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AI生成をベースにした世界観と働き方、そして新たな遊び

AIアートは世界の何を変えたのか?

AIアートや、AIのチャットによるアウトプットが、最近進歩が目覚ましい。今までのAIの限界を急に超え、ちょっとしたタスク、いやそれを超えた「専門家」が時間をかけてようやくできるようなアウトプットが、数円と数十秒でできてしまうようになった。これは、知っての通り革命的である。

では、「専門家」がもういらないかというと、そうにはすぐにはならない。どこに必要になるのかというと、それは評価であり統合であり、方向づけである。つまり、方向性を決めるプロデューサー・ディレクターとその品質を担保するアートディレクターやエンジニアなどの各種技術はこれからも必要になる。

AI generationの世界

AIが短時間で、安価に安定して供給するので、たくさんの案やラフを出すだったり、試行錯誤を高速に回して目的のものにたどり着くといったものは、AIをベースにすることで従来かかるコストを数百分の1や数千分の1に圧縮できると思われる。つまり今までチームの中でぐるぐる回していた試行錯誤や、方向性の探索といったものを1人のスキルで達成できるようになったのだ。

プロンプトを使うことで、簡単にラフが制作でき、そのラフの精度があげられるようなプロンプトパターンを探し出し、その一部のプロンプトを差し替えることによって、必要なパターンを数多く生み出しその中から特に良いものを使って最終的な製品に持っていくのだ。

プログラムの世界でもChatGPTという、こういう言語でこういうプログラムが作りたいというチャットを書くと、プログラムがかなりコードを書いてくれるというチャットAIが流行っている。精度はものすごく高いわけではないが、数秒で作ってくれて、間違いを指摘すると修正してくれる。ここでも同じであり、人間は方向性とそれが正しいかどうかをチェックして修正するのが仕事となる。

この流れは不可逆であり、さらに一度汎用な学習モデルがオープンソースになったことで、その普及や競争によりさらに変化の速度が上がっている。

AIイラストも同様で、この2か月ですでにいくつもの学習モデルが生まれ、公開され、世界中で大きな革新をもたらしている。現在のAIイラストは以前のものよりもコントロール可能になってきている。まだ、コントロールができない部分も多いが、これは莫大なユーザーニーズと資金力で時間が解決してくれることだろう。そのため、ここ数年のうちに我々の働き方は「AIと共働できる奴が強い」という世界観へと変化していくだろう。

プロンプトパターンとそのリプレイスメント

試しにどのような仕事の仕方になるのかを書いておこう。
例えばゲームのキャラクターを作ろうとしており、そのキャラクターの服のデザインを考えるとしよう。今までだと、アートディレクターが既存の作品やコンセプトからひねり出したものの中からよさそうな方向性をディレクターと話して決めるといった感じだろうか。この工程にだいたい1週間程度。もう少し気長にやるものだとひと月から数か月かけたりする。

そのゲームは、サイバーパンクな渋谷系だとしよう。とりあえずプロンプトを作ろう。

beautiful characters reference sheet of hyper detailed fashion cyberpunk shibuya, anime, game, high quality, ultra detailed, …..

stable diffusion prompt

ファッション「サイバーパンク、渋谷」のキャラクターリファレンスシートを作りたいというプロンプトだ。こちらから生成したのが下記の画像だ。

ぱっと見て使えないものも、たくさんあるが、ちょっと目を引くような組み合わせのものも出てくるだろう。「サイバーパンクはやめて、クトゥルフ忍者にしたい」とディレクターから言われたら、2週間ずっと作りこんでいたアートディレクターだとブチ切れるかもしれないが、AIは切れたりしない。先ほどのプロンプトの一部を修正して、1分程度待つだけだ。

beautiful characters reference sheet of hyper detailed fashion Cthulhu ninja, anime, game, high quality, ultra detailed, …..

stable diffusion prompt

正直、ネタとして考えた案だったのだが、意外にありなデザインが出てきてしまって驚いた。クトゥルフ案外行けるか、では違う系も掘ってみようかというのが、プロンプトエンジニアリングの世界である。

よし!こんどこそ思い付きのダメな案になりそうなクトゥルフヒーラーを作ってみよう!と夜中のテンションのディレクターは思いついてしまったとしよう。

beautiful characters reference sheet of hyper detailed fashion Cthulhu healer, anime, game, high quality, ultra detailed, …..

stable diffusion prompt


うーん、個性が少し足りない?相互に打ち消しあってしまっている?では、もっとダークにしてもらおう!

beautiful characters reference sheet of hyper detailed fashion dark Cthulhu healer, anime, game, high quality, ultra detailed, …..

stable diffusion prompt

つまり現代の優れたデザイナーとは、顧客の要望に合わせたイラストを素早く生成できるように、いかに多くのテンプレートを抱えているのかが重要になる。これはイラストレーターがイラストソフトのブラシの設定を数多く持っているのと何ら変わらない。

