見出し画像

香港①人生を変えた思春期の外国暮らし&香港と中国

(1)私にとっての特別な国

東京の半分ほどしかない狭い面積に、超高層マンションと700万人以上の人がひしめき合う。世界中の有名な銀行や支店が軒を連ね、アジアの経済ハブとして確固たる地位を築いているのがここ香港だ。細かく言うと中国国内で特別に違う政策を取ることが許可された行政地区の一つで、今では中国の一部であることは誰もがご存知だろう。私は父の仕事の都合で中学時代をこの国で過ごした。香港がイギリスから返還された直後だった。

この街は私にとってとても特別な場所だ。通っていたのは現地の日本人学校で、先輩にオリラジの藤森慎吾さんがいる。彼が以前”アナザースカイ”という番組に出演した際には母校と香港の様子がかなり詳しく映し出されていたが、彼が香港の思い出を語る言葉の一つ一つが、まさしく自分も経験した内容で私の気持ちに迫ってきたことを覚えている。

大体海外で日本人学校がある場所というのは日本人がある程度多い場所なのだが、中でも香港の日本人学校は相当な規模だ。中学校の時には5クラスあったし、小学校も2校目が開校されるほど。中学3年生の時には経済危機がありかなりの数の友達が”本帰国”してしまったが(クラス数も3クラスになったほど)、それでも学年に数人しかいないとか、日本人学校ではなく補習校しかないとかいう状態では全くなかった。

海外に住んでいるといえど日本人学校に通っていて、しかも家族と一緒であればまるで日本での生活と変わらない環境である。日本のレストランや商品で溢れているし、多くの香港人は日本人と変わらない顔立ちだし、ドバイに住んでいた時は「な~んだ、香港も日本のようなものじゃないか」と感じたことも多くあった。ではなぜ、香港は私にとってこんなにも特別なのか。

答えははっきりとは分からない。強いて挙げるなら感受性の豊かな中学生だった時に住んだから、というのが答えな気がする。実際ドバイは10年住んでいてもそこまでの思いは持たなかった。

街の気候、におい。香港は東南アジアの一部なので異常に湿度が高い。6月くらいになると湿度は常に90パーセント超え。あの肌にまとわりつくような湿度の高さの不快感。汚いレストランや路上で、不衛生に見えるレストランから漂ってくる中華料理の強いにおい。ビルやバスの中に入ると必要以上にエアコンが効いていて瞬間的に冷える感覚。多くの車が狭い道を駆け巡り、トラムが走り、日本人よりも格段に大きな声でがやがやと話す声、騒音。同じアジアといえどそういった小さな違いがたくさんになると十分に外国を感じさせるものなのだ。

(2)思春期に学んだ大事な価値観

そして何よりも「日本語が通じない」という事実だ。私は中学卒業後帰国し、日本で大学まで外国語を学んだが、語学の一番大事な基礎はこの時に学んだと思う。それは「堂々と自信ありげに話す」ということだ。

基本的には英語で、よく使う言葉は広東語で。子供だったしインターにも通っていないから複雑な外国語を使う必要は全くなかった。でも発音や文法が正しくても、日本で日本語を話すように話せば全く通じないのだ。不思議だった。でも時間が経つにつれ通じた経験が多くなることで自信を持ち、声を大きく堂々と伝えなければいけないと体感的に学んだことはその後の外国語生活においてとても大きな収穫だった。また通じた時の嬉しさもひとしおだった。

「言語は伝わってなんぼ。堂々と、間違えてもいい」これが後の人生でも大事な価値観となっていくのだから、このあたりの人生経験ってやっぱり大切だと思う。こういった経験を積んだり、日本とは違う環境で同級生たちと毎日笑いあった日々を過ごしたりしたのだから、やっぱり香港は私にとってとても特別なのだ。

(3)香港人=中国人?

ところで香港の人は”中国人”とは違う。なんというか、香港人は実際に国としては中国に属しているから国籍的には中国であることは納得しているが、”香港”という戸籍を持っていることに非常に高いプライドを持っている感じだ。根本から”中国人ではない”という台湾人とはここが違う。

当時は返還直後ということもあり、広東語が分からなければ英語で対応してくれる人が香港ではほとんどだった。経済のハブで超国際都市だから、広東語が分からない外国人がいることは日常だったのだろう。だがしかし、返還されて20年も経つとこの様子は一変してしまった。今では英語の代わりに”中国語”になってしまっているのである。

もちろんそれは私の見た目が”アジア人だから”ということもある。だけど昔は必ず”英語”だった。なのに返還されて時間が経つと街には中国人の数が劇的に増えてしまい、香港人も中国語で応対することが増えてしまったのだ。CAになってから何度も香港に行った際、中国語で応対されたので私も中国語で返答していたのだが、接客態度が非常に悪い。とても不思議だった。

(4)中国語で応対されても”英語で”話した方がいい・・・?

ある日香港人のクルーと一緒にフライトをしたときにこのことを聞いてみた。すると彼女は「中国語が分かっても、中国語は使っちゃダメなのよ!」という。

報道通り、中国と香港の関係は非常に悪い。だけど日常生活の中では中国人の客は必ずやって来てお金を落としていく存在だから、中国語は仕事上仕方なしに使っている。でも決して友好的ではないのだ。だから日本人の私にもそんな接客になるのだろう。「だから、中国語で話しかけられても今度からは英語で答えて」と。

次のフライトで香港に立ち寄った際、いつものレストランに向かった。偶然にもウェイターは前回と同じおばちゃん。乱暴に私のテーブルにお茶を置いて行った人だった。広東語が分からない私を見て中国語で話しかけてきたが、私は彼女のアドバイス通り英語で返してみた。

結果は驚くものだった。にこにこと笑顔になり、何度もお茶を注いでくれ、食事中にも「あなたは日本人?」と会話まで始めてしまった。同じ人とは信じられないレベルでの変わりよう。もちろんこれは接客をするプロから見れば幼稚な話だ。でもそこまで一市民の対中感情を悪くしてしまうほどの現状はどんなにひどいのだろうか、と香港の行く末が案じられてしまった経験だった。

②に続く

完全オンラインの「ファーストクラス英語塾」で徹底的に英語&CA受験対策をしています。

レッスンは月謝制で月2.5万円から。
マンツーマンで計4時間のレッスン(8回まで分割可)+いつでも質問&添削可能。
CA受験対策も可能。
経験豊富な講師を好きな時に自由に選べます。
必ず英語を話せるようにします!

ネイティブの先生では聞きたいことも聞けない・学べない・・・
でも一般的な英会話スクールの日本人講師では英語力に不安が残る・・・

大丈夫!
講師全員がエミレーツ航空のファーストクラス専任CA経験者+他社での経験もあるので
英語力もCA受験もばっちり!


特に
留学なしで英語が話せるようになりたい
CAや航空業界、ホテル業界を目指していて英語が必要
エッセーライティング(TOEFL,英検)を学びたい

と言った方に強くおすすめします。


無料オンライン相談を行なっています。

コメント欄
クリエイターへのお問い合わせ
Twitterアカウント kana_dubai

からお気軽にお問い合わせください✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?