【スマホ/Switch】時間制限では子どもは100%守らない。「スマホを自由に使うためのルール」を設定する大切さ
スマートフォンやゲーム機を使わせる際に、時間制限をしている家庭は多いと思いますが、例外なく、子どもがルール守らなかったり、癇癪を起こしたり、問題が多発しているはずです。
時間制限は非合理的であるのと同時に、本質的でもありません。「スマホを制限するルール」ではなく「スマホを自由に使うためのルール」の考え方と、ルール作りのコツを紹介します。
4歳くらいから始めることができ、早ければ小学校低学年くらいでセルフコントロールが身につきます。
子ども側に何もメリットがない、時間制限ルール
まず、子どものことはいったん忘れて、一般的なルールづくりについて、考えてみましょう。たとえば、会社で、コピー用紙の使用は1日10枚まで、という謎ルールが制定されたらどうでしょうか。
資料を印刷するのにコピー用紙が12枚必要だとしたら、2日に分けなければいけないわけです。不便ですし、困る場面もあるでしょう。ルールを作った総務課からは、特になにも説明がない。そういう規則になったので守ってください、と言うだけ。
こんなとき、会社ではルールが守られるでしょうか。おそらく、「はぁ?バカバカしい」と、なし崩し的に形骸化していくのではないかと思います。それでも口うるさく徹底しようとすれば、会社内の雰囲気が悪くなるでしょうね。
理不尽で、協力したいとカケラも思えず、1mmも納得いかない。これが子どものスマートフォンのよくある時間制限ルールの姿です。
問題点1:時間制限には根拠がなく、納得できない
「コピー用紙の使用は1日10枚まで」と聞いて、「え?11枚だと何がいけないの?」と思いますよね。
子どもだって、1日1時間ね、と言われれば、1時間5分だとなにがいけないの?と思います。もしあと5分が許されれば、10分、15分、と限界までゴネるでしょう。
「目が悪くなるから」とか「疲れてしまうから」とか、様々に理屈はつけると思うのですが、これで言いくるめられるのは幼児まで。年齢が上がってくれば、表面上は反抗せずとも、必ず理不尽だと感じています。
そもそも、大人は時間制限などせずに、好きなときに好きなだけ、スマートフォンを使っているわけです。
「ママは子どもが1時間以上やるのは良くないと思うから」と、ハナから理屈を無視してしまい、感情に訴える手段もありますが、これで理不尽を飲み込めるかどうかは、子どもの個性や、関係の作り方など、状況によります。
問題点2:「あなたには無理」のメッセージ
時間制限方式は、
「あなたには自分でコントロールするのは無理だから、親である私がコントロールします」
というメッセージを、子どもに暗に伝えることになってしまいます。
私はこれが最大の問題点だと思っています。
横断歩道は手をつないで歩こうね、と言っている幼児のうちはまだいいかもしれませんが、小学生、中学生になってまで、これでいいのでしょうか。
自立心も、自己肯定感も育ちません。
納得できない理由3:守ると損する
時間制限の場合、きちんと守った場合、スマホやゲームで遊ぶ時間がいちばん少なくなります。
先ほど「あと5分が許されれば、10分、15分、と限界までゴネる」と書きましたが、まさにこれで、あの手この手で抜け道を見つけようとし、どうにかズルできないかと考えるでしょう。
もちろん、ルールを破った瞬間にスマホをその場で叩き壊せるなら、話は別です。
が、実際には、その場で叱られるか、一時的に没収されるだけ。抑止力としてはかなり弱く、何度も同じことを繰り返す羽目になってしまうのは、日々実感しているとおりです。
「スマホを制限するルール」ではなく「スマホを自由に使うためのルール」に
そもそも、スマートフォンを長時間やるのは有害だ、と信じている方は、ほとんどいないと思います。大人で時間制限をする人はいません。
親の本心は「子どものときに経験したほうがいいことは、YouTubeではなく、他にたくさんある」という思いです。
つまり、子どもが他にも様々な経験をし、学んでいるのであれば、スマートフォンやゲーム機はそれほど気にならないはずです。
ならば、本来、制定するべきなのは、「スマホを制限するルール」ではなく「やるべきことをしっかりやる」ルールなのです。
そこで、以下のように変えます。
・基本、スマートフォンやゲーム機を自由に使ってよい権利を与える
・ただし、自由に使うための条件として、3つ程度のシンプルなルールを守るように求める(必ず子どもの意見も聞き、お互いに納得できる着地点を見つける)
【ルールの例】
1. 就寝時間にはすっぱり止める
2. 宿題、洗濯物の片付けなど、やるべきことをやってから遊ぶ
3. 用事が発生したら中断して、先に用事を片付ける
・セルフコントロールできなかった場合は、例外なく使用を停止する。ただし罰を与えることは目的ではなく。ルールを守れなかった原因の報告と、対応策の考案ができた段階で、すぐに返却をする
子どもがポジティブに「守ろう」と思えるルールの大切さ
冒頭の「コピー用紙の使用は1日10枚まで」は、これだけを頭ごなしに言われると、本当に意味がわかりません。でも、
以前は社員1人あたり平均10枚のコピー用紙消費量だったのが、近頃は平均15枚以上に増えています。無駄に使っているケースも散見されます。会社の利益は増えていませんし、このままだと他の福利厚生が削られる可能性があります。経費削減にご協力をお願いします。
以上のように丁寧に説明があれば、納得がいく部分もあります。「なるほど、そういうことなら協力するよ」となるかもしれません。
あるいは「1日10枚までと制限するのは難しいけど、無駄づかいしないように課内で声を掛け合うようにするという形でどうか」などと、別案が出てくるかもしれません。
子ども相手でも同じで、頭ごなしにルールを押し付けても、絶対に機能しません。なぜこのようなルールを作るのか、しっかりと背景を説明するのは大前提。そのうえで、子どもの意見もしっかり聞き、お互いに納得できるルールを作ります。
また、「あなたにはコントロールするのは無理だから」というネガティブなメッセージは、「あなたならできると思うから、やってみなさい。うまくいかなかったら、どうしたらいいか一緒に考えよう」に変わります。
几帳面に守れば守るほど損をする感覚になる時間制限と違い、ルールを守れば自由に使えるのですから、子どもは自分からルールを守ろうとします。
年齢が上がれば急にスマホとうまく付き合えるようになるわけではない
最後にもう一つだけ、時間制限の致命的なデメリットをあげますが、親に管理されている限り、自己認知力を高め、セルフコントロールを身につけることができません。
これは繰り返しの訓練によって身につくもので、大人になったらいきなりできるようになるわけではないんです。
その証拠に、大人でも歩きスマホをしたり、用事もないのにディスプレイを見てしまったりしますよね。
時間制限を続ける限り、待っているのは、親の監視から逃れたあとにスマホ漬けになる未来です。
ぜひ将来への投資、教育と考えて、真剣に「スマホを自由に使うためのルール」方式を検討してみてください。
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お知らせ。教育事業をはじめました。
「やってみたい」「気になる」から出発して没頭することを、当たり前の自分の武器に。
現在、石垣島で子どもだけで1週間生活を回したり、とことん「自分で決めてやってみる」に向き合いながらアウトドアを楽しんだりができる、「アドベンチャー学部」をリリース。
その他、気軽にスモールビジネスにチャレンジしたり、プロの仕事に触れたりする「働く学部」や、自分だけのメディアを作ってみる「メディア学部」ほかを準備中。
もちろん、スマートフォンやパソコンは武器として当たり前のように活用していきます。
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