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ウィーンで働いてみてわかったこと

Hallo, かぬしゃいです。
ウィーンの日の入りが16時半になってきまして、アフター5は完全に引きこもっている昨今です。
本日は、なんとなく標題の件を書き記しておきたいと思い立ち、ものすごく久しぶりにnoteを書くことにしました。

なお、これから書くことは、現在働いている会社での経験、かつ私の営業系の職種に関してのことになりますので、必ずしもすべてのオーストリアの企業の働き方に合致するものではないことをご承知おきいただければと思います。

さて、本題。
運よくオーストリアのIT会社に営業として拾っていただいてから1年と4カ月ほどが経過しました。
今のところ仕事の内容、環境には満足しており、転職は考えなくていいかな、という感じ。
ドイツ語が話せないにも関わらず、仕事する場所をもらえて、給料をいただけてるってだけで感謝です。
そんな私がオーストリアの働き方について気づいたことを列挙していきます。

1、病欠は有給休暇から控除されない

働き始めて最初に驚いたのは、病欠は有給休暇から控除されないということでした。
労働者は、お医者さんの診断書がなくても、1日までは何度でも休むことができますし、診断書があれば、何日でも休むことができます。
(ただし、復帰する場合は治癒証明書も発行してもらう必要はあります)

もちろん、これを悪用する人はいるらしいのですが、基本的に自分のjob descriptionに忠実、かつ責任を持っている人が多いので、私の周りでは濫用する人は一人もいません。
そういう倫理観はしっかり持っている国民性があるために、制度がうまく回っているのかと思います。

2、必要ではないことには徹底的に手を抜く

1年4カ月仕事をして気づいたのは、オーストリア人は「必要ではないと判断した途端に徹底的に手を抜く技術が秀逸だ」ということ。

それはとても効率的である一方、時々、”自分にとって”必要でないことだと判断して手を抜く方もいらっしゃるので、困ることもしばしば。

とはいえ、良い例を挙げれば…
上層部からこんな情報を載せた資料を作ってきてほしいという依頼があり、そのために、一生懸命資料を作ったとします。
しかし、実際の会議でほとんどその資料が使われなかったと知った場合は、次回からは一切手を付けないか、適当な文言、あるいはこの前と同じだから割愛しますを連発して、気づけば余分な資料作成の時間が0になります。

サービス業も、基本的にはスマイルなんてしません。なぜなら、彼らにとっては「必要ではないから」。
運送業も、再配達はしません。なぜなら、受け取らなかった人があとで自分で郵便局か指定の場所に取りに行けばいいので、自分たちが再配達する「必要はないから」。

ということで、徹底的に手を抜くことがてきるのは日本との大きな違いかと思います。

3,無理をしない働き方

いくらプロジェクトが佳境でも、家族になにかあれば、すぐに休みをとるかいなくなります。
あるいは自分の体調が悪いと、すぐに休みます。病欠に有給休暇を使わなくていいということも影響していますが、それに加えて自分に嘘をついてまで仕事をする意味がわからないという考え方が一般的です。

「 仕事<自分・家族 」の構図が徹底されているため、無理をする人がいなく、休む時はサクッと休みます。そして、自分も休むため、他人が休むことに対してもかなり寛容です。

そんなこと言ったらプロジェクト回らなくないか!?ということが疑問かと思いますが、お客さんにも素直に間に合わない話をすると遅延を認めてもらえたり、内部でなんとかするので、結局、なんとかなっているというのが正直なところです。

4,マネージャーとの距離感が近い

上司も部下もファーストネームで呼ぶことが当たり前ということもあるかと思いますが、マネージャーだけでなく、Cxxレベルの人とも、立食パーティーなどで真剣にビジネスについて語ったり、プライベートの話をするほど距離感が近いです。

それは、仕事の仲間というよりも、「1人の人間」としての付き合いが前提になっているからかなと思っています。とはいっても、仕事を辞めてからもずっと関係が続くみたいなのはあんまりなさそう…。
(その辺は欧米で働いたことのある方のご意見も聞きたいです)