だからこそ、イラストレーターやディレクターは今のうちにAIイラスト生成を触っておいたほうが良い。この働き方の想像ができるかどうかで、今後の動き方が大きく変わってくるだろう。触る環境や時間がない人はLexicaあたりを見ておくとよいだろう。出力されたイラストと、そのプロンプトのセットを見ることができる。このサイトから良いプロンプトを見つけて、それの一部を改変してテンプレート化できそうかどうかを考えるとよいだろう。

https://lexica.art

ただし、これも現行のAIをうまく使うベストプラクティクスに過ぎないので、早晩に消えてなくなるかもしれない。

このパターンをゲームに応用

このプロセスを実際にやってみると、便利というのももちろんあるが、それよりも「面白い」ということに気が付く。これは私が絵が描けない人間だからかもしれないが、こういう絵を描いてと依頼して実際に絵ができるまで、人間のデザイナー相手だと少なくとも数時間、または数日程度は時間がかかるものだ。AIアートだと、これが30秒ほどになる。フィードバック時間が短いというのは、どんなものであれ人間の体感は増幅される。

予想をしているものが出てくる場合もあるが、予想もしなかったパターンが来ることがある。大当たりである。これは、ガチャの時の体験に非常に近いものを感じる。さらにガチャではすでに裏で仕込んであるものしか出ないが、AIアートでは常に新しく描かれた絵があり、あたかも創造のプロセスを行っているかのように感じることができる。この短時間でのフィードバックループというのは非常に面白いものであり、これ自体ゲームとして成立するのではないかと考えた。

ただ、これ自体とても面白いものではあるが、この学習モデルにはどのような単語がどのように使われているのか、その単語の組み合わせはどうすれば最適なのかを人間が学習するのにはそれなりにコストがかかる。

なので、この部分をゲームとして単純化し、ユーザーにはAとBの組み合わせだと何が出るといった部分にだけフォーカスしてもらうことで、より楽しんでもらえると考えている。前述の良いイラストが生成されることが保証されたテンプレートに対して、変数の組合せを変えてもらうイメージだ。

ただ、それだけではゲームとしては不十分で、目的を作るためのコンテストと報酬や、攻略を話し合うためのコミュニティ、価値の担保のために無限枚発行ではなく、NFTの数で制限するといった施策を重ねてゲームのように楽しめる仕組みを考えている。

今回のAIアートの登場によって、ただの「きれいな絵」というのは価値が暴落した。それこそ既存のプロンプトで絵を作ればできるものとなってしまった。これからの価値は、キャラクター、ストーリー、アイディアで価値を作る方向に進むだろう。そして、それは今まで絵を描くことがなかった大半の人々にとっても実現可能なところまで来たのだ。

このような形で、AIアートをゲーム化する新しい挑戦を今回は考えている。

AIアート生成によるゲーム拡張「ALKEMON」

コンピューターゲームの歴史をたどると、人間がゲームマスターをやっているボードゲームや、シミュレーションゲームから、コンピューターにゲームマスターを代行させるような方向に進み、人間では処理不可能なアクションゲームや複雑さを要求されるようなところまで拡張してきた。

今回は、それを画像生成部分に拡張をさせたものとなる。簡単に仕組みを説明しよう。

まず「Alkemon」NFTがあり、このNFTは、ベースとなる生成用プロンプトテンプレートと、いくつかの(レア)生成用キーワードを持っている。

◆Alkemon NFT
・ドット絵にちなんだ、生成用プロンプトテンプレート
・生成用キーワード×n

初出アルケモンをちらり

また、生成用キーワードアイテム(Alkemic Spell)は、AIアート生成をすることで追加でもらえたり、そのほかの手段でも提供される。

◆Alkemic Spellアイテム(オフチェーン)
・生成用キーワード

AIアートを生成する際は、アルケモンNFTと、(保持しているすべてのAlkemonとすべてのAlkemic Spellアイテムを合わせたものの中から自由に)生成用キーワードを複数指定して選び、AIアート生成を行う。そして良いものができたら、NFTの背面スキンとして設定ができるという仕組みだ。

そして、この作ったAIアートを使ってキャラクターコンテストを行い、できたキャラクターをドット絵として書き起こしてゲームの中に取り込んでいきたい。コンテストの入賞作品は、クリエイターに特別なNFTを配布し、そのキャラクターの権利を一部持てるようなことを考えている。

フィットネスゲームでのAIアート

ここまでは、まだフィットネスゲーム前の段階だが、フィットネスアプリではさらに拡張を進めていく。

フィットネスで回るスゴロクゲーム

フィットネスアプリでは、アルケモンNFTや、ほかのアイテムNFTについて、すべて生成時にランダムで生成キーワード(Alkemic Spell)を含ませる。こうすることで、NFTに固有の価値が感じられたり、収集欲求などを感じられるようにする。

また、アルケモンやアイテムの成長などに伴い、ランダムでの生成キーワードが追加されることで、よりアルケモンに対して固有性・価値を感じるようにする。

また、コラボNFTなどでも、生成キーワードの供給を考えており、持っているNFTによってNFTに依存した生成キーワードの追加を考えている。

こうすることで、AIイラスト生成そのものをゲーム化し、みなで攻略してもらうことを考えている。このような形で、ユーザーにも創造をしてもらい世界を一緒に広げるような挑戦をしたいと考えてる。興味がある方は、見てみてほしい。

まとめ

・AIアートを含めAI生成技術がすごい勢いで成長しつつある
・AIアート技術は、専門家を必要としなくなるわけではない
・これからはAI生成技術を使った働き方が、前提として広まる
・「AIと共働できるやつが強い」世界観がやってくる
・ディレクターやデザイナーは触っておいた方がよい
・遊びの世界もAIアートは変える可能性がある
・ユーザーが指示をしてAIアートでガチャをする遊びを作っている
・ユーザーにも創造を担当してもらうゲームは増えるだろう

ALKEMONの紹介

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