見出し画像

思いを伝えれば商品は売れるのか?

「集客」を「自分の思いを伝えること」だと誤解している人がいます。
そういう人は自分のチラシなどに、自分が日々どんな思いで仕事をしているのか、何にこだわっているのか、など自分についてばかり書いているんだと思います。

仕事に思いを込めることは大切だ

もちろん、仕事をする上で誰しも思いを抱いているものです。

ただ金がほしいから働く、という人よりは、世のため人のためを思って仕事をしている人の方が、人に好かれるというのも事実です。

自分が何のために仕事をしているのか、仕事を通して何を実現しようとしているのかという思い。
これを「ビジョン」といいます。

自分のビジョンを多くの人に伝えることは大切です。
そのビジョンに共感してくれる多くの人を引き寄せることになるからです。

ただ。

何のためにそれをするかというと、商品を売るためではないんですよね。
「思いを伝えれば商品は売れる」というのは完全な誤解なんです。

自分発信から相手の思いを受信するへの転換

私は他人の思いを大切にしている」というのは個人の信条として立派なことです。

しかし「だから相手も私の思いを大切にしてくれるだろう」という思い込みは、自己中心的な考え方です。

自分がこうだから、相手も同じだろう、という推論は必ずしも成り立たないということです。(もちろん、そうである場合もあることは否定しません)

人間はどこまで行っても、結局は自分が中心なのです。
あなたがそうであるように、あなたの商品を買ってくれるお客さんもそうです。

たいていの人間は、自分の話を聞いてくれる人を好きになります
相手がどういう思いを抱いているかを聞くこともなく「私がこうだから、あなたもそうよね」という人を好きになる可能性は低いです。

商品は「不」を補完するもの

商品というのは何でしょうか?

今は、売り手にとっての「商品」ではなくて、買い手にとっての「商品」について考えてみましょう。

買い手が100%充足していれば「商品」は気まぐれでしか売れることはありません。

お腹も減っていない、仕事にも満足、家庭も円満、自分の目標にも着実に近づいている、そんな人はあらためて何かを買い求める必要はないはずです。

空腹であれば腹を満たすための食物を買い求めるように、何か欠けているものがあれば「商品」は売れます。

つまり「」です。
不足、不満、不安、不明、不安定、不完全‥‥
「不」は欠けていることをあらわします。
買い手の側になにか欠けている。
それを補完するものが「商品」なのではないでしょうか?

相手のどんな「不」を埋め合わせようとしているのか?

ここで最初にお話した売り手側の「思い」に立ち戻ってみます。

買い手が自分の商品に興味を持ってくれるとすれば、それは買い手の「不」を埋め合わせてくれるという性質を持っているからでしょう。

この時、売り手側がどういう思いで商品を提供しているか、というのは買い手には関係ありません。

買い手は純粋に「この商品は自分の欠けているものを埋め合わせてくれるか否か」という判断で商品の購入を決断するはずです。

ただ、その後にもうひとつの決断があるのですよね。

それは「誰からそれを買うべきか?」という決断です。

この世の中にひとつしかない商品であれば迷う必要はありませんが、そんな商品はめったとありません。(そういうふうに見せかけている商品はいっぱいあります)

誰からそれを買うべきか?

という決断を迫られた時にはじめて、買い手は売り手のことを気にします。

この時に売り手が自分の思いを的確に買い手に届けることができていたら、それは選択してもらうひとつの指針になるはずです。

ただ、それはいろんな決定要素のひとつにしかすぎません。

さまざまな決定要素がありますからね。
たとえば、信頼できる相手かどうか、実績があるのかどうか、自分に合う相手かどうかなど。

そのひとつとして、あなたが仕事にかける思いも評価されるのです。
必ずしも決定的な要素になるとは限らない、ということは理解しておく必要がありますね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?