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小規模発電所の採算アップ策

ここ2-3週間は新規顧客を訪問したり、バイオマス発電に関する資料を作成したり、先輩がプレゼンする資料のリライトをしたり。新しくペレット工場をつくる、発電機を買って頂くことを目標に動いている。

本題に入る前に、バイオマス発電事業を行う際、最低限超えなくてはいけないハードルが3つあることを説明しておきたい。

1つ目が系統連系。これは何かというと、電力会社の電力系統に発電設備を接続することである。普段の生活の中で使用している電気は一方通行的に電力会社から供給される電力であり、発電した電力を送ることはできない。そのため、系統連系工事によって発電した電力を売電できるように調整する必要がある。問題は「申請すればOK」ではなく系統の空きがないとそもそも申請が出来ないということ。なので、資金調達完了、いい土地見つけました、機械も買いました、と準備を進めてもその場所で電力会社の系統に空きがなければ売電を目的とした発電所を建てることは出来ない。

2つ目は木材の確保。国内未利用材を使用して40円/kwでの売電を目指すにしても、木材の切れ端などの一般木材を使用して24円/kwでの売電を目指すにしても、原料となる木材が必要となる。取り扱っているドイツ製の発電機では約900トン/年/基のペレットを使用する。この木材について、20年間安定して入手することが出来るのかどうか。材料の高騰は発電所の経営を圧迫する要素となるので、なるべく発電所から近いところで確保できるの越したことはない。木材が業者から業者へ運ばれていくたびにコストが重なるからだ。その業者の儲けは全て事業者のコストに降りかかってくる。

3つ目は事業採算性。計画段階で目標数字を達成できない事業はどう転んでも目標を達成できないから計画段階で収益を見込めるかたちにしておく必要がある。

最近多いのは、1. 系統連系取得済みの土地を持っていて 2. 木材の確保も問題ない だけど3. 事業採算性が合わない、このパターンである。

実は弊社で進めているバイオマス発電は発電所を大規模にしないと採算が合わない。その原因の1つがペレット工場にある。

???となってしまったと思うので補足すると、弊社の発電設備はペレット(おが粉を圧力かけて固めた直径6mm長さ2-3cmの円筒)を燃料として炉の中で木質ガスをつくり、その木質ガスでエンジンを動かし発電する。エンジンをきちんと動かすには、良い木質ガスを生成する必要があり、良い木質ガスを生成するためには良いペレットが必要。そう、つまりペレットはこのシステムの肝となる。

採算性を上げるためにこのペレット工場も併せてつくることを勧めているのだが、このペレット工場は例えば規模を半分にしても価格が半分になるわけではない。規模の違いはあっても破砕工程、乾燥工程などの工程は変わらないため機械設備は大きく変わらない。年間10,000トンのペレット製造できる工場でも5,000トンつくれる工場でも価格が2倍違うわけではない。つまり、大きな工場で沢山ペレットつくった方が製造単価も抑えられる=採算が良くなる。逆をいえば小規模工場になればなるほど採算は悪くなっていく。

*ちなみに系統連系は2,000kwが理想的。同じ未利用材使用した発電所でも2,000kw以上だと売電価格32円/kw、2000kw未満だと売電価格40円/kwと開きが出てくるため。

だから系統連系が500kwや1,000kwだと採算が合いづらく、最近はこのような規模が小さめの問い合わせが多い。

そこで今日考えたのが(やっと本題)、弊社に問い合わせ頂いたお客様の系統連系取得済みの土地をマッピングし、その中心地で大規模ペレット工場を共同建設するというもの。共同で建てる各社の初期費用負担が減り、大規模にすることでペレット製造単価が下がるので、たとえ小規模な系統連系でも採算が合いやすくなってくる。全く違う会社同士がうまくやれるのかとか、そんなに都合よく近場で見つかるのか、などハードルは沢山あるし、これからも出てくるのだろうけれど一つの可能性としては模索してみたい。

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