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神奈川県SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修【第9回】レポート

2020年2月4日に、SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修の第9回を実施しました。5か月間、全10回にわたるこの研修もいよいよ大詰めです。今回は、社会的インパクト・マネジメント(以下SIM)の最終フェーズ、SIMの報告・活用方法を中心に学びました。

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SIMの報告・活用

これまでの研修で、事業の評価計画(Plan)データ収集(Do)・データ分析(Check)のステップを学んできましたが、SIMは、取得したデータを分析したら終わりではありません。取得したデータに解釈を加えた上で、事業改善や外部への発信にきちんと活用(Action)し、またその結果を用いてPDCAサイクルを回していくことが重要です。
今回は、 SIMの報告・活用 について具体的にみていきます。

SIMの目的をおさらい

SIMを始める際、最初に目的の設定を行ったことを覚えているでしょうか?「報告」はこの最初に設定した目的を達成するために大切なコミュニケーションツールです。目的や相手によって、どのような方法や内容で「報告」するとよいか考えてみましょう。
一般的には以下のようなことが考えられます。

【目的】
・内部:意思決定への活用、さらなる事業改善、学びの共有
・外部:説明責任、リソースの獲得、ステークホルダーの巻き込み、社会課題の認知向上

【報告対象】
・内部:理事会、他の事業部
・外部:資金提供者、当事者、同業者や他団体などのステークホルダー、社会

【内容】
アウトプット情報、アウトカム情報、セオリー情報、ニーズ情報等のデータ内容やデータの種類

【時期】
年次報告書、イベント、打合せ時 etc

【報告方法】
インパクト・レポート(評価報告書)、プレゼン資料、事例化、パンフレット、HPへの情報掲載、SNSでの発信

報告方法の例:インパクト・レポート

報告方法の一例として、「インパクト・レポート」をご紹介します。インパクト・レポートは次のような構成で作成します。

【インパクトレポートの基本構成】

① どのような社会課題の解決を目指したか(事業目標)

② その問題に対してどう取り組み、どんなステップを踏むことで問題解決に貢献できると考えたか(セオリー)

③ 具体的に何を行ったのか(活動内容)

④ その結果何を成し遂げたか(成果・アウトカム)

⑤ アウトカムを達成したと言える根拠(データ分析アウトカム達成への当該事業の貢献度の検討)

⑥ 評価結果からの学び、今後の改善のための教訓(振り返りポイント)

※出典:「社会的インパクトマネジメント・ガイドライン」

この構成はあくまで推奨アウトラインです。皆さんの目的が達成できる・より対象者に伝わるような報告の仕方を是非工夫してみてください。

活用のための振り返り

冒頭でも繰り返しお伝えしてきたように、SIMはPDCAサイクルを回すことが重要です。今回のSIMのプロセスから事業内容を公正な視点で丁寧に振り返り、今後に活かしましょう。振り返りの手順とポイントは以下のようになります。

手順①:事業は効果的で効率的か
 <確認ポイント>
 ・事業によって、期待するような変化や効果は生まれたか
 ・事業が生み出した効果・便益に対する費用は妥当であったか
 
手順②:実施プロセスは適切で十分か
 <確認ポイント>
 ・事業の運営は、計画通りにまたは臨機応変に、満足いく形で実施することができたか

手順③:事業内容は妥当か
 <確認ポイント>
 ・事業対象者の課題やニーズに応えるものとして妥当なものだったか

手順④:課題分析(ニーズ)は妥当か
 <確認ポイント>
 ・事業対象者とっての重要な課題やニーズを十分に把握できていたか

SIMの活用例

振り返りをして得た学びや知見を、どのように活用しますか?
SIMの活用方法は目的によっても結果によっても異なりますが、ここでは実際の活用例を含めいくつかご紹介します。

【活用例】

・指標設定やロジックモデルの改良
 →継続的に事業の見直し・改善を行い社会課題の改善や社会的インパクトの拡大を図る

・経営判断への活用

 →SIMのプロセスの中で事業整理したことで、会社の理念や方針と合わない事業を廃止・注力事業を明確する経営判断をし、会社のブランディングにもつなげる

・ステークホルダーの巻き込み

 →SIMで整理したロジックモデルや評価の結果を営業資料に用いて、重要なステークホルダーへの協力依頼に活用する

・事例共有
 →事例の発表・普及を行うことで、社会の知の蓄積にも貢献し、関心層やリソースをさらに巻き込む 

まとめ

今回は、社会インパクト・マネジメントの最後のフェーズ「SIMの報告・活用」について学びました。ここまでで、SIMに関する基礎知識は一通りコンプリートです。今までの内容を振り返りたい方は、是非、研修レポートシリーズを見返してみてください。

次回はいよいよ、研修最終回。参加者の皆さんの成果発表を行います。
各々の事業で一体どのような実践が行われたのか、次回のレポートをお楽しみに!

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