社会的責任を持つ「仮想双子」

アバターではない、社会的責任を持つ自身とそっくりのデジタル人格。これ、デジタルツインと言ってしまうと、現在の要約と違う方向なので「仮称:仮想双子」とします(笑)。

”仮想双子” とは何か

アバターと何が違うか。それは、社会的責任を共有しているデジタル情報体という事。これは、アバターと同じく仮想世界で行動できる情報体。

現在、アバターは存在し、過去の人を人工知能が学んで仮想の中で蘇らせる技術もあります。ということは、この先、これらが融合しリアルな人間を模倣する事に繋がるのでしょう。すでに、実験段階に入っているようです。

リアルな人間に ”ライフログ” を取り付け、外環境に対する所作や言動を ”仮想双子” に学ばせます。スマートフォン経由でエッジコンピューターやクラウドに蓄積するのです。ある程度、学習が進み「社会的責任を追っても支障なし」と判断されたら、”野放し” にします。牧場から原野に開放するイメージです。

仮想双子誕生で起きること

デジタルで情報交換し「社会的な契約」が成立する時代です。そこに、この ”仮想双子” を投入するとどうなるか。「損となる契約を結ばない。有益な契約のみ提携し、有効期限も判断し解約できる。」ことが、自身の手によらずに成立することができるのです。

大切なのは、リアルタイムな自身と双子であること。その確証を常に自身でチェックしていること。そして、”仮想双子” を複数の人でリアルな自身と同等であると証明しあうこと。”仮想双子” を利用している人同士が証明しあう仕組みで、チェーンのように時間軸と「信頼でつながりあう」ことになります。

こうなると、”仮想双子” に仕事をさせることも可能。デジタルの世界ではデジタルな仕事が生まれます。”仮想双子” が宿っている環境により能力や負荷が変わってきますが、デジタル世界で同時進行している ”生産” に寄与できるのです。

デジタル世界での生産とは何か

仮想双子が当たり前になっていくと、仮想双子同士が「欲しい、必要」を交換するようになります。現物があるのであれば、価値の高低さにより、蓄積している価値を引き出して等価交換をします。一方は価値を消費し、一方は価値を蓄積するのです。売買の成立です。現物がなければ、アイディアを互いに学習しあい、供給側と消費側でもっとも合致した「欲しい、必要」の解決品ができあがります。これが、仮想双子の仕事となるわけです。

「欲しい、必要」がリアルな世界へ放出され、素材工場で一次加工品が生成され、ロボットや3Dプリンターなどで具現化され、リアルな自身が利用できるようになります。物理的なものは自動配送などで、なんでも手に届くようになるのでしょう。自動配送自体も小さな嵩張らない素材や部品を運ぶだけですから、エネルギーを大量消費することはありません。

”送るための重厚長大” が減少します。パイプラインなども減っていきます。”デジタル” よろしく、小分けにした小さな立方体が頻繁に行き来し、必要最小限の利用に留めるのです。電力も小分けにされた蓄電体が移動します。これらの仕組みから輸送関連の文化・文明が変化するのです。これを統括するシステムが出来上がり、そこに仮想双子が組み込まれ ”生産” に寄与することになるでしょう。

デジタルで生活するとはどんな事か

素材工場では、細胞培養なども手掛けます。人間が欲する ”完全管理” の食料の元となります。この素材を使えば、家庭の中で、3Dプリンターで小さな部材を作り、ロボットで組み上げ ”調理品” として豪華な食事や負荷のない日常の食事をとることができるのです。医薬品も然り。規模の小さい外科手術も家庭でできるようになるでしょう。

総じて物理的なことは、デジタル空間からリアルへ放出され具現化されていきます。そうすると、「仮想双子自体が資産」となっていく事でしょう。

リアルな人間は自身の仮想双子が常に活発であるように維持しなければなりません。そうしなければ「欲しい、必要」がデジタル世界で通用しなくなるからです。通用しなければ、「食事にありつけない」という現象を生みます。

生きていくためにリアルな人間は何をしているのか。前出の「信頼でつながりあう」ことに精を出します。リアルな人間同士で互いに認め合うこと、そして仮想双子が自身であることを認め合う事。これが、リアルな人間の日常的な活動となるでしょう。

このデジタル世界では「認められていないことは罪」と解釈されるでしょう。生まれて社会にデビューするまでは、存在として社会から認められます。この時、扶養者が適切に仮想双子を創っていく事ができなければ、将来、「信頼でつながりあう」際に支障となり苦労することになるかもしれません。ですが、適切であれば、それは「資産」となるのです。故に、リアルな人間と仮想双子が減ることはなく、それなりの数を維持する事となるでしょう。

仮想双子は老いるのか

複製である仮想双子が存在し続ける限り、人間は生きていると解釈されます。信頼でつながるチェーンは、仮想双子だけの活動でもつながっていきます。何らかの事象でリアルな人間が亡くなったとしても、その時点までの信頼関係で生き長らえることができるのです。

チェーンは時間軸でつながってもいますから、リアルな人間関係の中で証明された痕跡もやがて古くなっていきます。それを ”デジタルな老い” と解釈することとなるでしょう。現世の信頼に由来する活発な活動からは、だんだんと遠ざかっていきます。何かの調べ物(信頼遡及など)の時、老いた仮想双子が呼び出されるだけとなるでしょう。

そして、リアルな人間が亡くなった後、ある程度の時間が経過した時、「使われない仮想双子は消去される」ルールの中で、消えてなくなります。

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2020年元旦。年賀状代わりに、妄想しています(笑)。

案外、こんなことがこれから10年の間に起こりそうな予感がしたのです。自身で書いていて、気が付いたことは、”デジタルも老いる” ということ(笑)。無用な存在が消去されるのは、世の常なり。「ちょっと、さびしい年明け」と、遠い視線になりました。

#COMEMO #NIKKEI

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