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テレ東好き

学生時代、バックパッカーだった。海外に出られないときには、ロードムービーを旅の代替品としたものだ。

お気に入りは、ナイト・オン・ザ・プラネット、パリ,テキサス、テルマ&ルイーズ、バグダッドカフェ等。もちろんイージーライダーも。スクリーンを通じて海外の風景を疑似体験出来るだけでなく、ダラダラした気怠い進行が海外のゲストハウスの倦怠感を思い出させてくれる。

さて、私の住む某国でも、今どきは日本国内と同じように日本のテレビ番組が見られる。なぜか、テレ東(テレビ東京)ばかり見てしまう。YOUは何しに日本へ、路線バスの旅、タクシー乗り継ぎ旅、電動バイク旅、、、等。海外に住んでいると、日本の風景と息づかいが溢れるこれらのロケ番組は、さながら日本を舞台にしたロードムービーのように、心に潤いを与えてくれるのだ。

どの番組も大ファンなのだが、最近、ロードムービー感が落ちてきたような感じで、少し心配なところもある。路線バス旅に蛭子能収さんが出ていないこととも関係がある。

ロードムービーに出てくる人物は基本的に不器用だ。旅の相棒や行く先々の人々との間に、摩擦やトラブルを起こしながら旅を続ける。そのプロセスこそ、ロードムービーの醍醐味であって、太川、蛭子コンビの路線バス旅にあったものだ。ゴールに到達するかどうかは、ある意味どうでもよいのだ。

最近の路線バス旅は、同じ海外ロケ映画でも、ミッションインポシブルや007さながらのスパイムービーに変わってきた。成否、勝ち負けがテーマとして大きな部分を占めるようになってきたからだ。太川陽介さんはヒッピーコンビの一人から、スパイ組織のエージェントに変わってしまった。残念だ。

さて、そんなテレ東にも、本当のロードムービーがまだ残っている。「家、ついていってイイですか?」だ。移動距離こそしれているが、気怠さと息づかいはジャームッシュのロードムービーそのものだ。

テレ東ロケチームは本当に優秀だ。不器用で魅力的な一般人を見つけるのがメチャクチャ上手い。

毎回、予想外の展開と、独特の緊張感にドキドキさせられている。

励みになります。 大抵は悪ふざけに使います。