【心理学】人は誰しもが自身を悪とは考えない
2丁拳銃のフランシス・クローレーの話をしよう。
20世紀のニューヨークを震撼させた凶悪犯罪者だ。クローレーは、ピストルの名手であり、約3ヶ月間の間、犯罪を続けた。
クローレーは、警察に憎悪を抱いていた。12歳の時、兄のジョンを警察に殺害された。ニューヨーク市警の将校の殺害に関与されたと疑われたためだ。
7年後、1931年2月。アメリカ在郷軍人会で、悪ふざけがすぎたクローレーを追い出そうとした数名に銃で発砲。そして逃亡。死者こそ出なかったものの、殺人未遂で起訴され、逃亡生活となった。
翌3月、遭遇した警官1名を銃で撃ち、オフィスビル街に潜伏。二日後、クローレーは仲間4名とニューヨークのニューロシェル銀行に強盗に入る。
翌4月、不動産ブローカーのアパートに強盗に入る。抵抗しようとしたブローカー、ルドルフ・アドラーへ、クローレーは両手に持ったピストルで銃撃。アドラーは仲間によって助けられ、クローレーは追い出されたものの、この事件により二丁拳銃の異名で呼ばれることとなった。
同4月、盗難車を乗り回すクローレーとその仲間であるダリンジャー、ホステスのブランネン。危険な運転を制したブランネンをダリンジャーが射殺。クローレーはその遺体の遺棄をほう助した。
同4月、車を運転するクローレーを警察が追跡。銃撃戦を繰り広げ、クローレーは逃走。翌日発見されたクローレーが乗り捨てた車からは、血痕が発見された。
翌5月、駐車場に停めた車にガールフレンドと一緒のクローレーを発見した警察官は、身分証の提示を求めた。クローレーは突然、警官に発砲。そしてまたもや逃走した。
翌日、警察に追われたクローレーは元恋人のアパートに逃走。武装した警官が300名周囲を取り囲んだ。傍観者は15000人を超えたという。
クローレーとダリンジャーは、警官と2時間ほど銃撃戦を繰り広げ、催涙弾と4発の銃槍に倒れ、クローレーは、ようやく降伏した。
捕獲されたクローレーは、電気椅子に座る時にこう言った。
「自分自身の身を守っただけのことで、なぜこんな目に遭わされるんだ」
これがクローレーの最後の言葉となった。19歳だった。
凶悪な犯罪者でさえ、自分自身を悪いとは思わない。善人なら尚更である、とデール・カーネギーはその著書「人を動かす」の中で説く。
黒い悪の性質を持ちつつ、純真潔白な善人の思考で自我のバランスを保つ。
誰しもが自身を守るため生きている。
白と黒の斑模様になりながら。
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