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断る営業

今の部署に異動してから約1年6ヶ月、現場での経験を経て新規顧客へのアプローチをするチャンスが出てきた。

そこで自分なりに改めて考えたのだが、営業の役割は「顧客の課題解決をサポートする職種」であり、その課題解決に対して対価を頂くものだと思う。もちろん直接的に課題解決という名目で対価を頂くわけではなく、モノを売るにしてもサービスを売るにしてもそこに課題解決があるということだ。

自分の顧客が困っていれば、まず問題の本質を理解した上で、解決のための技術者を手配する、部品を手配するは当たり前として+αで自分自身としてもやるべきことをやる。

新規案件でもそのスタンスは崩してはいけない。あくまでも顧客の課題解決なのだから、いくら売上・利益が欲しいからといっていいところばかり言って成約頂いたとしても顧客はもちろん、自社をサポートして頂く協力会社、エンジニアを巻き込んで苦労することになる。

これはどの業界にも言えることであると思うが、特に我々が取り扱っている再生エネルギーの発電機に関する分野は特にそう思う。なぜなら受注決定して一つのプラントを完成させる仕事はもちろん規模にもよるが大変な労力がかかる。顧客側の資金調達を始めとする膨大な量の調整・電力会社の系統連系・建築会社の設計精緻化・我々の機械側の細かな仕様の調整、そして据え付け工事、性能確認試験。書ききれないが、構想~実現まで5年かかることもある1つのプラントが、完成して3-4年で潰れてしまっては関わった方々の労力が無駄になる。こんな不幸なことはない。

なので我々が営業をするときは、おこがましいと思われてしまうが、パートナー探しだと思って営業活動をする。相手がどんなに乗り気でもパートナーとして難しいと思えば断らないといけない。決して上から目線という意味ではなく、顧客にとっても自社にとってもそれが最良の選択である、ただそれだけだ。

例えば、新規営業先で「とにかく儲けたい」という気持ちが一番に伝わってきてしまうとこちらは一歩引いてしまう。なぜなら「とにかく儲けたい」という顧客の要望を叶えるのはとても難しい。もちろんどの程度儲けたいかによるし、事業継続には最低限の儲けが必要だけれど、話を聞いて「儲けたい」が一番に伝わってくると、自社の事業で同じ金額投資して頑張っていただいた方がよっぽど儲かります、、と言いたくなってしまう。

では今、このバイオマス発電事業の良さとは何なのか?という点であるが、それは持続可能なエネルギー供給、地域の活性化、木材の有効利用、FIT制度の利用がある。この点については後日考察する。

営業先では、この事業の理想と現実を伝えながら、顧客を見極める。そもそも我々の製品が顧客の真の需要にマッチしているかどうか、そこがまず最初のステップになる。

その一方で、社内的には目に見える数字・利益が何よりも求められる。儲け主義の客は相手にしたくない、なんて上司に言えば干されてしまう。

だからこそ良いパートナーを少しでも早く1社でも多く見つけて、価値観の合わない顧客を断ることが出来る環境をつくる必要がある。
目の前の利益に飛びつくのではなく、長い目でゆっくりこのビジネスを育てていける環境。そういった環境の元での営業活動が製品のブランド力を育てて、そのブランドを通じて会社は強くなっていけるのだと思う。

現実は甘くないが、根底にいつもこのような想いをもって営業活動をしたい。

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