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引き継ぎは業務改善のチャンス

前回、辞めていく社員の引き継ぎの難しさについて説明した。

「じゃあ、どうしたらいいの?」という結論に至る前に終わってしまったので、今回はその解決法について考えてみたい。

あらためて、整理すると、「後手の引き継ぎ」の場合、回避しなければいけないのは、辞めていく社員が入社したばかりの社員に直接引き継ぐパターンだ。

これを回避するには、以下の3つのパターンが想定される。

1.直属の上司が引き継ぐ

これは、一般的であろう。前任者にも緊張感が生じるし、業務の細部を知ることは後任者であるその上司にとっても悪いことではない。引き継ぎながら不具合箇所があれば、修正をして再引き継ぎをしたらいい。いい機会である。前任者の会社のグチによって後任者が洗脳されることもない。

これがベストであるが、実際の職場においては、なかなか難しい。というのは、すでに上司には管理職としての業務がフルに詰まっているからだ。現状の仕事を手放すことなく、同時に期限の決まっている引き継ぎをしなければいけないから、結構負荷はかかるだろう。その間、その上司が管理職を誰かに引き継ぎ、手空きになるなら…ちょっと考えづらい。

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2.業務の横ズレで引き継ぐ

入ったばかりの社員に引き継がせるから問題が生じる。以前からいて、これからもい続ける社員に引き継がせる。ある程度、組織の考えを理解してくれている社員がいいだろう。同じ職場、会社で仕事をしているから、なんとなく業務の内容もわかっているし、事務所のルールも、人間関係もある程度は把握している。前任者のグチも「いつものことだ」と馬耳東風。ただ、この社員が現状の自分の仕事を抱えながら引き継ぐのは、やはり、1のケース同様に無理がある。したがって、この社員の業務の引き継ぎを新しい社員に引き継ぐ。辞めていく前任者から引き継いで、入ってきた新人の社員に引き継ぐ。これなら、新人の社員も、その先わからないことがあっても、前任者が会社を辞めて職場にいない、ということもない。

これなら、なんとかなりそうな気がする。が、実際の現場においては、どれくらいこれが実現されているだろうか?

実は一見、大岡政談ものの「三方一両損」のような話(ちょっと違う)で、これで問題解決のような気がするが、細かく見ていくと問題がある。それは、引き継ぎのタイミングだ。引き継ぎ期間を、月のサイクルを把握するために、仮に1ヶ月必要として、過不足なく2つの引き継ぎが履行されるか。前任者の引き継ぎが終わってから、後任者に引き継ぐか?後任者への引き継ぎが終わってから、前任者から引き継ぐか?はたまた、同時に引き継ぎながら、引き継がれるか?どうしても、業務が重複する期間は生じる。結局、それが出来る社員となると、限られてくるのではないだろうか(そもそも、そんな社員ならとっくに管理職になっている?)。

3.プロに頼む

最後の手段として、いっそのこと、プロの外部人材に引き継ぎをお願いしてはどうか、と思う。業務委託として。

社員化じゃないから、いっときは業務を預けるとしても、いつかは返してもらわないといけない。よって、委託内容としては、業務の引き継ぎ(受け)、クリーニング、再引き継ぎ(渡し)となろう。

業務委託だから、辞めていく社員からグチを聞かされたところで、心が折れることもなく、離脱の心配もない。かつ、プロだから、どんな業界でもコツを掴むのが早い。

そして、大事なことはクリーニング。「なんで、こんなやり方なのか?」。効率を図れる業務を洗い出してもらい、改善をしてもらう。引き継いで、所有してもらっているこのときが業務改善のチャンスだ。

そして、整理整頓された業務を、引き継ぎ直す。引き継ぎ後も、後任者が落ち着くまで伴走する。

たかが、身内の引き継ぎに報酬を払うのはもったいないが、同時に業務の効率化も図れるならば、どうだろう?少なくても、「新人さん、大丈夫かな?変な洗脳されていないかな?」と心配するストレスからは開放されるだろう。

問題は、こんな仕事、誰がやってくれるの?ってことだ。どこにそんなプロはいるの?

コンサルタントとしては、随分、リアルで現場チックな話だし、期間も短期間だ。3ヶ月くらいで終わるだろう。とてもじゃないが、企業の経営課題というような規模の話でもない。社労士や税理士とも違う。知識があればいい、ってものでもない。人材派遣?まあ、ハケンの品格の大前春子みたいな人がいたら別だが。

実はこの引き継ぎ問題こそ、特に中小企業にとっての地味な頭痛の種で、それを取り除いてくれるサービスが普及すれば、それなりにニーズがあるような気もする。


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