鬼堂廻

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小学生の頃の「読書の時間」は非日常だったという話

小学生の時、朝の会の後に10分程度の「読書の時間」というものがあった。 おぼろげな記憶では、8時から朝の会があり、8時20分から読書の時間が始まっていたと思う。 放送委員が「読書の時間になりました。好きな本を読みましょう」と放送を流し、教室内の先生も促し、皆、一斉に本を開くのだ。 僕はこの時間が一等、好きだった。すべての学校生活の中で一番好きだったかもしれない。 もうずいぶん昔のことだというのに、あのころの「早く朝の会終わらないかな、読書の時間にならないかな」というワクワク

    • ペパーミント神保町

      神保町が好きである。非常に。 多くの文豪が過ごした街だからというのは勿論、この街が湛える独特の哀愁というか、僕の知らない過去の面影だとか、そういうものが特に魅力的に映るのだと思う。 さて、神保町にある学士会館が2024年12月に再開発の為一時休館をするとの情報が入った。歴史ある建物だから仕方がないとはいえ、物寂しいものである。まだ1年ほどの時間はあるが、悠長にしているといつの間にか時は過ぎてしまうものだ。 僕は慌てて学士会館のホームページを開き、宿泊サイトを見る。 案外空き

      • 2024年1月18日の日記

        突然、五体投地でもして泣き叫びたくなる。 最近はあまりなかった酷く鬱々としたものがあまりに衝動的に訪れるもので、いつこの心持ちが爆発して行動に移してしまうか酷く不安になることがある。 電車に揺られて楽しい予定に向かう途中だというのに、身を投げたくなった。 その瞬間、イヤホンから流れる音楽が自分の好きなものに切り替わったのでどうにかその衝動は理性によって阻止された。 喫茶店でひとり、書き物をして飽きたら読書をしていた。赤星ラベルを頼んだ。 帰り際に店員さんから「かっこいいで

        • 逃宿:西郊ロッヂング

          2023年12月28日の手記より。前記事はこちら 荻窪南口の方へ下り、閑静な住宅街を、西日の中歩いていく。当時を過ぎたとはいえ、まだ日が沈むのは早い。いつの間にか僕の後ろに影が長く伸びている。 細い路地の間を抜けていくと、本日のお宿が目の前にそびえたっていた。 建築マニアであればもっと垂涎になっていたであろう外観。もちろん、マニアではない僕の心も十分に踊らせてくれる。今から数十年前から何も変わらないのであろう佇まいに、僕は圧倒された。 美しい曲線を描く外壁には、「西郊ロ

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          喫茶への逃避

          2023年12月28日手記より。 もう年越しである。年の瀬に、ふと逃げたくなった。 僕の逃避癖は今に始まったことではないのだが、今回は一段と激しい。ここでは伏せるが、今年は色々なことがありすぎた年だった。 さて、今日のことを記していこうと思う。 今日はまず朝起きてから新宿へ向かった。数日前、突発的に予約を入れた宿は荻窪に位置していたため、新宿での乗り換えを要した。入館は16時を予定していたので、ずいぶんと余裕がある。 自宅で目一杯だらついても良かったのだが、さすがにそれは

          喫茶への逃避

          「懐古厨の非日常」2024年1月15日の日記

          ・友人の書いたNoteの記事を読んで、面白いなーと感嘆。 僕は彼のように知識も豊富ではないし、言い回しのエッヂが効いているわけでもないので本当に自己満足でダラダラとした文章になってしまうが恥ずかしくなった。 しかし、隣の芝が青いのはいつどの立場になったとしても変わらない。 羨ましがっていても仕方がないのである。 ・さて、今日はだいぶ気持ちが浮ついている。 何故かというと、前々から泊まりたかったホテルに宿泊するからだ。 毎日毎日同じことの繰り返しで時間ばかり無情に消費していく

          「懐古厨の非日常」2024年1月15日の日記

          映画館で名画を見る幸福

          ※2022年の下書きから投稿。 最近、名画座にハマっている。サブスクやレンタルなどで家で映画も手軽に楽しめる時代。こんな時代だからこそ、僕はわざわざ映画館に足を運び、映画を鑑賞したいと思う。 さて、名画座とは何か。 現在、僕の住む帝都にはいくつかの名画座が存在している。レトロな構えの映画館もあれば、改装してずいぶんきれいになっているものも。映画だけではなくその空気感を楽しめるものも多い。 7月は、非常に多くの名画座に足を運んだ。そのいくつかをご紹介しようと思う。 「野獣

          映画館で名画を見る幸福

          「旅情への恋」2024年1月14日の日記

          年が明けた。年齢を重ねるごとに1年が短くなっていく。 刻々と迫る死を体感している今日この頃である。 暖冬と言われているが、雪の降らないこの地域ではあまり感じない。普通に寒い。まあ僕の部屋の暖房器具が壊れてしまったのもあるとは思うが… 修理すればいい話なのであるが、どうにも、家にいる時間が短いからそのために大枚はたいて器具を直すのもなあ、と渋っている。 最近は旅行ばかり行っている。 旅行といっても、派手派手しいものではなく、古くからある旅館街だとか、ずいぶん寂れてしまった観

