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神奈川県SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修【第7回】レポート

2020年1月7日 皆さま明けましておめでとうございます。SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修も第7回を迎えました。本日は計画フェーズにおける指標設定のコツについて学びます。

計画フェーズのおさらい

「指標の設定とデータ収集の計画策定」は社会的インパクト・マネジメントの計画フェーズの最後になります。まずは、計画フェーズの流れをおさらいです。

1.社会的インパクトマネジメントの目的の明確化:なぜインパクト・マネジメントを実施するのか、その目的を明確化しました。一般的に実施目的としては事業改善・資金調達・出資者への説明責任などが挙げられます。

2.対象事業の分析:対象となる事業に関して、ステークホルダーの整理や各ステークホルダーの求める成果のヒアリングなどを行います。

3.ロジックモデルの作成:最終アウトカムを達成するための道筋をロジックモデルという形で策定して行きます。

4.指標の設定とデータ収集の計画策定:アウトカムの達成度合いを測る指標と、それを測定する方法を決定します。

本日は指標設定の方法がテーマです。

指標設定の流れ

今回はグループ形式ではなく、隣の方と話し合いながら指標設定の流れについての例題を考えていただきました。

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1.測定するアウトカムを決める:ロジックモデルの中から測定するアウトカムを抽出します。ここで全てのアウトカムを測定する必要はありません。測定可能な期間測定可能性かけられる予算、社会的インパクトマネジメントを実施する目的などに照らして適切なアウトカムを選びましょう。

2.評価設問を作る:評価設問とは指標を設定するためのワンクッションです。アウトカムによって実現したい状況を言語化し、それを疑問形にします。言い換えれば、測定によって何を知りたいのかを表しています。

3.指標の検討:評価設問を元に測定指標を検討していきます。何が知りたいのか?→何を測るのか? という流れです。

4.データ収集方法の検討:設定した指標に対して、どうやってその指標を計測するかを計画していきます。何を測るのか?→どうやって測るのか? という流れです。

【演習】指標とデータ収集方法を検討しましょう

指標設定について方法だけ説明してもイメージがつかないので、この「SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修」を例にとって練習してみましょう。

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例題1:「参加者が社会的インパクトマネジメントのノウハウを習得する」という直接アウトカムの評価設問を考えてみましょう! 

評価設問は以下のように考えていきます。

アウトカム:「参加者が社会的インパクトマネジメントのノウハウを習得する」

実現したい状況:「参加者がノウハウを習得した状況になる」「参加者がいつでも社会的インパクトを実施できる」

疑問形(評価設問):「参加者がいつでも社会的インパクトを実施できる能力があるか?」

例題2:「参加者が社会的インパクトマネジメントのノウハウを習得する」という直接アウトカムの評価設問を元に指標及びデータの収集方法を考えましょう!

指標:社会的インパクトを実施できる能力を身につけた参加者の割合

データ収集方法:参加者にテストを行う

【参加者発表】資金提供者の感想

研修に参加している資金提供者のみなさんに、社会的インパクト・マネジメントの実践について進捗度合いを発表してもらいました。

・社内に社会的インパクトマネジメントが浸透しないと意味がないので、社内にSDGsの必要性やロジックモデルを作成する勉強会を開きました。

・銀行から見た社会課題の発掘はなかなか難しいと感じています。事業者の社会課題の解決を支援する立場を目指したいです。

【グループワーク】指標設定

事業者は自らのロジックモデルを元に指標設定を行うと共に、資金提供者と指標について話し合っていただきました。

また数人の事業者に、ロジックモデル作成や指標設定について、進捗度合いやグループで議論した感想を発表していただきました。

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・行政と関わって事業を全国展開していく場合、行政にとってのメリットを伝える為にロジックモデルや指標を作って見せるのは有意義なんじゃないかという意見をいただいて参考になった。

・ロジックモデルを作成することで、多様なステークホルダーの中で誰が一番困っているのか、誰が資金を提供しやすいのか整理することができた。

・資金提供者としては、ロジックモデルを見てマーケットサイズを見積もることができれば資金提供しやすい。潜在市場次第でビジネスにつながるかどうかを判断してしまう。

事業の妥当性をSDGsの観点から測定する為に社会的インパクトマネジメントを始めました。その目的からはこの研修は有意義でした。

やはり社会的インパクトマネジメントと金融がどう結びつけられるかが研修参加者の皆さんの課題意識としてあるようでした。

全10回のSDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修も残り3回です。皆様最後まで楽しんで研修修了を目指しましょう!

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