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円谷英二展~in 須賀川

フォロワー様のお一人である「夢乃玉堂」さまの記事を拝読したときから、ぜひ見たいと思っていた展示に足を運んでまいりました。

夢乃玉堂さまが足を運ばれたのは8/17~11/23まで開催されていた「国立映画アーカイブ展示室」で行われていたものです。
一方、私が見てきたのは12/18~1/30まで開催されている、須賀川文化センターでの展示です。

2021年は円谷監督の生誕120年ということで、地元に里帰りしての展示会でした。

ひとまず感想を。

円谷監督、やはり素晴らしいです!

少し興味深いのが、「国立映画アーカイブ展示室」のパンフレットと、「須賀川文化センター」のパンフレットで、デザインが微妙に違うんです。
まずは、国立映画アーカイブ展示室の時のパンフレットから。
実は、「須賀川特撮アーカイブセンター」を訪問したときに、もらってきたのでした。


須賀川の方には、「JAPAN CULTURE EXPO」のロゴがありません。

ただ、展示内容には大きな違いはなかったのではないでしょうか。

円谷監督の生誕

ウィキペディアによると、1901年に須賀川町(現在の須賀川市)で誕生。
生家は、今でも現存していて「大束屋」さんというお店を営んでいらっしゃいます。
元々は、麹や味噌、醤油の販売を手掛ける商家だったのですが、現在では

  • ウルトラマンのオリジナルグッズ(当然円谷プロ公認)

  • カフェ

を営んでいらっしゃいます。

SHOT M78は「ウルトラマングッズ」専用のお店。須賀川にしかないレアものもあるらしいです。

そしてカフェは、表通りから少し路地を入ったところにあります。

ご先祖様をたどると、江戸時代中期に銅版画で活躍した亜欧堂田善あおうどうでんぜんがいらっしゃるそうで、円谷監督自身が器用だったというのも頷けるかもしれません。

生家脇にあるモニュメント。


飛行機に憧れた少年時代

円谷少年が9歳のときに、東京代々木練兵場で飛行機の公式飛行が成功しました。
それを契機に、操縦士にあこがれて模型飛行機の制作に夢中になったそうです。
11歳のときには、精巧な模型飛行機を作成して地元の『福島民友』の取材を受けたとのこと。
その後、尋常小学校高等科(今の須賀川一中)に進み、1916年10月に上京しある器械製作所に見習い入社しますが、一ヶ月あまりで退社。
その後、操縦士への憧れが捨てきれず、日本飛行学校に第一期生として入学します。

ですが、1917年に日本飛行学校の一機しかない飛行機が墜落。唯一の教官が亡くなったこともあり、学校は閉鎖。退学に追い込まれました。

---なるほど。あの須賀川特撮アーカイブセンターで飛行機の模型が多く展示されていたのは、このような夢の体現だったのでしょう。

映画界へ

その後、東京神田の電機学校(現:東京電機大学)に入学。枝正えだまさ義郎よしろう監督に認められ、カメラマとして才能を発揮していきます。
この枝正監督は日本映画のパイオニアであると同時に、トリック撮影に通じていたとのこと。
円谷監督に大きな影響を与えたのは、間違いないでしょう。

1923年の関東大震災の後には、映画撮影所が京都へ移転したりしたため、京都にいた時期もあったそうです。

1926年に、衣笠貞之助・k杉山公平らと共に、「狂った一ページ」の撮影に臨み、衣笠の撮影技術センスを高く評価。

1933年には「キングコング」が日本で公開。試写で鑑賞した円谷は「特撮技法」に衝撃を受けて、一コマ一コマを詳細に分析・研究したとのことです。

戦争の影

1937年、「東宝映画株式会社」が設立されました。円谷の所属してたJOもここに吸収され、特撮の技術に磨きをかけただけでなく、のちの「円谷プロ」の人材も集まり始めます。

ですが、1941年に太平洋戦争開戦。
東宝はすでに陸軍航空本部からの依頼で教材映画などを撮影してましたが、この戦争を機に「戦意高揚映画」にこたえるようになります。
必然的に特撮の需要が高まり、円谷監督はこれらの戦争映画をすべて担当したとのこと。

