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【読書録とオススメ】2022年6,7月

木下 倖一 / スポーツアナリスト

6,7月は9冊。6月、休みすぎていたら本もろくに読んでいなかった。映画は色々見に行けた月ではあった。

2022年は基本毎月読書録残しています。その中から特によかったものをオススメに、その他も感想を残します。

◆読書録

トニ・モリスン『青い眼がほしい』

『ビラブド』がかなり面白かったので読了。小説としては面白くなるかな、面白くなるかな、と思い続けてそのまま面白くなることなく終わった。黒人同士が差別しあう関係、旧日本帝国軍の階級社会のような「階級の中の階級」「差別の中の差別」のようなものの描かれ方は評価されている理由もわかる。

ガッサーン カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』

高校時代の国語教師と数年ぶりに飲んだ際におすすめされた本。初のアラブ小説。「国を失う」「祖国とは?」というテーマは、自分の一番好きな映画『アンダーグラウンド』でも描かれていて自分が最も興味のある分野でもある。中編「ハイファに戻って」は祖国は先天的なものなのか、荒天的なものなのかという点を描いたもので、人種差別とはまた違うということで、小説としては初めて読んだ類のものであった。

『自己組織化とは何か ―自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用』

「カオス理論」と「複雑系」を学ぼうとすると、「自己組織化」から逃げられないので拝読。後半の章は医療技術の話が増えすぎていたが、前半は自己組織化の導入として非常にわかりやすかった。

鎌倉時代の鴨長明の『方丈記』の冒頭。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゞまりたる試しなし」。河の流れは絶えることはないが、実はその水は常に変わっていく。水のよどんだところに浮かぶ水泡は、消えたり生じたりして、長くとどまっていることはない−これもまた自己組織化の一つの側面を表している。

結局、少し先の天気はわかるけれども、ずっと先のことはわからない、ただし、わからないといっても、だいたいどの範囲にあるかということぐらいはわかる、ということなのである。

藤井青銅『一芸を究めない』

オードリーANNでお馴染み「せいどうさん」のコラム・エッセイ集。放送作家という職業の謙虚な立ち振る舞いが、仕事論としても勉強になる一冊だった。「縁」というものは一芸を極めずに接点を多く持つことで不思議と増えるものなのかも。

ハ・ワン『あやうく一生懸命生きるところだった』

長谷川リョーさんがちょこちょこ取り上げているので拝読。

エッセイかと思って読んだら思っていたより自己啓発寄りの内容で拍子抜けした。内容としては承認欲求を認めて諦めようという、最近増えてきた「いかにも」な話であった。

自分にピッタリのものを探し、無鉄砲にチャレンジするよりも、失敗しないと検証された"中間以上"を選ぶ。そうしてだんだん自分の感性が退化して、いつしか自分の選択を信じられなくなっていく。

文學界(2022年7月号) (特集 西村賢太 私小説になった男)

西村賢太を読んだことはなかったのでとても良い導入書になった。芥川賞を取り富裕層になりかけてしまった時、「北町貫多」像に無理矢理生活を近づけていた、という周りの意見は興味深い。

定期連載の「恋愛の今」は徐々にフェミニズム的な話になっていてこの定期連載もなかなか面白い。先月号は読んだけど感想は割愛。

西村賢太『苦役列車』

まず純文学を突き通そうとしている文体がすごい良い。その上に半実録的な描写があるので重く、軽い「私小説」だった。日本の私小説というと自然主義的な(田山花袋的な)ものになってしまうが、過剰に恥ずかしい自分を描くというわけでもないリアルに感じるものだった。映画は駄作。

藤澤清造の『根津権現裏』を今は読んでいる。

前田鎌利『プレゼン資料のデザイン図鑑』

社内資料・社外資料の作り分け等、便利な情報が多い。「1スライド、1メッセージ」、「目線はZの動き」などごくごく当たり前の内容ではあるが、手元に一冊置いておくとよさそう。

ここ最近のコンサルティング会社の資料の変化は有名な話。この辺のトレンド把握にもうってつけかも。

佐川友彦『東大卒、農家の右腕になる。――小さな経営改善ノウハウ100』

紆余曲折あって農家を手伝う作者の経営改善の話。

イノベーションや制度改革などという前に、膨大で明らかな「やり直し」が、現場にはある。

という言葉の通り、目の前の小さな「塵」を掃除していくような内容になっている。ビジネス書にありがちな何か革命的な制度をもたらすわけではなく、地に足ついた地道な経営改善は逆に新しく、スポーツ界にも通じる感じがあった。

◆所感

なんだかんだで忙しい6月。だいぶサボってしまった。

気になるものがあったらぜひ積んでみてください。読む必要はないです。本はインテリア。↓こちら前回のものです。

ここからは読書以外に面白かった映画・ネット記事などです。

◆映画録

『さらば、わが愛 覇王別姫』

35mmフィルムで観るために2週間ほど粘ったが完敗。仕方なくデジタル版で鑑賞。中国現代史と文化大革命の雰囲気を掴むことができる名作。炎の赤と共産党の赤が混じるシーンは相当美しい。

ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』

一つ一つのシーンの美しさを楽しむ作品。自分は『タクシー・ドライバー』しか元ネタがわからなかったが、オマージュがかなり多いらしい。なぜアメリカ人監督は売れると80'sを描きたがるのだろうか。国民的気質か?
大筋としては、『パンチドランク・ラブ』が好きな人は好きだと思う。

ヨアヒム・トリアー『わたしは最悪。』

予告と内容が違いすぎる。性描写がけっこうダイレクトなので注意。内容としては、キャリア、性愛、死生観、家族愛と要素を入れすぎて話が散らかっている。

その他映画録

HUSTLE/ハッスル
苦役列車
ちょっと思い出しただけ

◆その他コンテンツ

今月見て読んで聞いて面白いと思ったコンテンツ(ネット記事、番組等何でも)を抜粋。

モウリーニョ監督「サッカーしか知らない監督は、サッカーを何も知らない」

まず戦術を立てるということがどういう理由かを考えるべきだ。それはつまり予測不可能性を減らす作業だ。

◆おわりに

お問い合わせフォームにおすすめ図書の回答欄作りました。みなさまのおすすめ図書ぜひ教えてください。

来月も何卒!

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木下 倖一 / スポーツアナリスト
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