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競技に集中できる環境づくりを目指して~「アスリートのためのお金の教室」イベントレポート~

こんにちは!マネーフォワード広報部の門脇です。

2022年3月、現役アスリートの方を対象にした金融リテラシー向上のためのイベント「アスリートのためのお金の教室」マイナビアスリートキャリアさんと共同開催しました!

サッカーや陸上競技など、様々なスポーツに打ち込む25名のアスリートにご参加いただき、「お金との向き合い方」「はじめての資産形成」「デュアルキャリアで描けるライフプラン」という3つのテーマで講演。

今回は、プロジェクト発足の経緯から当日のイベント開催までの想いをお伝えします!

約9割のアスリートが「お金の不安を感じている」

発端は、アスリートのキャリアに対する悩みや不安と日々向き合っているマイナビアスリートキャリアさんから、「アスリートがお金について学べる機会を提供して、キャリアのサポートをしたいので何かご一緒できませんか?」とお声がけいただいたことがきっかけでした。

当社は「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、お金に関する課題解決を通じて人々がチャレンジできる社会づくりを目指しています。サッカークラブへのスポンサーシップなどを通じて、スポーツへの貢献を目指している当社としても、ぜひご一緒させていただきたい!という想いから、このプロジェクトはスタートしました。

まずは、実際にアスリートの方々が「お金」に対してどのような不安や課題を持たれているのかを知るために、現役アスリートを対象に「お金」に関するアンケートを実施しました。調査によると、アスリートの約9割が少なからずお金に対する不安を抱えているということが明らかに・・!

※現役アスリートを対象「お金の実態調査」集計結果の詳細については、こちらをご覧ください。

このような現役アスリートの方々に対して、金銭面での不安を感じることなく競技に集中できる環境をつくりたい!と考え、金融リテラシー向上を目的にした「アスリートのためのお金の教室」を開催することになりました。

ここからは、当日のセミナーの様子をお届けします。

お金の不安は行動で解消できる

はじめに、マネーフォワード 執行役員 CoPA 兼 Fintech研究所長の瀧から、「自分とお金について、今日からできること」をテーマに講演しました。

「まず、”お金の不安”の正体を探ってみましょう」と、この「不安」とは何か、というお話からスタート。
ここでいうお金の不安というもの、実は「対処はできるけど後回しにしているもの」ではないかと瀧は話します。こういった種類の不安については、実際に行動してみることで解消できるものが多くあるとのことです。

年齢を重ねるにつれて「お金」の不安は徐々に減っていく傾向に

「人生100年時代」、私自身も長い人生のライフプランを描くのは難しいと常日頃から感じています。特に20-30代の若い世代は、「お金の不安」を感じやすい傾向があるようで、これらはお金の管理を習慣づけたり、仕組みを整えたりすることで大部分が解決できるそうです。

瀧によると、そのために最低限行うべきことは、シンプルにこの2つだけ!

①家計管理(毎月の収入額と支出額を把握すること)
②今後2-3年で、どのような支出や意思決定が必要になるか把握すること

加えて、アスリートはスポーツ特有の支出についても考えておく必要があります、と瀧は続けます。
競技に使用する用具の買い替えや遠征費、ケガをした際の治療や入院費など、いざという時の高額な出費に自分ひとりで対応するのは、かなりハードルの高いことですよね。
このような時に「どこまで誰に頼れるか」を自分のなかで考えておくことが重要で、これは「頼ることを前提」に行動するのではなく、いざという時に「頼れる人に頼る」。これは甘えではなくて、自分にとっての大切な資産と捉えて整理しておくことが大切だと瀧は話します。

次に、ライフプランニングは「いま貯金がいくらあるか」ではなくて、「人生をかけてやりたい仕事」と「稼いだお金を残すこと」の掛け算だと瀧は話します。
アスリートの方々は、まずはスポーツでお金を得ることを思い浮かべると思いますが、他の業種と比較しても平均的にはスポーツで収入を得られる期間は短いのが事実。
とはいえ、一般的なビジネスパーソンでも、キャリアパスのなかでも3-4回は仕事上で大きな転換期を迎えることは珍しくなく、つまり変化は常に訪れるものだと理解してキャリアを考えることが重要とのことです。

最後に「自分のやりたいことが必ずしも高い収入につながるとは限りませんが、焦ることはありません。足元の状況だけ見て不安を抱えるのではなく、今は長い人生の一部分なのだと捉えることが大切です」と締めくくりました。

資産形成=ライフプランを実現するための準備

続いて、中釜美香税理士事務所の中釜さんにご登壇いただき、「お金の管理と資産形成の方法」についてお話いただきました。

まず始めに中釜さんは、難しく捉えられがちな「資産形成」について、「思い描く将来的な夢やライフプランを実現していくために必要なこと」だとお話されました。
20-30代の若い世代は、これから先の長い人生のなかで様々なライフイベントが待っています。それらを実現するために「どれくらいのお金が必要なのか」ということを具体的にイメージして準備しておくことが大切とのことです。