          「旅情への恋」2024年1月14日の日記

          「こころがやっぱり好きだって話」2023年11月16日の日記

          愛する神保町シアターで、「こころ」の映画を観た。 夏目漱石の。 しかも監督は市川崑。犬神家の一族やビルマの竪琴などの監督だ。僕の好きな映画監督の一人でもある。 高校の教科書で初めて読んだ「こころ」、一回目はあまり理解できなかった。2回目に読んでみて、あぁ、と合点がいったのを覚えている。 友達とKと先生について語ったのも鮮明に覚えている。 そのくらい、この作品が好きだ。 純文学として最も理想の形をしているかもしれない、と偉そうなことを言ってみる。 「こころ」は思春期の僕の心に

          「こころがやっぱり好きだって話」2023年11月16日の日記

          【覇王別姫】さらば、わが愛を見よ。

          とんでもない映画に出会ってしまった。 二十数年生きてきて、それなりに映画を観てきたつもりだった。そんな自分でも、人生のベスト映画を塗り替えられるとは思ってもみなかった。 そんなとんでもない映画が、「さらば、わが愛」である。 1993年に公開された中国・香港・台湾合作映画であり、カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞を受賞したこの作品が、公開30周年、レスリー・チャン没後20年特別企画として4Kでこの夏に蘇った。 以前より友人から「絶対好きだよ」と言われて見よう見ようと思っていた

          【覇王別姫】さらば、わが愛を見よ。

          2023年10月17日の日記

          結局継続は力なり、なのだ。 僕はNoteを久しぶりに開いて絶望した。 溜まりに溜まった通知に、更新が止まった自分のページ。あまりにも情けない。 僕には文章しかない、なんて散々泣き言いったくせにそれからも逃げているではないか。 そんなことばかり頭に蓄積されていく。 最近は特に老いを感じる。 脳細胞が死に、内臓が腐る感覚がある。困ったことに、もう良い歳になってしまっている。なのに僕は子供気分のままだ。 好きな映画を見て、友達と馬鹿なこと話して、それなりに仕事をやって、なんとな

          2023年10月17日の日記

          2023年4月10日の日記「羨ましい」

          大人になったと形容できるほど中身は正直育っていない。なのに身体ばかりが衰えていく。 仲の良かった友人は皆結婚していき、しまいには子供も生まれ、安定した家庭を持っている。その、ごく「一般的な」幸せを望んではいないが、羨ましいとは少し思う。反出生の気持ちがなくて、恋愛がしっかりできる人間であれば生きるのが、息をするのが、もう少し楽だったろうなと思う。 先日、祖父が亡くなった。仕事の合間を縫ってどうにか休みをもぎ取り、葬式に出た。闘病生活が長かったものだから、お疲れ様、という気持

          2023年4月10日の日記「羨ましい」

          ドラゴンボール超スーパーヒーローを見ろ!!!!

          2022年8月。 ドラゴンボールに触れたのは実家のトイレ前に並べられた本棚からだった。 父の影響で読み始めたドラゴンボール。 あれから15年ほど経ち、成人したこの令和でまさかの再熱。時を越えて、僕のドラゴンボール魂に火がついたのである――。 再熱のきっかけは、とある実況者の「ドラゴンボールZカカロット」というゲーム実況。 とんでもない原作再現のゲームをみて、自分でもやりたくなり購入した。僕はゲーム自体あまりやらないし機器も持っていなかったのにドラゴンボールがやりたい!悟空

          ドラゴンボール超スーパーヒーローを見ろ!!!!

          れもんぱい

          夏なので、レモンパイが食べたくなった。 しかしレモンパイを置いている喫茶店はなかなかみつからない。 ある時、僕は友人と映画を見に行く約束をした。 時間より早くに集合場所へ到着してしまった。少しだけ付近を散策していると、友人が遅れてくるという連絡が入る。 なんとなく、映画館の横にある喫茶店が目に入った。 それは偶然だった。 足を踏み入れてみて、ふと、店の看板を見ると、そこにはレモンパイの文字が。 その喫茶店には、夏限定で、レモンパイを置いていた。友人の遅刻などもうどうでもよ

          れもんぱい

          【小説】桜の聲

          手紙最後の手紙※この物語はフィクションです。実在の人物、出来事とは一切関係がありません。

          【小説】桜の聲

          今日の夢

          こんな夢を見た。 僕は顔が酷く爛れた、醜い男である。顔が爛れてしまった理由は思い出せない。長らく、この姿のままどうにか生きてきた。目が醒めたら、顔が爛れていたところから、僕の記憶は始まる。 鏡を見て絶望した。この見た目で人に会えやしないと思い、ずっと家に引きこもって生活している。 唯一の娯楽は、時々家へやってくる友人だけだった。彼の記憶は残っていない。突然家に来て、古くからの友人だと彼は自称した。何も覚えていない僕は、それを受け入れるしかない。 ある時、その友人が結婚を

          今日の夢