関係性は無名のままで【つばな『第七女子会彷徨』】

 『第七女子会彷徨(作・つばな)』超面白! なんで誰もこの漫画の話してないの? 

 俺が未読の漫画に手を出すのは

1.タイトルだけ知ってた(打率高)
2.同じ作者の別作品を読んだ(打率高)
3.一目見て気になった(打率低)

 の3パターンなのだが、七女は3.のパターンにも関わらずハマってしまった。『アクマゲーム』以来の、俺史上2年ぶりの快挙だ。

 エスプリの効いた日常系SFコメディ。ドラえもんの系譜だ。
 今より少し科学が発達した近未来の日本が舞台で、高校入学時に指定された生徒同士で友達を組まされる「友達選定システム」によって友達になった高木さんと金やん(金村町子)の2人を中心に基本単話完結方式で進んでいくが、話の前後関係はある。

「ドラえもん」は近未来から持ち込まれた技術が20世紀に非日常を持ち込んだ話だが、でも、ドラえもんが生まれた時間とのび太がいる時間は地続きなわけで、その間の技術発展はシームレスに進んでいたわけだ。タケコプターの初期型が開発されてちょっとニュースになった時期とか、どこでもドアについて法整備が行われた時期があったはずだ。

 『七女』はちょうどその間、非日常が日常になっていく過渡期を描いたような世界観。死んだ人間はデータになって現世に顔を出せるのが当たり前になっていたり、『七女』世界の仕組みは我々のそれと大きく異なっている。しかし、そこに生きる人間たちの情動は我々現代人となんら変わらないのだ。

 お隣さんが冷凍睡眠から目覚めたり、自販機がおっさんの形だったり、日常生活が宇宙人のテレビで中継されていても、JKはJK。試験に悩むし食券を買い間違えるのだ。

「友達選定システム」は2人が出会ったきっかけだが、ちょくちょく話題に上がる程度で、作品の根幹を成しているわけではない。この2人、素で仲良しだから。

 高木さんは金やん好きすぎだし、金やんも高木さん好きすぎ。たまに友情のレベル超えてるんじゃと不安になる。

1巻 122頁より

 でもこれを「百合」だとか「クソデカ感情」などといった血の通わない言葉でパッケージングしたくないよ〜〜〜〜〜〜〜〜!!
 あくまで「高木さんと金やんの関係」と、点の名前でだけ呼びたい。2点を繋ぐ線分に名前をつけた瞬間関係性は死ぬのだ。

 

3巻 62頁より
3巻 63頁より

 他作品だと『日常』のゆっことみお、『バーナード嬢曰く。』の町田さわ子と神林しおり、『裏バイト』のハマちゃんとユメのコンビが好きな人はこの2人にハマると思う。似たものを感じる。

 まだ6巻までしか読んでないけど、31・37話が結構ゾッとするというか、高木さん、結構複雑な感情を金やんに抱いてるのでは? と思わされる描写がちょこちょこある。

4巻 122頁より

 まあ、当の高木さんはそんな自覚なく、ただただ金やんが大好きなだけでしょうが。

 6/26まで無料だ! 読め!

 

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