ライフプラン=人生の設計図

資産形成の方法は大きく分けて「投資」と「貯蓄」の2つです

「投資」
お金を不動産や株式などに形を変え、それらの価値が上がることによって、お金(資産)を増やすこと → お金が「働いている」状態

「貯蓄」
現金を銀行口座等に預け入れておくこと → お金が「寝ている」状態

前段で瀧が話していた「最低限行うべきこと」の1つである「家計管理」で、収支を見える化したあとに黒字であれば、貯蓄に回す一方でコツコツと投資することも検討することを中釜さんはおすすめしていました。
長期の資産形成においては、若いうちから投資をすることでその効果を大きくすることが可能です。このことに「早いうちに気付いた」ということを是非活かしていただきたいとのことでした。

開催後のアンケートではさっそく「貯蓄ばかり考えていましたが、まずは少額投資から始めてみます」という嬉しいお声をいただき、アスリートのさすがの瞬発力を感じました・・!

プロを目指すか迷ったら、まずは「デュアルキャリア」を

最後にマネーフォワードビジネスカンパニー パートナービジネス部に所属する上之段から、「働きながらアスリートのキャリアを歩むための思考法」をテーマにお話しました。
実は上之段、マネーフォワードで仕事をする傍ら、3人制バスケットボール「3x3」のプロチームと契約し、デュアルキャリアを実践している現役アスリートなのです!
セミナー開催にあたりプロジェクトの趣旨を伝え登壇を打診したところ、「アスリートのお役に立てるならぜひ!」と二つ返事で快諾してくれました。

上之段は、プロジェクトのキックオフ時に実施した「お金」に関するアンケートの結果にも共感するポイントがかなり多くあったようで、特にお金の不安TOP3の1位「競技生活を満足に送るためのお金があるか」と2位「引退後、十分な収入が得られるかどうか」は、上之段自身や周りのアスリートの声からも切実な課題であると実感していたそうです。

上之段はデュアルキャリアを選択した経緯について、「大学卒業と同時に一般企業に就職し社会人チームで競技を継続していたなか、プロからのお声掛けいただいたこともありました。ただ、プロとして活動するにあたっては、期待よりもお金に対する不安の方が大きかったためお断りしましたが、不安が無ければチャレンジしていただろうなと、いま振り返るとそう思います」と自身の経験を踏まえたうえで、「ただ結果として、デュアルキャリアを選択した決断は間違っていなかった」と振り返ります。

特に大きなメリットとして、「収入面に対する不安が解消(軽減)されることはもとより、競技のモチベーションにポジティブな影響を与えることができる」と上之段は話します。

上之段の経験による、デュアルキャリアの4つのメリット

例えば故障やスランプに陥ったときに、プロだとそれから抜け出すために常に向き合い続けなくてはなりませんが、一方でデュアルキャリアは、仕事のほうにモチベーションの比重を置くことで、焦ることなく競技にも向き合うことができ、仕事のスキルアップにも繋がるため相乗効果を得られ、むしろ両方のパフォーマンスの向上を実感するそうです。

最後に、デュアルキャリアを継続することで大切なことについて3つ挙げました。

①周囲のサポートと理解
 自身も家族や同僚の理解に支えられている
②タイムマネジメント
 限られた時間のなかで練習やコンディション調整を行い、集中力を保つためにもオンオフの切り替えは重要
③ライフプランの設計
 健康もお金も必要不可欠

特にライフプランについては、前段で中釜さんがお話された資産形成について振り返り、「今後のライフイベントで必要になる出費を予測し、ある程度準備しておくことと早めに資産形成に取り組むことが重要」と経験者の視点で話します。

続けて「競技を継続するうえで、仕事とも相乗効果を得ることができるデュアルキャリアは最善の選択肢だと思っています。プロを目指すか悩まれている方は、まずはデュアルキャリアを選択して競技を継続する道を選んでみては」と当事者ならではのアドバイスで講演を締めくくりました。

あとがき

当日ご参加いただいたアスリートの方々からは、「目の前のことだけではなく将来の自分や家族のライフプランも視野に入れて行動したい」や「競技にも打ち込めるようにお金の管理から始めたい」といった前向きな嬉しい感想をいただきました!

私自身、いつも観る側として楽しませてもらっていたスポーツの裏側で、これほど多くのアスリートの方々が「お金に対する不安」を持っていたことに気付けていませんでした。
スポーツから生まれるワクワクや熱狂は何ものにも代えられません。これを守り、さらなる発展に貢献するためにも、1人でも多くのアスリートがお金の不安から解放され、競技に集中できる環境づくりを後押ししていきたいと強く感じるプロジェクトとなりました。

今後もアスリートのお金の不安をはじめとするスポーツ界のお金の課題解決に取り組むことで、日本のスポーツを応援していきます!


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