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エッセイと写真と散文と

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人生観をぎゅっと絞って出します。
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#エッセイ

時の断面

時の断面

無常青春の儚さに学ぶことは、時の無常さだ。

学生生活の三年間の短さは、部活動や恋愛、学び舎での生活が終わりを迎えてからようやく気づけるものだが、それは大人としての自分を形成するための大きな要素になる。

あの時に帰りたいと願っても、時を戻すことはできないし、あの黒歴史を消し去りたいと願っても、過去を変えることはできない。

その一瞬は確かに刻まれたものであると同時に、二度と繰り返すことのできない

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秋籠り

秋籠り

秋の訪れもすっかり身に沁みるようになり、今朝は随分と寒い朝だった。

昨日は日中帯の陽気に釣られて、庭のカナヘビたちが日向ぼっこしていたものだが、そんな景色もそろそろ見納めかもしれない。

10月を古来の暦では神無月と言うが、神の社を祀る出雲大社のある神在月(かみありづき)と言うそうだ。

日本全国から出雲へ神が集まる季節。神の目がないからと、昔の人々は夜長を如何様に楽しんだのだろう。

こと、私

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人のせいにすることは完全悪ではない

人のせいにすることは完全悪ではない

他人のせいにするな、とは子供の頃によく教わったものの、なかなか完全に自責の念だけで生きていくことは難しい。

どこか自分以外の効力で発生した事象に対しては、「あーあ、しーらない」と無責任になれることで、人は精神のバランスを多少は調整しているものだ。

あれもこれも自分のせいかもしれない、といちいち考えてしまっては心がもたない。

「人のせいにするな」

なぜこの教えをしつこく子供に伝えるかといえば

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矛盾の海を泳いでいる

矛盾の海を泳いでいる

人生は、矛盾の海を泳ぐことだ。

生きている限り矛盾の螺旋からは逃れられない。呼吸によって二酸化炭素を排出しながら、脱炭素を叫ぶような我々人類だ。

生産性をあげよ、効率化せよ、金融をブロックチェーンで非中央集権化せよ、といいつつ、SDGsを叫ぶようなご都合主義の中で生活している。

空き缶をリサイクルをしながら、半減期が30年もの放射性物質に依存して電力エネルギーを製造している。

山間部を森林

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音声配信は三次元的で、文章は二次元的

音声配信は三次元的で、文章は二次元的

stand.fmで配信中の私のラジオ「ココロテラリウム」。

「心を育てる」をテーマに、未熟な自分とこれでもかと晒しつつ、たまたま聞いていただいた方の、何かの役に立てばいいなと続けております。

2020年の9月からはじめ、(いわゆる9月組)、なんと気づけば207回も配信しています。びっくり。

音声配信を続けていると、自分の人間性の未熟さがよくわかります。

「ああこんな言葉遣いしちゃダメだよな

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与えられる笑顔はあといくつあるだろうか

与えられる笑顔はあといくつあるだろうか

懐かしい夢を見た。珍しいことに、目覚めた今でも強烈に覚えている。

包まれるような幸福に満たされた夢で、大好きな人たちと楽しい時間を永遠に過ごす夢だ。

勿論、永遠じゃなくて実際にあった過去の話に、脳が作り出した妄想を加えた寓話なのだが、嗚呼こんな日常がまた戻ったらなぁ、と思うあまり、目覚めると少し憂鬱で切ない気分になった。

