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面白くて眠れなくなる植物学 稲垣栄洋著 PHP文庫(2021年2月発行)

2016年に発売された単行本の文庫化です。増刷されたのか、書店で平積みになっていました。
ちょっと前に読んだ「植物はなぜ動かないのか 弱くて強い植物のはなし」がめっぽう面白かったので、普段なら「面白くて眠れなくなる」シリーズは読まなかったのですが、今回は即購入でした。

植物学についてあまり本を読んでこなかった、ということもあるのでしょうが、今回も面白かったですね。
「木はどこまで大きくなるのか」「トリケラトプスの衰退と植物の進化」「紅葉はなぜ赤くなる」「マツはなぜめでたいか」「竹は木か草か」「雑草を育てられないのはなぜか」「なぜ赤ちょうちんに魅かれるのか」「古代文明と植物栽培」「バナナのタネって?」「木造建築の柱は生きているのか?」などなど。ね、興味魅かれるでしょ。

ただこれだけ並べるとまるで「ウンチク」の宝庫のようにも見えるのですが、そこは著者の巧みなところで、それぞれの問いに対して「植物学的な体系知識」が(初歩的だとは思いますが)得られるような構成になっています。広大な「植物学という地図」の中から、ポイントとなる「名所」を抜き出して、そのエリアについて深く知るきっかけを与えてくれている、そんな気がします。

加えて文章も平易で、専門用語こそありますがそれが少しも苦になりません。新書・文庫を問わず、様々な専門分野の一般向け解説書を読んできてはいますが、あまりであったことのないタイプです。
「眠れなく」はならなかったのですが「面白くて」途中でやめられない一冊でした。


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