見出し画像

親のためのTokyo 2020

東京オリンピックが閉会した8月8日。

メダルを目指す選手たちの姿に、連日感動しまくって心が洗われるようだった。

選手たちの競技に挑む姿に、事前に散々オリンピックの開催に反対した人たちはもういないんじゃないか、と勝手ながら個人的に収束している。一部目にした批評を後述するのだけど、おそらくググれば、あれが悪いこれが失敗だ、なんて記事がもっとわんさか出てくるのだろう。

そもそも開催に強く反対したり、運営を強く非難することは、その行為自体がオリンピックの精神に反するので、そういう情報をインプットすることもしないほうがよかろうと思っている次第。

開会式は、演出のMIKIKOさん途中降板するというアクシデントがあり、時代遅れで唐突なドローンショーや、テーマに一貫性が無いことなどに批判があるようだが、個人的には始まってから選手入場、そして閉会まで胸が熱くなるばかりだった。

開会式のオープニングでは、新型コロナウイルスで満足に試合やトレーニングに望めないアスリート達を表現されていたが、それでも諦めない選手らの一挙手一投足が「黒い壁」を壊し、Tokyo 2020の会場に向かう演出に、はやくも感涙した。

そして、選手入場の楽曲には盛大直撃の選曲で泣き崩れそうになった。

ドラクエ、FF、モンハン、クロノトリガー、、、

青春時代を彩った全てをテーマに各国の代表選手が入場する様子に、ああ、人生捨てたもんじゃないな。と思った。

あんなに親に怒られながらプレイしていたゲームの音楽が、今や世界を舞台に演出に使われていることが嬉しすぎた。

ニコ動の初期に「歌ってみた」ジャンルが流行した頃、メドレー曲「組曲・ニコニコ動画」や「ニコニコ動画流星群」が好きだった。その中にドラクエとFFのメインテーマが使われていて、ニコ厨の間では「ドラクエ・FFのテーマこそ国家だ!」とコメントするのが定番だったので、今回まさにそれがほぼほぼ実現したのではと、密かにガッツポーズしてしまった。

分かってますやん、演出。

毎日のように歴史を塗り替えるような記録の連続で、日本選手の活躍にも大興奮だった。

卓球ダブルスの悲願の金。中国を抑えての金メダルに感動した。
体操日本を証明してくれた、19歳、橋本大輝選手の2つの金メダル獲得にも鳥肌が立った。
バスケットボール女子は、小さな身長でも勝てることを証明してくれた。まさかの銀メダル。決勝でアメリカと対戦する日本という現実で、夢を日本中に与えてくれた。

特に印象に残っているのは新種目スケートボード女子。

金銀のダブルフィニッシュを日本の四十住さくら選手、開心那選手が決めたが、4位となった15歳の岡本碧優選手の姿が目に焼き付いている。

彼女は、演技時間の1分間の最後の最後、果敢にも高難度の技に挑戦し、失敗し、転倒してしまった。肩を落としながらパークから上がったところに、他の選手たちが駆け寄るのだが、国籍問わず、若い選手たちが岡本選手に駆け寄り、励まし、慰め、健闘を讃える姿が中継で映っていた。

涙が出そうになったのだが、まさにそれは国と国とをスポーツを通して一つに繋いだ、五輪のエンブレムそのもののように見えた。

近代オリンピックは、ただのスポーツ大会ではない。

目的は、世界平和を実現することにある。

なぜスポーツかといえば、人と人との関係性に争いを起こすことのない状態を実現するには、まず自己を高める必要がある。

フェアなルールに制限されたスポーツ競技は、他人に何かを強要することなく、自己を高めていく過程で学び、精神を鍛えていく中で技と共に自己を磨いていく。

それは、まさに生きることと同じ営みである。

自己を高めていく過程で学び、精神を鍛え、生きることの意味や愛情、他者への敬意と感謝、そして働くための技術を磨いていく。

今回、東京開催で、しかもそれを見にいくことができなかったことは、小学生と保育園年長さんの親として迎えるには非常に幸運だったと思っている。

これらの言葉をテレビを見ながら、子供によりわかりやすく噛み砕いて説明をするように心がけたのだが、それはただ会場に見にいって感想を言い合う経験とは異なる動力が働いたからだ。

1964年に開催された東京オリンピック、2回目は2021年に新型コロナウイルス感染症の影響で満足に開催することができなかった東京オリンピック。

3度目は、おそらく子供たちが私以上の歳になってからの開催になるだろう。彼らはその家族に3度目の東京オリンピックを、2度目を踏まえてどう伝えるか想像した時、この世界的な苦境のなかで開催された東京オリンピックという状況は、経験したくとも出来ない貴重な期間だ。

開催の背景としては新型コロナウイルスによる、苦労がかい見えるし、その苦労は日本中がよく知るところだ。

満足にいかない制限された中での開催は、まさにスポーツのルールと似た条件の中で、なんとか目的を達成せんとするアスリートの思考と酷似している。

そしてそれは、世界平和を願う人類の挑戦であった。

スケートボードパークで、岡本選手に駆け寄った10代を中心とした各国の選手たちは、国と国との政治やわだかまりを知ることのない、次の世代だ。

そんな若い選手たちが、いち早くオリンピックの精神を互いに実現されている姿を見て、私も子供たちに「なぜオリンピックが開催されるのか」を説明する活力になった。

我が家ではテレビの前で、選手の国籍に関わらず「頑張れー!頑張れー!」と叫ぶ子供たちの姿。

アスリートも、それを応援する子供たちの姿も、そこには世界平和があった。

親として、次の世代、そしてさらにその次の世代に、言語化し伝えるべき事を伝える機会を与えてくれた東京オリンピックに、心から感謝したい。

8月24日から開催されるパラリンピックも、家族で応援しよう。

創作意欲の支えになります!