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一級建築士【計画】_日本建築史04【いじめられっ子オオクニヌシと出雲大社】

皆さん。こんばんは。

Kaede Architect'sのなかむラテです。

今回も一級建築士の出題範囲である『日本建築史』において、知識定着に役に立つ神話「古事記」ついて書いていこうと思います。

前回までのコラムは下記からお読み頂けます。

******古事記******

今回は、アマテラスとスサノオのダブル主人公の後、次なる主人公になった大国主大神(オオクニヌシ)編です。

オオクニヌシは、スサノオの6代後の子孫に当たります。

それでは、いじめられっ子オオクニヌシが出雲を治めるまでの物語を是非お読み下さい。

神話「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」

スサノオの子孫であるオオクニヌシには、多くの異母兄弟がいましたが、ある時、兄たちと求婚の旅に出ることになりました。

いじめられっ子のオオクニヌシは、兄たちの荷物番でした。

そんな旅の途中、オオクニヌシは体の皮が剥がれ真っ赤に腫れ上がった兎(うさぎ)に出会います。

事情を聞くと、『ワニを騙したことで体の皮を剥がれ、更にオオクニヌシの兄達に「海水に浸かれば治る」という嘘を教えられたことで体中が痛くて動けないほどになってしまった』と言うのです。

可哀想に思ったオオクニヌシは、その兎に「真水で洗って蒲花粉に包まっていればよい」と教えます。

オオクニヌシの言う通りにした兎はすっかり回復し、

「実は私は兎の神です。求婚が成功するのはあなたです」と言うのです。

いじめられっ子オオクニヌシは、にわかには信じられませんでしたが、

実際に、姫はオオクニヌシのこと選んだのでした。

驚き半分嬉しさ半分のオオクニヌシでしたが、兄達は許してくれませんでした。

オオクニヌシに嫉妬した兄達は、オオクニヌシを殺そうと企みます

兄達は「イノシシを追いかけるから捕まえろ」と言いながら、火で焼けた大きな岩を落としたり、大きな木の間に挟んだりして、オオクニヌシは何度も命を落とします。

オオクニヌシの母は兄達に激怒し、神の力でオオクニヌシを生き返らせましたが、これでは命がいくつあっても足りません。

そこで母の助言で、オオクニヌシはスサノオがいる根の国に避難することになったのです。

スサノオの試練

根の国に着いたオオクニヌシでしたが、スサノオの娘であるスセリヒメと恋に落ちます。

しかし、スサノオがそう簡単に許してくれるわけはありません。

今度はオオクニヌシはスサノオからいじめを受けてしまうのです。笑

蛇やムカデがいる部屋に寝かせたり、「矢を拾ってこい」と命じ、そこに火のついた矢を放って草原ごとオオクニヌシを焼こうとしたりします。

オオクニヌシはここでも命の危険にさらされます。

しかし、スセリヒメや動物たちの助けによって、何度も危機から脱するオオクニヌシ。

次第にスサノオもオオクニヌシを認め始めます。

しかし命の危機を感じていたオオクニヌシは、スセリヒメと一緒にスサノオの元から逃げ出す作戦を立てます。

夜、スサノオが寝ている間にスサノオの髪の毛を柱に縛り、その隙をついて逃げました。

しかし、スサノオはオオクニヌシと可愛い娘であるスセリヒメが逃げたことに気づき、オオクニヌシを追いかけます。

オオクニヌシ達に追いついたスサノオは、こう言うのです。

「オオクニヌシよ。芦原中国の王となれ!出雲は任せた」と。

こうしてオオクニヌシは、出雲に降りたち、他の神々の力も借りつつ、出雲の国を見事繁栄させていったのでした。

出雲の国譲り

オオクニヌシが出雲の国を繁栄させて、数年。

ここで太陽神アマテラスが動き始めます。

「出雲めっちゃ栄えてるけど、オオクニヌシってスサノオの子孫だよね?このままあいつに任せていて良いのかな?」と。

こうしてアマテラスは、オオクニヌシの元に自分の部下を派遣させ、「国を譲るように」と提案させます。

しかし、オオクニヌシはアマテラスからの使者を何度ももてなし、出雲の国を治め続けていきました。

見兼ねたアマテラスは遂に、幹部である建御雷神(タケミカヅチ)というとても強い神を使者として送り込みます。

タケミカヅチは腕を刀に変えられる神で、相当強く、オオクニヌシの子孫達も歯が立ちませんでした。

そして遂に、オオクニヌシは「出雲の国をアマテラスに譲る」という決断をするのです。

しかし、ただでは終わらないのがオオクニヌシ。

「国を譲る替わりにここ出雲に大きな社(やしろ)を建てて貰えませんか?」とアマテラスにお願いしました。

こうして作られたのが、『出雲大社』です。

『出雲大社』では、太陽神アマテラスに国譲りを頼まれるほど、国を繁栄させたオオクニヌシのことを祀っているのです。

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出雲大社-オオクニヌシを祀る

出雲大社は正確には「いずもおおやしろ」と言います。

オオクニヌシが「大きな社(やしろ)」をアマテラスに建てて貰ったことが神話としての名前の由来です。

またオオクニヌシは、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)ですが、「大国様(だいこくさま)」という別名もあり、縁結びの神様としても親しまれています。

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建築特徴

【大社造】
伊勢神宮の神明造とともに、神社形式で最も古いものです。

伊勢神宮と同様に「切妻造」、伊勢神宮とは異なる「妻入」で、住吉大社と同じ形式を持っています。平面は正方形となっています。

有名なのは出雲大社の規模で、現在のものは高さが約24mですが、もともとはもっと大きく、縮小して今の形になっていると言われています。

2000年に巨木の柱の跡が見つかり、復元してみると、
高さが48m(今の倍)はあったのではないかと推測されています。

また、出雲大社の特徴といえば、やはり大きな注連縄(しめなわ)ですよね。

春日大社-タケミカヅチを祀る

奈良県にある「春日大社」は、御蓋山(みかさやま)に国家の安泰と国民の繁栄を祈念したのが始まりとされていますが、

主祭神はオオクニヌシの元に直接訪れて、国譲りを依頼した刀の神である『タケミカヅチ』と言われています。

この神社の狛犬が『鹿』なのは、タケミカヅチが鹿に乗って国譲りに行ったと言われているからだそうです。

建築特徴

【春日造】

出雲大社と同様に「切妻造」「妻入」で、母屋に向拝(こうはい)と呼ばれている入り口を迎えるように片流れの屋根がついています。

春日大社の本殿はとても小さく柱間が1.9mしかないのですが、
屋根の上には伊勢神宮と同様に、堅魚木と千木がついています。

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【次回】

まだ決めかねていますが、次回は、古事記(神道)から仏教に戻り、奈良時代の寺(東大寺等)についても書きたいと思っています。

古事記の話では、オオクニヌシの後に出雲を治めるために来たアマテラスの子孫である瓊瓊杵尊(ニニギ)が「天孫降臨」する話も書きたいです。

次回もぜひ、よろしくお願いします。

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