東京ディズニーリゾートの新型コロナ対策がオワコン化していた
2019年春ごろまで、ディズニーWebメディアで、ディレクターとしてディズニーマニア約20名を統括していた私ですが、当面はパークへ行くのを敬遠しようと明確に思いました。
理由は、
1. 新型コロナのリスクを自分でコントロールできない
2. 選択する自由が極めて限られるようになってしまった
の2点です。後者は個人的な価値観の話ですが、前者については、さすがにマズいんじゃないかな、と思います。
値上げには賛成
まず、2021年3月20日からの実質的な値上げ(価格変動制)、8〜9時の1時間を3,000円で買うアーリーエントリーチケットの導入が発表されていますが、私はこれには賛成です。
(コロナ以前には)混雑しすぎであり、海外パークと比べても割安なのですから、戦略的にお金を取ればいいと思います。
コロナ禍では、「いかに人を多く入れるか」ではなく、「いかにたくさんお金を使ってもらえるか」への大幅なシフトが求められます。この意味でも、どんどんやるべきです。
私は、安くても大混雑しているパークよりも、高くても快適なパークを支持します。
7月はコロナ対策万全の環境だった
新型コロナウイルスの感染拡大が高止まりを見せていますが、東京ディズニーリゾートについては、きちんと感染対策ができる状況であれば、それほどリスクを感じる場面はありません。
特に、緊急事態宣言があけて、7月から運営を再開しましたが、この頃はソーシャルディスタンスを確保するのも簡単で、非常に快適でした。
(さすがに、たったこれだけしか人を入れないのでは赤字だろう……と感じたくらいだったので、ゆくゆくはもう少し人を入れるのだろうな、とは思いました)
大幅には入園者数を増やさず、その分、チケットが1.5倍になってもいいので、この方針を維持してほしい。ららぽーとに買い物に行くよりよほど低リスク。みんなもっと遊びに行けばいいのに。
そう思わせるくらいに、素晴らしい環境だったのです……が。
だがしかし、人を入れ過ぎ
延期になっていた子どもの誕生日プレゼントもあり、7月の成功体験を元に、12月23日・24日にミラコスタの予約を入れ、チケットを確保しました。
ディズニーメディアを仕事にしていた頃のように、頻繁にパークに行くことはありませんので、しばらく間があいたわけですが、そうしたら状況が一変していました。
とにかく、人・人・人。
さすがに、コロナ以前の入園制限がかかるような状況までは程遠いですが、明らかに7月に体験した、安心で快適なパークではなくなっていました。
(入園してすぐの様子。まだこの時間帯は良かった……)
特に、24日クリスマス・イブの東京ディズニーランドは酷く、朝イチはまだしも、10時半入園チケット、12時入園チケット、そして14時からの年パス保持者(抽選)がすべて入園すると、非常にストレスの溜まる環境になりました。
・座って休もうにも、座れる場所がない
・フードワゴン系はどこも長蛇の列(プライオリティ・シーティングが必要な、比較的高価格帯のレストランは余裕があったので、若者が多かった影響はありそうです。我が家は事前に予約を取っていったので、この点では実害は受けませんでした)
・夜のミニパレード「ナイトフォール・グロウ」に集まった人と、移動したい人が入り乱れて、他人との距離を確保できない
……etc.
