見出し画像

神奈川県SDGs社会的インパクト・マネジメント実践研修【第3回】レポート

社会的インパクト・マネジメント実践研修の第3回目が、11月5日(火)に実施されました! 今回は外部講師として、明治大学の源先生、東洋大学の米原先生をお招きし、「ロジックモデル」作成のポイントについて深く学んでいきます。
前回の記事はこちら

1.オープニング
 

 研修最初に、お馴染みのケイスリーの千葉さんから、今回の研修の目標と前回までの内容の振り返りについて説明があります。今回の研修の目標はこちらの3つ。


 ①「アウトカム」とは何かを理解する
 ②ロジックモデル策定の際のポイントを知る
 ③ロジックモデルを策定したあと、それをどうやって測るかの「指標設定」の考え方を知る


 社会的インパクトマネジメントを行う上で肝となる「ロジックモデル」ですが、フレームワークがわかっても、きちんとポイントを押さえた上で、事業の目的や事業の要素を抽出しロジックを整理できないと、実際の評価やマネジメントに効果的使えるものにはなりません。
 また、良いロジックモデルをつくれたところで、指標設定がしっかりしていないと、本当に知りたいことを測ることや、その結果を事業改善につなげることができません。
 では、どういうことを念頭に入れてロジックモデルの策定や指標の設定を行っていけばいいのでしょう?

 源先生からのロジックモデルについてのレクチャー ⇒ 演習 ⇒ 米原先生からの指標策定のポイントレクチャー を通して見ていきたいと思います。

2.ロジックモデルの基礎

 まずは、源先生から、「ロジックモデルとは何か」についてのレクチャーです。 

 ロジックモデルとは、「(設定した)社会的ニーズを充足するために、どのように事業を実施すると社会的課題の解決に貢献するのか、その目的と手段の道筋を明らかにするもの」です。
 評価対象の構造や求めるアウトカムに到達するためのプロセス・戦略を可視化し、関係者と共有する手段としての役割を担いますし、社会的インパクト・マネジメントを行っていく上で最も重要な骨組みとして機能します。

 では、そのロジックモデルをつくるときに押さえておくべきポイントは何でしょうか?

 源先生のレクチャーでは、以下の3つが挙げられました。

 ①最終アウトカムは、具体的に設定する
  (こんなのはNG:女性が活躍する社会)
 ②最終アウトカムは、実現したい望ましい状態や変化を設定する
  (こんなのはNG:博物館の入館者数が増える)
 ③短期的で測定可能な成果にこだわらない
 
 また、策定したロジックモデルは意思決定への活用が重要であることや、社会状況もどんどん変わっていくため、やりながら見直しをすることもかなり大事である、とのお話もありました。

 これをふまえて、次は事例を用いてロジックモデルの策定演習を行っていきます。

3.演習 

 源先生からロジックモデルについてレクチャーを受けた後、今度は2つの班に分かれ、共通事例を用いてロジックモデルの作成を行ってもらいます。

画像1

 仮想の企業の事業をもとに、どんな「アウトプット」や「アウトカム」が考えられるかを近くの人と話しながらポストイットにどんどん挙げていき、類似のものとまとめたりそれぞれの関係性を繋げていきます。

画像2


 中には、アウトプットと初期アウトカムの違いに迷われたり、ポストイットに記載した文言の認識について意見がわかれる場面も見られ、皆さんいい感じにロジックモデル策定の難しさにぶつかっていました。

4.演習の振り返り
 

 時間がきたところで、全員集合し、先の演習について振り返りを行います。

画像5

 同じ事例を用いた演習だったにも関わらず、出てきたアウトプットやアウトカムについては、班によってかなり異なっていました。
 しかしこれは、全く悪いことではありません。
 

 当然人によって解釈や経験が異なるため、アウトカムの抽出には、明確な答えがありません。一番重要なのは関係者との合意です。
 ただ、合意を形成する上でも、設定したアウトカムやアウトプットの中身が何を意味するのか、といった詳細を詰めることが重要なポイントとなります。


5. 指標とは/指標設定のポイント

 ロジックモデルの策定について、源先生のレクチャー → 演習と進んだところで、次に米原先生から指標設定のポイントについて講義をしてもらいます。
 ロジックモデルの策定もさることながら、事業改善に本当に活用できる情報を得るためには、指標設定もとても重要になります。きちんとした指標を設定するためのポイントは以下の3つ。


 ①ロジックモデルに基づいて考える
 ②既存の指標にとらわれず、アウトカムを実現するために何の情報が必要なのかを考える
 ③ロジックモデルと指標をぐるぐるしながら両方をブラッシュアップする

 基本的には、ロジックモデルの中で、「アウトカム=指標化したいこと」になっているはずなので、それをベースに考えていきます。
 ここで大事なのは、指標が存在するかどうかではなく、「何が知りたいことなのか」という目的に応じて指標を考えることです。
 目的ベースで指標を考えることで、柔軟に対応することができ、また、知りたい情報・知るべき情報を導くことができます。
 

 さらに、ロジックモデルと指標設定の相互関係にも注目です。
 指標を設定するプロセスで、「この最終アウトカムは手段なのでは?」と気づいたりすることも。
 指標を考えるとロジックモデルが変わることもあるので、それを念頭に置きながら、双方をブラッシュアップしていくことが大切です。


6. グループワーク


 米原先生の講義までを終えたところで、再度近くの参加者と自社事業のアウトカムについて整理しながら、不明点のある方は源先生と米原先生に各自質問をし、疑問点の解消を行いました。

画像4


画像5



まとめ

 今回の研修では、社会的インパクトマネジメントを行う上でベースとなる、「ロジックモデル」について、共通の事例を用いた演習に取り組みながら学んでいきました。
 まだ、「ロジックモデル」の要素である「アウトプット」と「アウトカム」の違いについて悩まれたり、要素をつないでロジックをつくっていく過程に悩んでいる方も多かったですが、皆さんいい感じに体感を通して学びを深められているのが感じられました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?