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二期の意地、一期の底力、46人の設定温度 2017年のインフルエンサー#6

2017年の神宮ライブ。トップバッターの三期が場を盛り上げたところで次は二期である。

まずオーディションに合格した時の映像が流れる。二期はオープニングメンバーの一期や大々的に売り出された三期と比べて単独でライブやイベントに出る機会が少なかった。不遇の二期ということも囁かれたりした。その中で研究生からいきなり「バレッタ」でセンターに選ばれたのが堀未央奈だった。ひとりぼっちで先輩ばかりの選抜に飛び込んでいった堀だったがこの日のバレッタではもう彼女は独りじゃなかった。ホームベース側のサブステージに一人で登場した堀未央奈。番組見学に来ていただけなのにいきなり名前を呼ばれて訳も分からず泣きじゃくる少女の姿はなかった。それから続々と登場する二期生達。目を潤ませているのが分かる。全員がすぐに昇格できた訳ではなくバラバラの歩み方をしてきた二期生全員でのバレッタに意味があるのだ。

二期はパートはダンス曲やバラードが多く、二期生達が歩んできた苦難の歴史を辿るようなものだった。二期生全員が一人も選抜に入れずアンダーになった時期もあり「嫉妬の権利」は彼女達の当時の悔しさが表現されていた。実は二期が今回の期別ライブに燃えていたのかもしれない。二期生パートはただ苦しさや悔しさを伝えるだけではなくライブとして盛り上がる場面もあった。「そんなバカな」ではメンバーがスタンドに上がりファンの目の前でパフォーマンスした。曲の終盤、新内眞衣が斜め右下のスタンドにいるのを発見した。新内の推しタオルを掲げてみたところこちらに気付き両腕で大きく手を振りステージへ戻っていった。

二期生は個々の実力が高くそれぞれで道を切り拓いていった。二期パートで「バレッタ」と並んで今でも印象に残っているのが「きっかけ」である。二期の中でも特に歌唱力に定評のある伊藤かりんと伊藤純奈のソロパート。二人の力強い歌声と伸びやかな高音に心を揺さぶられ気付いたら涙が溢れていた。

彼女達のこれまでは決して恵まれた環境ではなかったかもしれない。しかし不遇ではなくかわいそうな二期でもなく、それぞれがその環境で積み上げてきた意地というものを見せられた。

さあ、一期はどうなんだ。
VTRの後に一期生がが50音順で呼ばれて出てくる。一期全員揃ったところで盛大に制服のマネキンのイントロが流れる。一期生の貫禄。迫力が違う!「ダンケシェーン」では舞台出演の為欠席した生田絵梨花に代わって体調不良による休業から復帰した中元日芽香がセンターに立ち、会場全体がお帰りムードに包まれた。ファン達はひめたんの帰りをずっと待っていたのだ。
ライブの定番曲からダンスナンバー、「あらかじめ語られるロマンス」での可愛い台詞など様々な顔を見せてくれる一期生は流石である。「欲望のリインカーネーション」では可動式ステージのかなり高い位置で目隠しで踊るという荒技をやってのけた。「君の名は希望」という乃木坂を象徴する曲で締めくくられたこのパートは後輩達に負けじと一期生の底力を感じさせるものだった。

一期から三期までが揃うと乃木坂46というグループはさらに結束を増す。
全体でのライブ一曲目は「設定温度」アルバム「生まれてから初めて見た夢」の中の一曲で当時のメンバー46人で歌われている。都会的な美しさ切なさ力強さを秘めたメロディーで男女の愛情のすれ違いをエアコンの設定温度の違いになぞらえている歌詞が頭から離れなくなる。ライブではこの日が初披露だった。1番は一期生、2番からは二期生が出てきて3番で三期生が揃いこの日欠席の生田以外がステージ上に一列に並んだ。僕はその時気付いた。この曲は今の乃木坂なんだと。三期生も入りグループが益々大きくなろうとしているところでアイドルになりたかった子、乃木坂に入りたかった子、何気なくオーディションを受けた子、色々な子が出てきてそれぞれの想いも生まれてくる。それでも乃木坂を愛する気持ちは共通している。46人それぞれの設定温度がある。そのことに気付いた時、全体パートでの最初の曲が設定温度だったことは大きな意味があるように思えた。それは結成時からグループを見てきた人、最近好きになった人、ファンの立場からもこの設定温度があるように感じた。

全員パートはもうお祭り騒ぎだった。
アンダー曲で先日のアンダーライブの感動が蘇ってきたり、表題曲で大盛り上がりだった。アンコールは日テレのアナウンサーが新人教育の時に習ったのであろう雰囲気の自己紹介からこの後音楽番組の中継が入ることを説明するところから入った。一曲目の「裸足でSummer」は全国に向けてテレビ中継され、花火と可愛らしい乃木坂ちゃん達の姿が日本中に共有された。この時中継との時間調整だったとは思うがメンバーがステージに上がってから待機する時間が出来た。その時サブステージで新内眞衣と話す斉藤優里の姿が見えたので推しタオルを大きく振ってみるとなんと斉藤優里がこちらに気付いて大きくおーいと手を振ってくれた。これは後日握手会で聞いた話だが、会場全体をくまなく見ていたらしい。会場全体を楽しませようとする彼女らしい。「オフショアガール」は大まいやん様の独壇場。
最後は「乃木坂の詩」で締め括られた3時間40分、全40曲のライブはあっという間に過ぎてしまった。僕は乃木坂がますます好きになった。

最高の夏が始まった。

それぞれが同期の絆を再確認し、それに触発されるように1〜3期がお互いに高め合うことが出来た期別ライブ。拡大していくグループにとって必要なタイミングで行われたと思う。2017年乃木坂46というグループはさらに束になって勢いを増していく。

ラジオとアイドルと鉄道模型に特化した人間です。 こちらでは鉄道模型作品の発表、自宅のNゲージタウンの日常や坂道48を中心としたアイドルの話などをしたいと思います。 週一回更新「潤ちゃんのリインカーネーション」