あれだけ人がいたら、コロナ保菌者は絶対に何人かはいるわけですから、ちょっとこの状況は厳しすぎるな、というのが率直な感想です。
最悪のシステム「スタンバイパス」
折しも、12月22日から、「スタンバイパス」というシステムが拡大され、主要アトラクションにすべてに適用されました。
ファストパスとは違い、優先的にアトラクションを利用できるわけではなく、アトラクションの待ち列に並ぶために必須・かつ1日1回限定というものです。
これも、入園者数をしっかり絞っていれば機能したのでしょうが、人が多すぎるため、酷いものでした。
たとえば、「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」のスタンバイパスを取得して、並びに行ったところ、パレードルートを延々と、ウォルト像前を越えて、クリスタルパレス・レストラン前あたりまで行列していました。
さすがにこれはアホかと思い、並ぶのを止めました。
1日1回限定で、時間指定されているので、時間をずらして並びに行くこともできません。
しかも、さらに笑える話があります。スタンバイパスは、19時までの時間指定で発券されます。19 - 21時は、普通に並んで乗れるようになります(特に案内はされていないので、知らない人も多いはず)。
19時台に「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」に行ったところ、10分待ち。3周しました。いったい、スタンバイパスとはなんだったのでしょう。
行動が縛られる(しかもうまく行っていない)は非常にストレスフル
私的なお話ですが、うちの子たちは、(数えたことはありませんが)通算100回前後なレベルで通っており、スマホも使いこなし、子どもだけでのアトラクション利用の条件をクリアしているので、一緒に行っても別行動のシーンが増えてきました。
楽しみたいものが違いますし、なにより「自分たちで決めて行動する」のが、最高に楽しいように見えます。
この、楽しみ方に主導権があるということは、実は(大人・子ども関係なく)すごく大切な要素です。
コロナ以前のパークでは、アトラクションを楽しむばかりではなく、ショーやパレードだけを追いかける人、キャラクターグリーティングに生きがいを持つ人、ただお酒を飲んで景色を楽しんでのんびりする人……と様々でした。
ところが現在は、ショーやパレードはすべて中止(小規模な臨時プログラムを除く)、キャラクターグリーティングも抽選か、高台などに姿を見せるだけ。
そもそも、チケット入手すらそれなりに大変で、フラッと行ってお酒を飲むという感じでもなくなりました。
それに加えて、スタンバイパス。好きなアトラクションに乗りたくても、(19 - 21時を除き)1日1回と制限され、しかも指定時間に長蛇の列になっていても、別のタイミングに並び直すことはできず、乗りたければ並ばなければいけない。
これは新型コロナ対策の意味でも、かなりの悪手です。
なぜなら、安心できる新型コロナ対策とは、人が多いと感じたら離れられる、あるいは別の選択ができる環境があることだと私は考えているからです。
受け入れ側の準備もさることながら、いざとなったら自衛できる余白があることが安心に繋がらないでしょうか?
ところが、人が多すぎるせいで、パーク内に逃げ場は無く、嫌なら帰るしかない。スタンバイパスも、待ち時間が長かろうが短かろうが、乗りたければ並ぶしかない。
人の心理として、安くないお金を払っているわけです。我が家は、何度も通ってるパークなので、「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」に並ばないという選択ができました。
が、これしか機会がないと思えば、新型コロナのリスクを感じたとしても、強引に並んでしまう人も少なくないはずです。
クオリティの低下も地味に響いてくる……
近年、パークの食事は、目に見えて、コスト削減と効率化の影響がわかるようになってきました。
食器が貧相な紙皿に変わったり、メニューが減ったり、心から美味しい!と思えるものが極端に少なくなったり。
たとえば、私は炭水化物を主食にしないのですが、5年前はいくつか選択肢があったものが、今では本当に限られるようになってしまいました。
まだそれでも、選択肢がまったくないよりはいいし、私が少数派なのだろうから仕方ないな、と諦めていたのですが、パークでの楽しみ方までこれほど制限され、コロナのリスクもコントロールできないとなると、さすがに響いてくる感があります。
食事だけの話ではなく、ドローイングクラスがなくなったり、アトモスフィアショーが減ったり、人によって枚挙にいとまがないと思います。
うーん、なんというか、試験的にたくさんの人を入れてみているだけだと信じたいですね……。文春砲とか飛んできて、えらいことになりませんか。
おまけ
ところで、今、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーは、9時開園と言いつつ、8時半にあいてます(入園待ち列を長くさせないためでしょうね)。
東京ディズニーランドの新アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」「ベイマックスのハッピーライド」、新グリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」は、スマホアプリで抽選です。
抽選する時間帯を選ぶことができ、初回は9〜11時。
8時半開園を知っている人は、入園してすぐに抽選することで、当選確率が比較的高くなります。
我が家も、ぜんぶ当選しましたよ。
サンプル数1ですし、抽選なので外れることもありますし、マニアはみんな知っているような話ですが、参考までに。
あと、100%絶対に乗りたいなら、バケーションパッケージをどうぞ。地獄の沙汰も金次第。
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