを売却し、現金のまま持つか、レバレッジなしのETFに切り替える

という方法もあるでしょう。QQQやS&P 500連動ETFに切り替え、いわゆる気絶投資法を実践すれば、枕を高くして寝られます。

2についてです。
妥当な案ですが、ロスカット/利確の基準をどう決めるかが悩ましい問題です。また売却後にさらに下落した場合はまだしも、再度上昇した場合、再購入のタイミングについても判断しなければなりません。

すでにTQQQで十分に利益が得られたと判断するなら早めの利確で良いでしょう。

3についてです。
ある程度の利益が出ている場合に考慮しても良いでしょう。


一例として、手持ちのTQQQの3分の2を現金化し、3分の1だけ残すという方法です。これによりQQQ 100%と同等のポートフォリオが得られるからです。これならTQQQが早期償還になっても、現金が残せます。

目標とする資産、今後の投資年数は人によって異なります。ご自身の状況に合わせ、上記の方法を検討していただければと思います。

4についてです。

これは2と重なるのですが、okometsubuさんの素晴らしい記事を踏まえて追記しました。

https://okometsubulog.hatenablog.com/entry/etf/spxl-vix-200710

この記事で紹介されている投資法のポイントは、

VIX(恐怖指数)が20以上の時は全額VOOに乗り換え、VIXが20未満の時は全額SPXLに乗り換える。

というものです。

VIXが高値の時は相場は下落し、低値に戻れば相場は上昇傾向となるので、非常に合理的な戦略と言えます。

バックテストによると、この戦略は相場の変動が激しい場合には、SPXLまたはVOOをガチホするより優秀とのことです。

理論上、TQQQでも同じ結果が期待できます。すなわち、

VIX 20以上 全額QQQに乗り換え
VIX 20未満 全額TQQQに乗り換え

と乗り換えることで、相場暴落時にも対応でき、パフォーマンスも改善することが期待できます。

ただし問題点として、VIXが20を行ったり来たりする場合もあるため、その対応法を考える必要があります。


5、まとめ

擬似TQQQはITバブル崩壊で99.95%、リーマンショックで約94%下落する。
TQQQホルダーは自身のリスク許容度を踏まえ、下落時の対応を決めておくべきである。具体的にはガチホか、一部または全部を売却するという方法がある。

TQQQに投資する際は、十分なリスク管理を行ってください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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198X年生。令和元年生まれの男児の父親です。 米国へのレバレッジ投資をしています📈 「レバレッジド・コア・サテライト」という投資戦略をブログで公開しています。 https://kagamiru.com