  • ハワイ・マレー沖海戦

  • 加藤隼戦闘隊

  • 雷撃隊出動

  • あの旗を打て コレヒドールの最後

  • アメリカようそろ

など。

1945年8月1日には円谷監督にも召集令状が来て、仙台連隊に所属しますが、すぐに終戦を迎えます。

ですが、1947年の東宝争議に嫌気が差し、東宝を離れて独立。
さらに1948年に公職追放令を受けて、公的な立場での仕事ができなくなるなどの苦難に見舞われます。

1952年になってやっと公職追放解除を受けて、再び東宝に復帰。
その後、怪獣・SF映画において特撮技術を存分に振るい、東宝のドル箱シリーズとなったのは、多くの人が知るところでしょう。

テレビ界への進出

1963年62歳の時、東宝の専属契約を解除。
同年に株式会社円谷特技プロダクションを設立します。
1966年には映画並の制作費や体制で制作した『ウルトラQ』が放送開始。
怪獣ブームを巻き起こしたそうです。

$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{l|l|l}
\textbf{話数}& \textbf{題目}& \textbf{登場怪獣}\\ \hline話数 題目 登場怪獣
第1話& ゴメスを倒せ! &古代怪獣ゴメス・原始怪鳥リトラ\\
第2話 &五郎とゴロー& 原始怪鳥リトラ・巨大猿ゴロー\\
第3話& 宇宙からの贈りもの &火星怪獣ナメゴン\\
第4話 &マンモスフラワー& 巨大植物ジュラン\\
第5話 &べギラが来た! &冷凍怪獣べギラ\\
第6話 &育てよ!カメ &大ガメ ガメロン・万能怪獣怪竜、乙姫\\
第7話 &SOS富士山& 岩石怪獣ゴルゴス\\
第8話 &甘い蜜の恐怖& モグラ怪獣モングラー\\
第9話& クモ男爵& 大グモ タランチュラ\\
第10話 &地底超特急西へ &人工生命M1号\\
第11話 &バルンガ &風船怪獣バルンガ\\
第12話 &鳥を見た &古代怪鳥ラルゲユウス\\
第13話 &ガラダマ& 隕石怪獣ガラモン\\
第14話& 東京氷河期 &冷凍怪獣べギラ\\
第15話& カネゴンの繭& コイン怪獣カネゴン\\
第16話& ガラモンの逆襲 &隕石怪獣ガラモン・宇宙怪人セミ人間\\
第17話 &1/8計画& 1/8人間\\
第18話 &虹の玉子& 地底怪獣パゴス\\
第19話 &2020年の挑戦& 誘拐怪人ケムール人\\
第20話& 海底原人ラゴン &海底原人ラゴン\\
第21話 &宇宙司令M774 &キール星人・ルバーツ星人・宇宙エイボス\\
第22話 &変身 &変身人間巨人・胡蝶モルフォ蝶\\
第23話& 南海の怒り &大ダコスダール\\
第24話 &ゴーガの像 &貝獣ゴーガ\\
第25話 &悪魔ッ子& 悪魔ッ子リリー\\
第26話 &燃えろ栄光& 深海生物ピーター\\
第27話 &206便消滅す& 四次元貝獣トドラ\\
第28話& あけてくれ! &異次元列車\\
\end{array}
$$