よく、過去に戻れるならいつに戻りたい?という無意味なQ&Aがあると思う

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こども先生と「人を動かす」

こども先生と「人を動かす」

こんなに多くのことを長いことかけて、しかも無償で教えてくれる先生もいないだろう。

僕の子供たちのことだ。

先日6歳になった次男はこんなことを教えてくれた。

「お仕事のコツはね、ずーっと続けることだよ」

どこで覚えたのか、はたまた思い付いたのか、保育園で先生が言っていたのかわからないが、最近繰り返しこんなことを教えてくれるようになった。

保育園に送ってお別れするときに、「お仕事がんばってね

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泳ぐ人間

泳ぐ人間

起源が一緒だけあって魚類と人類には多々共通点がある。

4億年前、魚類が四肢を得て陸上に進出した際に「泳ぐ」という感覚を退化させたかと思いきや、水泳競技や海水浴のように水の中を渡る行為は人間を夢中にさせている。

そして水泳に限らず、日々泳ぐように人は生きている。

人間社会は都合と都合のぶつかり合いが全てだ。

波のように押し寄せてくる都合に、ぶつかっては飲まれ、時に回避したり、見て見ぬふりをし

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何もできない時間が貴重

何もできない時間が貴重

考えることがたくさんあって、作業もたくさんあるという状態が常なんだけど、そんな毎日の中で好きな時間は、何もできないとき。

待つ以外、できない。という状態はなかなかないものだけど、自分以外の誰かが働いてくれているのを待って、その後の作業を待ち構えている状態が好き。

例えば、空港の待ち時間。

今から出張に行かねばならないというときに、空港のロビーで飛行機を待つ時間。待つ以外にも本を読んだりパソコ

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産道

産道

人間が最も苦痛を味わうのは、産道を通ってこの世に誕生する瞬間だという。

母の羊水に守られ、外界の刺激には一切晒されず、呼吸をする必要もなく、食事も取らずに受動的に栄養が補給される。

安全で、暖かい母の温もりに包まれた空間から、自然界のもたらす過酷な世界へと産み落とされる。

自力で肺を動かし、口から栄養を摂取せねばならず、万が一、気道が詰まれば死ぬ。

細菌だらけの大気や大地に、自己の免疫で立

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虚空生命体

久々に職場兼自宅を離れて電車に乗って顧客の元に向かうと、今まで電脳世界でのみ繋がっていた人々が個体として存在している事に違和感を抱く。

三度目の緊急事態宣言によって都心は再び外出が抑制されようとしている。

あまりに他人と接近しない生活を送っていて、しかも不自由なくコミュニケーションが取れてそれが寧ろ自分の中で自然に落とし込まれていると、この個体を持つ人々という存在を妙に俯瞰で見るようになる。

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生活の中に余白を生み出す

生活の中に余白を生み出す

テレワークで自宅にいる方も多いと思います。仕事の時間とプライベートの時間が緩やかに融合して、「今、何の時間?」みたいな感覚になることありませんか?ぼくはそんな感じです。

日課の作業も、仕事もそうですが、「仕事の開始時間」みたいな区切りが曖昧になった今、時間の使い方は自分流にカスタマイズできます。

僕は、「朝に全部片づける」ということに挑戦中。

もう朝しかやらない。昼間はフリー。

朝に最低限

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春を待つ蛙

春を待つ蛙

5歳の次男が楽しみに毎朝、プランターに水をあげている。

デザートに食べた柿や林檎の種を集めていたと思ったら、プランターに植えていたようである。

芽を出すとしても随分先なのではないかと思うのだが、楽しみに毎日一生懸命に水を上げている様子はとてもかわいいのでじっと見ている。

今朝プランターを見ると、水を溜めるプラスチックの蛙の園芸用品が顔を出していた。

なんだか、口を開けて明後日の方角を向いて

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Crazy about L’Arc~en~Ciel

Crazy about L’Arc~en~Ciel

高校時代にコピーバンドをやっていた頃から、ラルクアンシエルへの敬愛が止まない。

当時、GLAYと2強と言われていて、その少し前にLUNASEAが、さらに前にはX Japanが流行していた。

90年代から00年代の頃だ。このビジュアル系ロックバンドの走りが、私の中高生時代の青春で、よくCDが擦り切れるまで聞いたものだ。もっとも、ラルクは当時ビジュアル系とカテゴライズされることを嫌っていたが。

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