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プロの仕事: あなたが飲んでいるのはコーヒー風味のお湯かもしれない。本物のコーヒーとは・・・(でもコーヒーの話じゃありません!)

「データ分析×人×ビジネス」の軸で記事を書いています。

本当の意味で「感動」って、実はそれほど頻繁に感じるものではないように思います。今日は、とあるコーヒーショップで本物の、こだわり抜かれたコーヒーに出会うことができたので紹介します。
※タイトルにもあるように、コーヒーそのものの話ではありません。

先にネタばらしです。興味のある方はご一読いただければ!

  1. 上手いやり方とは、目的に沿って組み立てられているもの(それは変化に富むものである)

  2. したがって、目的なしに上手いやり方などは存在しない。が、それを意外なほどに忘れがちである。

  3. 目的に対して設計されたやり方を徹底して試行錯誤し、その積み重ねこそが独自資産になりうる。そして、それは顧客の心をつかみ、離さないだろう。

さて本題に入る前に、少しだけ前置きにお付き合いください。

たまたま通りがかったコーヒーショップに入ってみたのですが、どうも店装からは想像できないような本格的な豆(コーヒー)がメニューに載っていいます。それで注文したのですが、コーヒーの淹れっぷり(手つき)をみると、どうもタダ者ではない感があります。行動の細部に気を配っているといいましょうか、手際の良さみたいな”キレ”が素人でも感じ取れるほどです。

そんな姿をみて、大変に恐縮なのですが素人っぽい質問をしてみたわけです。「コーヒーを淹れる際に~はどうすればいいんですか?」みたいな、よくある質問です。要するにテクニックを聞いたということですね。

で、ここからが本題。

どう淹れるかは、どういう味に仕上げたいかによって設計されるものである

これは言葉そのままですが「どう淹れるかは、どういう味に仕上げたいかによって設計しますね」と、そういう助言をいただいたのです。素人ながらにコーヒーを淹れるという操作を分解すると(1)コーヒー豆を選別する、(2)豆を挽く、(3)お湯を注ぐ=お湯を沸かす+蒸らす+注ぐ、といった感じでしょうか。これらを「どう上手くやるか」というのが私の質問だったわけですが、それは僕自身が「どういうコーヒーを飲みたいか」ということにより、微妙に変えてかないといけないということなんですね。

もちろん、どんなことにも共通する「基本的な操作」というのはあるのだそうです。でもそれは、ある程度確からしいやり方の1つですが、決して正解1つという括りにはできない。

そもそもビジネスの基本とは物々交換

よく「目的を明確にせよ」と言われます。例えば、ある側面でいえばビジネスとはお金儲けするということに尽きるのですが、どうやってお金儲けをするかというのは、意外なほどに「わかっていない」で儲けちゃってるという状況に遭遇します。

元来、ビジネスとは「専門性の交換」だと思います。例えば、山で狩りをする人と、川で魚を釣る人がいます。それぞれ自分の専門技術をもって、山なら鹿肉とか、川ならヤマメとかを獲るわけです。それで「物々交換」というやつで、山の人と川の人がお互いに獲ったものを分け合うというのが、ビジネスの根本なのだと思っています。

ただ現在は「お金」というものをつかって、相手の専門性に見合うものがなくても、決まったお金を支払うことで対価を得ることができるようになっています。しかし、やはりビジネスの基本は「他の誰も持っていない自分だけの専門性・独自性に富むもの」を交換しあうことなんだおと思います。かっこいい言葉で言えば「競合優位性」とか「独自資産」というやつですね、これがあるからお金儲けできるのです。

あなたが何を目指したいのかにより、やり方を変えよ

少し話が逸れましたが、

  • 何を目指したくて

  • それがどういう専門性・独自性になっているか

  • そこに向かうために何をすべきか(どう仕事を組み立てるか)

という3つが要点だと言いたかったのです。

ここではビジネスにおけるデータ分析の話をしますが、例えば営業シーンでのデータ活用をしたいとします。コーヒーの淹れ方とおなじく、分析には様々な手法がありますので目的(そのビジネスで何をしたいか)により、色々な「分析設計」をするのです。大概は、この設計の誤り(不適当さ)によって失敗します。

ほぼ万人が言うようなことです↓

  • 売上を上げたい

  • 利益を上げたい

  • 生産性の向上をはかりたい

これは何も言ってないのと同じですね、残念ながら。1つ絞って例示すると、売上を上げたいというのは「ここ3ケ月で代理店販売経由の売上が平均して1,500万円ほど下がり続けている。この分を元に戻したうえで、各月平均+500万円の増加を6ヶ月ほど継続させたい。」という、具体的にどうなりたいのかというゴールの解像度を上げないといけないということです。

コーヒーでいえば「シトラスとか柑橘系の風味と、シナモンのようなスパイスのような余韻が残る」味を目指したいとかです。ここから、豆を選んで、豆を挽いて、コーヒーを淹れるという操作の組み立てをするということでした。この意味でいえば、ゴールの解像度が上がっていない取組は、「苦くないコーヒーを飲みたい」という要望に対して、コーヒーを淹れるようなものでしょう。これは無謀です(もう少し具体的に聞き出さないと満足してもらえる確率は低くなる)。

こういうアナロジーで言われると「当たり前だろう」と思われるかもしれません。しかし、意外なほど多くの人がこの罠にハマっているともいえます。現にこれは私自身の気づきで書いているわけですが、

  • 自分がどんなコーヒーを飲みたいかも言わずに(意図もせずに)

  • コーヒーの淹れ方を聞いてしまった

という事実です。これは

  • 売上を上げるというのがどういうことかも分からずに

  • どういう分析手法がいいか

を聞いているのと同じなんです。

独自資産とは、工夫の積み重ね

たぶん、今日いったお店の独自資産(少なくとも私という一人のユーザーを虜にした)というものがあります。でも、それはいい豆をそろえているというのでもありますが、それだけではないと思います。じゃあ、うまく淹れられる技術をもっていることかというと、それも間違いないのですが、これもそうではないと思います。

では何なんだ!?

というと、答えは「自分なりにどんな味のコーヒーを味わってもらうと、その豆の素材を100%以上に引き出せるのか」みたいな「味のゴールイメージ」があり、そこから「この味なら豆はこれがいいな」とか、「この豆の特徴は**だから、こういう挽き方/淹れ方がいいだろうな」という試行錯誤の積み重ねそのものではないでしょうか。

変な話(少なくとも今の時代・日本という国においては)お金を払えば、いいコーヒー豆は手に入れることができます。書籍を買えば、コーヒーについての専門知識もある程度は(知識として)得られるでしょう。しかしながら、こういった試行錯誤の末に行き着いた”もの”に出会えるかどうかは「運」という側面もあるのです。これも含めて、この店には独自資産があるのだろうなと思ったということです。換言すればこういうことではないでしょうか。

  • あなたのいう独自資産とは、どれだけの試行錯誤が積み重ねられたものなのか?

まとめ

  1. 上手いやり方とは、目的に沿って組み立てられているもの(それは変化に富むものである)

  2. したがって、目的なしに上手いやり方などは存在しない。が、それを意外なほどに忘れがちである。

  3. 目的に対して設計されたやり方を徹底して試行錯誤し、その積み重ねこそが独自資産になりうる。そして、それは顧客の心をつかみ、離さないだろう。


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