また、私の会社のマネージャーたちは、部下を管理することはせずに、部下と一緒になっていかに自分の成果をあげるかという考え方が浸透しているように思います。
それは、この国の人々は管理されるのが大嫌いなので、マイクロマネジメントをした瞬間に部下があっという間に辞めていくということもありますが、そのほかにもマネージャーたちがマネージャーとして何度も転職してきている「マネージング経験者」だからということがあります。

マネージャーたちは、マネージャー職のjob descriptionを理解した上で転職をしてくるので、自分の経験と照らし合わせた時に、どのようにすればチームの力が発揮されるのかを理解し、実行しています。
チームの成果を出すには、やはりフレンドリーな雰囲気であることに越したことはありませんもんね!
ということで、上司と部下の距離は日本に比べてかなり近いと思います。

5,残業はしないに越したことはない

前述の無理をしない働き方にも似ているのですが、残業は基本的にしないのがこちらの働き方です。
忙しくても、次の月にうまく調整したりして、それぞれが「自分が体力的にもメンタル的にもつらくならないよう」にうまく働いています。
少し語弊があるかもしれませんが、みんなが「逃げること」を知っていて、かつ、「逃げること」を認め、時にはそれを推奨していると思います。

働きだした当初は、オーストリア的な「頑張るレベル」が日本の頑張るレベルに比べるとはるか下方にいることに気づき、最初は「おいおい、こんなんで頑張ったって言えるのか!?」と心配になるほどでした。
(なお、日本人レベルに頑張っている人ももちろんいると思います)

たくさん働くことで幸せを感じる人であれば、どうぞご勝手にということですが、そんな人はほとんど見たことないので、やはりオーストリアの国民性として、「多く働かないのにこしたことはない」という感じなのかと思います。

6,お客さんと自分たちは対等な「契約」で結ばれている

日本では、お客さんは「お金を払っていただいている」ので、大切に扱わなければならない存在です。そのため、顧客の気分を損ねないような言い回しや態度が必須です。
しかし、オーストリア(含め欧米)では、顧客とは、「我々の素晴らしいサービスを利用しているために、その対価を支払うべき会社」であり、その関係は「契約」で結ばれています。
それ故に顧客相手に下手に出ることはあまりありませんし、そもそも駆け引きは面倒なので、言いたいことを言いすぎて、時には喧嘩のようになったりもします。

例えば、お客さんからの問い合わせメールで、もらった見積の工数の詳細をもっと知りたいという依頼があったとします。
うちのエンジニアの回答は、
「それはあなたの会社からの要件の内容を照らし合わせ、かつ御社のエンジニアと話しあって決めた内容なので、御社のエンジニアに聞いてください」というメールひとつ。
なお、さらにこれ以降はこういった内容はできる限りオンラインミーティングで聞いてくださいという文言のおまけつき。回答時間は5分以下。
すごい強気です。

しかし、これで嫌われるわけではなく、何事もなかったかのようにプロジェクトは進みます。
お客さんも同じような環境で働いているので、契約先や委託先に対する期待値みたいなものが低いのかと思います。

以上、6つほどウィーンで働いてみて気づいたことを挙げてみました。
日本とウィーンのどちらが働きやすいかと言われれば、私の場合は圧倒的にウィーンですが、こんなに生ぬるい環境じゃ成長できない!と思う若者もいるのかも、、、なんて思ったりもします。

こんな風にオーストリアの働き方について分析でき、日本とウィーンのどちらが私に向いているのかと考えることができたのも、日本で一生懸命働いたことがあるからこそ。

私にとって日本で働いた経験はかけがえのないものですし、そのすべてが私の現在につながっていると、私を育ててくれた日本の会社に心から感謝しています。

ということで、もうすぐ師走。
風邪をひかないように、良く寝てよく食べて、駆け抜けていきたいと思います。

それでは、また次回。

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