話数自体は、「ウルトラマン・シリーズ」に比べると少ないかもしれません。
ですが、ここにおなじみの怪獣がいました😁

カネゴン、君は「ウルトラQ」のメンバーだったんだね。
セミ人間、君も『ウルトラQ』仲間だったのか。

第2作の「ウルトラマン」になると、さらにおなじみの怪獣が続々と登場します。
特に、バルタン星人。
君は何度復活しているんだ(笑)。でも、憎めませんよね😁

$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{l|l|l}
\textbf{話数}& \textbf{題目}& \textbf{登場怪獣}\\ \hline
第1話&ウルトラ作戦第一号 &ベムラー\\
第2話&侵略者を打て&バルタン星人\\ 
第3話& 科特隊出撃せよ& ネロンガ\\ 
第4話&大爆発五秒前&ラゴン\\ 
第5話&ミロガンダの秘密 &グリーンモンス\\
第6話&沿岸警備命令&ゲスラ\\
第7話&バラージの青い石& アントラー\\
第8話&怪獣無法地帯&レッドキング・ピグモン\\
第9話&電光石火差君&ガボラ\\
第10話&謎の恐竜基地 &ジラース\\
第11話 &宇宙から来た暴れん坊& ギャンゴ\\
第12話 &ミイラの叫び &ドドンゴ・ミイラ人間\\
第13話 &オイルSOS & ペスター\\
第14話 &真珠貝防衛司令 &ガマクジラ\\
第15話& 恐怖の宇宙線 &ガヴァドン\\
第16話 &科特隊宇宙へ& バルタン星人(二代目) \\
第17話 &無限へのパスポート &ブルトン\\
第18話 &遊星から来た強大 &ザラブ星人・にせウルトラマン\\
第19話 &悪魔はふたたび& パニラ・アポラス\\
第20話& 恐怖のルート87& ヒドラ\\
第21話& 噴煙突破せよ &ケムラー\\
第22話 &地上破壊工作 &テレスドン・地底人\\
第23話 &故郷は地球 &ジャミラ\\
第24話 &海底科学基地 &グピラ\\ 
第25話 &怪彗星ツイフォン[105] &ギガス・ドラコレッドキング\\
第26話& 怪獣殿下 前篇& スフラン2・ゴモラ\\
第27話 &怪獣殿下 後篇 &ゴモラ\\
第28話 &人間標本5・6 &ダダ・ダダ上司\\
第29話 &地底への挑戦 &ゴルドン\\
第30話 &まぼろしの雪山 &ウー\\
第31話 &来たのは誰だ& ケロニア\\
第32話 &果てしなき逆襲& ザンポラー\\
第33話 &禁じられた言葉 &メフィラス星人・巨大フジ隊員等\\
第34話 &空の贈り物 &スカイドン\\
第35話& 怪獣墓場& シーボーズ\\
第36話 &射つな!アラン& ザラガス\\
第37話 &小さな英雄 &ジェロニモン・ピグモン\\
第38話& 宇宙線救助命令 &キーラ・サイゴ\\
第39話 &さらばウルトラマン &ゼットン・ゼットン星人\\
\end{array}
$$

バルタン星人は、私でも知っています(笑)。

ピグモン。実は、須賀川市の中の人?のブログの愛称にも付けられています。「人間に友好的な珍獣」らしいですよ😊
道路を挟んで後ろにいるのは、多分「レッドキング」。

これは、ウルトラマン。私は初代が一番好きかも😊
セブンは心持ち、目つきが鋭いような……。

さて、ウルトラマンシリーズの全身像を撮影しようとすると、どうしても縦長の写真になってしまいます。

物販会場に立っていた「ウルトラマンティガ」。

物販会場は、さらっと素通りしました。
だって、地元でいつも見ているんですもの😅

子供がいたら、喜ぶかな?
ミニチュアシリーズもこうして並べると、かなりのバリエーションがありますね。
シン・ウルトラマンは5/13に公開予定だそうです。

かぐや姫への期待

そして、円谷監督の初期の作品(1935年)であるかぐや姫。
これは、地元では22日に特別上演するということで、改めて鑑賞しに行こうか検討中です。
会場では6分間のダイジェスト版が流れていましたが、モノクロにも関わらず、桜の儚い色や川に浮かぶ小舟の情景、姫や公達の表情などが、陰影をうまく活用しながら撮影されていました。
円谷監督の撮影方法は、「暗めの画調で雰囲気描写を優先するローキー撮影」を得意としたそうです。
この方法は、当時「主役の顔を明るくはっきり見せる『ハイキー撮影』」と対極の技法であり、物議を醸すこともあったのだとか。

ですが、上京の際に下記の言葉に誓って、一歩も引かなかった円谷監督は、やはり須賀川の偉人の一人なのです。

斯心奮發誓神明 古人有云斃後已
この心奮發して神明に誓う
古人ありて云う斃れてのち已むと

円谷監督の揮毫

イベントの詳細情報は、須賀川市の公式サイトからどうぞ!



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