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【I-027】モヤモヤが残る適当な受け答え

平日昼間、中央線各駅停車でウトウトしていたら、「ここなら座れるかしら?」とシニア女性の声がした。目を開けると、向かいの席の女性が声の主とわかった。女性は私と同じくドアのすぐ横の席に座っており、ドア前にいるベビーカーの若いママに声をかけたのだ。
ママは、ベビーカーに赤ちゃんを乗せずに自分で抱っこしていた。ベビーカーはストッパーがかかっているようだが、時より手や足で器用に押さえていた。そんな状況に気が付いたシニア女性が、ドアすぐのこの席なら赤ちゃんを抱っこして、ベビーカーも押さえられるのでは?と思い、声をかけたのだろう。

シニア女性の声掛けにママは、にこやかに
「1駅なので大丈夫です、ありがとうございます。」と返事をした。シニア女性は「あ、私は2つ先だから」と言って、このやりとりは終了した。
ここまでは非常に良い光景であった。

しばらくして、ママが降りるであろう駅に着いた。

しかし、ママは動かない。

私は全くの部外者だが、何だか無性に気になった。

電車はすぐに発車し、ほどなくして次の駅に着いた。
元々シニア女性が降りる予定の駅。
ドアが開く直前に女性が席を立った。開くドアは私側の方なので、こちらに向かって移動してくる。

すると何とママも移動してきた。

その気配に気が付いた女性は後ろを振り返ったが、ママが微妙に目線を合わせず、シニア女性とのコミュニケーションをかわした格好になった。
私にはバツが悪いので、わざと目線を外したのだと感じた。
女性もそれ以上は何もせず、電車を降りて行った。
その時一瞬「何よ!」といった感じの怪訝な表情になったことを見逃さなかった。

ママも片手でベビーカーを押しながら、ホームへと降りていった。

私はそのまま乗車していたので、その後、ホームで何かコミュニケーションがあったかは分からない。まぁ、単純に駅の数を勘違いしただけのことだろうが、シニア女性からすれば、納得がいかないだろう。
親切心で声をかけ、すぐ降りるからと断られ、結局自分と同じ駅で降りる。それで、そのことに関して特にママから何のコメントもないので、さぞモヤモヤしただろう。何気に観察していた私もかなりのモヤモヤ感が残った。

大きな独り言のように「あれ?駅の数間違えちゃった」とでも発してくれれば、シニア女性も救われたであろうし、その後の会話も成立したはずである。今どきの若い人は、こういう時のコミュニケーションが苦手なんだろうな、と勝手に決めつける昭和のおやじでした…。


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