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カルボナーラという松本清張の小説みたいなパスタ

ボナセーラ!ケイチェルおじだよ。

今日はカルボナーラを作ったので、おいたんがカルボナーラについて思うところをいろいろと語ってみたい。

実はおいたんがカルボナーラを作り始めたのは、以前記事にしたジェノベーゼと同じくらい古くて、今から20年以上前の大学生のとき。当時付き合ってた彼女がイタリアからの帰国子女で、自炊を始めたばかりのおいたんはカルボナーラの作り方を教えてもらったんだよね。と言っても「卵は卵黄だけがいいけど、もったいないから全卵使う。生クリームは高いから牛乳少しとチーズ入れて塩コショウで味付けするだけ」っていう超大雑把な指示w

今から思うと、彼女の大雑把なレシピは正しかったのかもしれない。その後、フランスに行ったときに仲良くなったローマ出身の女子がカルボナーラ作ってくれたことがあるんだけど、まさに大雑把な感覚で作ってて、しかもまさかのアルデンテじゃないふにゃふにゃスパゲッティ!(単にその子が料理下手なだけだった可能性あるw)

個人的にはカルボナーラって、日本で言えば釜玉うどんみたいな気楽な大衆料理じゃないかと思ってる。そもそも第2次大戦直後の食糧難の時代に、アメリカの支援物資として届いたベーコンと地元の卵でパスタ作ってくれって米軍の将校に頼まれて生まれた料理っていう説が有力なんでしょ。日本のナポリタンと同じやん。

それが今じゃなに、生クリーム使うのは邪道だの、ベーコンじゃなくてパンチェッタだ、いやグアンチャーレじゃなきゃダメだの、粉チーズじゃなくてパルミジャーノだ、いやペコリーノロマーノじゃなきゃイヤだの、すっかり良いとこの奥様みたいな顔しちゃってるよね。松本清張の小説か?

ちなみにおいたんは高校生の頃に清張作品にハマって、そのうち何冊かは5年おきくらいに読み返すほど今でも好きなんだけど、『ゼロの焦点』もいいけどやっぱり一番は『砂の器』だな。

1974年の映画(加藤剛、丹波哲郎主演)の影響もあってか、ハンセン氏病の父親とその息子への差別と親子愛が中心的なテーマと思われている節があるけど、しかし原作をお読みになれば分かる通り、本作においてはハンセン氏病も親子愛も取ってつけたような逸話にすぎず、おいたんに言わせれば本当の主題は何より「ヌーボー・グループ」と呼ばれる知的若者集団を通して描かれる都市生活と、主人公が放浪した「忘れられた裏日本」の生活との対比であって、そしてこのモチーフこそ松本清張という人の人生を表現している…。おっと、ついつい熱く語り始めてしまった。

(実はこの後『砂の器』と松本清張論を500字くらい小難しく書いてたら話の着地点が見えなくなって、おいたんの頭が「プシュー」って音を立てたので全部消したw)

ちなみに、『砂の器』はまずは原作を読んでほしいけど、映像化されたもののなかでは2004年のTBSドラマ版(SMAPの中居くんと渡辺謙主演)が1番好き。

原作のあの殺人トリックをどうやってリメイクするんだろう、まさか中居くんが歌うんじゃ…ってハラハラドキドキする作品w 当時、佐賀県出身を「公表してねえ」でネタになってた松雪泰子が、出自を隠して生きるミステリアスな成瀬リエ子役を演じてたのも絶妙なハマり役だったw 成瀬の出身地とされる村のロケ地が「舟屋」で有名な京都府伊根町なんだけど、その伊根をはじめ日本海沿岸の様々な場所の風景が素晴らしい映像美で随所に挿入されてて、制作スタッフの力の入れようが半端ない作品。ドリカムの主題歌も映像にマッチしててすごくいい。

えーと、なんの話だったっけ?

そうだ、カルボナーラだ。学生時代以来20年近く定期的にカルボナーラ作ってきたわけだけど、いろいろ紆余曲折はあったよ。生クリーム使ってみたり、卵黄とチーズだけで作ってみたり、全卵で作ったり、牛乳と小麦粉でベシャメルっぽいスープをベースにしてみたり。

特に理想のカルボナーラを出すお店があるというわけじゃないんだけど、その辺にあるイタリアンバルで出してるようなクリームパスタに卵黄乗っけたようなカルボナーラが1番美味しい気がする。

好みによるんだろうけど、卵黄とチーズだけの濃厚なやつはあんまり好きじゃない。フランスにいたときに、カフェやビストロで食べたカルボナーラはだいたい濃厚系だったんだけど、パスタふにゃふにゃ、味は短調で、食べてて吐きそうになったトラウマもあるw

これまで作ってきたなかで得た自分なりの教訓として、

①普通の粉チーズは入れると不味くなる(少なくともおいたん的には)。ピザ用チーズの方がマシ。

②生クリーム使うと美味しいが、高いし、消費のメドがたってないとうっかり使いきれず残りを捨てるハメになる。

③全卵でも充分美味しい。

④全卵に、オムレツ作るときと同じくらいの牛乳を入れるのがよい。

⑤スーパーのベーコンで充分。パンチェッタやグアンチャーレにする意義はほとんど感じない。

ってところかな。完全に学生時代の彼女の言ってた通りや!

ってわけで、作ってみます。材料はこちら。

スーパーに売ってる少し厚めのベーコンニンニク玉ねぎはローマ法王庁のレシピでは入れるらしいという話を何かで読んで、おいたんも入れます。入れた方が美味しいと思う。鷹の爪は完全においたんの好み。昔は唐辛子オイル自作して出来上がりにかけてたけど、最近は鷹の爪で妥協。

全卵しっかり溶いたあとに、牛乳少しピザ用チーズいれて、塩少々。チーズオムレツ作るより気持ち塩多めで。黒胡椒は多めが好きな人はここで卵液に入れておきましょう。

フライパンでベーコンを焼きます。最初は油を引かずに。ちなみに麺は安売りしてたディチェコ1.6mmを使います。特にこだわりはないけど、1.6か1.7がいいんじゃないでしょうか。

ベーコンに焼き色が付いたらオリーブ油を少しさして、ニンニクと玉ねぎと鷹の爪を投入します。この辺りでパスタを茹で始めます。

ニンニクや鷹の爪が焦げそうになったらパスタの茹で汁を入れます。

パスタが規定時間に茹で上がるまで、フライパンは弱火で茹で汁の水分を飛ばしましょう。

パスタが茹で上がったら、お湯を切ってフライパンに投入。弱めの中火くらいで温度を上げつつ具材とよく絡めます。

全体が混ざったら火を止め、卵液を投入します。

全卵でかつ牛乳少しとピザ用チーズが入ってるので、火を止めた後もある程度フライパンの温度が残ってる方がいいです。ここで適度なトロみになるまでしっかり混ぜ、お皿に盛り付けます。

最後に上から黒胡椒を振って完成↓

個人的には濃くもなく薄くもなく、このくらいがちょうど良いね。

お店で食べる生クリームのカルボナーラとはまた違った、卵かけご飯的な安心できる美味しさがある。

ちなみに今日の夕食の全体像↓

以前作ったナスのカポナータが美味しすぎてまた作ってしまった。今度はお代わりしたい欲求を抑えて、残りは常備菜にしたぞ。

というわけで、なんとか話を着地させることができたかな(笑) 危うく松本清張の話だけで終わるところだった。みんなもぜひ『砂の器』読んでみてね。カルボナーラはどうでもいいから。

おわり。

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