悪魔憑きは殺さなければいけない

今、姫の乗る馬を引きながら、この先を考えているが碌な未来が見つからない。

 姫は悪魔憑きの被疑がかかっているが今自分の判断では殺すことはできない。協会本部まで連れていき、判別する必要がある。それまで目を離すことはできない。

 姫の従者は俺を決して信用せず、駄馬を駆りながらを俺から注意を逸らしはしない。先の戦闘で二人を守ったが信用を得ることはできなかった。

「いつまでこの荒地が続くの!私はともかく姫様は一度湯浴みしていただなければいけません。埃と泥汚れを落とし、髪を洗い、結いまで済まさなければいけません。このままでは姫様の沽券に関わります。先の戦闘での疲れが出てるはずです。早急に街での休息が必要です。あなた!話を聞いてますか!」

「俺が聞き取れるようにゆっくり話せ!そのうち村があるはずだ、鍾塔のある協会だ。宿が取れるだろう。」

 姫が静かに、ゆっくりと聞いてくる。

「浴場は、あるでしょうか?」

「『村』にそんなものを求めるな。屋根のある寝床があれば上出来だ。」

 振り向くと姫は俯き、龍馬の鱗数えるようにジッと虚空を見つめている。

「・・・沸かした湯ぐらいもらえるだろう。それで体を拭く程度で我慢しろ。」

 従者が馬を走らせ姫の横まで来て、俺を睨みながら

「姫様、協会本部のある街までの辛抱です。そこまで行けば王国の権威、通貨も使え、浴場、宿、食事もとれます。そうすればこの蛮人の案内もいらなくなります。そう気を落とさず、胸をお張り下さい。あなたは北方の大国の姫君。誇りと自信を常に満ち続けてください。そこらの蛮人とは違うのです。」

蛮人呼ばわりされた俺はたまらずに口を開けるが、先に姫が

「私は大丈夫です。心配なのはあなた達です。まだ傷が治ってないでしょう?」

 姫の言葉に対し従者がいかに自分が大丈夫かをまくし立ててるのを聞きながら、この先の村の心配をしていた。

 協会の鍾塔の退魔の鐘がまだ聞こえてない。











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