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note「人気のクリエイター機能」のもっと良くして欲しい点を数字で説明する

このnoteは、私が一番改善して欲しいと考える「人気のクリエイター」機能に関してウダウダ書いています。単なる片思いの恋文です。

最初に、長々と数字を使った説明があります。

そういうの面倒だしいいから…と思われたら、いきなり「なぜ「改善して欲しい」に拘るのか?」から読み始めて下さい。


「人気のクリエイター」とは?

「人気のクリエイター」機能に違和感を抱いたのは、私の友人から「noteを始めたいから教えて」と言われて、スマホ画面を見ながらアカウントの解説方法を説明したときです。

会員登録を済ませると、以下のような「興味のあるジャンル」の選択画面に遷移します。

こんなのあったっけ~と思いつつ、友人が「政治とかニュースに興味を持っている」と言うので、とりあえず「政治・経済」「ニュース」を選択。

「自分に興味のあるものばかり選んでいるとダメだよ」

なんて知った顔で注意させつつ「次へ」を押すと、選択したジャンルの「人気のクリエイター」が10人分、表示されました。

2度目のこんなのあったっけ~と思いつつ、「とりあえず全員フォローしとけば?」と言うと、「やっぱりデザインも選びたい」と言い出したので前の画面に戻ります。

「デザイン」を選びつつ、再度「次へ」を押すと、先ほどお同じように「人気のクリエイター」が表示されます。そこで、違和感を抱きました。

顔ぶれが、先ほどと変わっていないのです。

勝手な思い込みですが「人気のユーザーをフォローする機能」は機械学習を駆使してかなり動的に変化します。顔ぶれは大きく変わる。Twitterの場合、会員登録すると「ユーザーをフォローしましょう」と表示され、著名な芸能人が多いものの、かなり入れ替わります。

一方でnoteの「人気のクリエイター」は静的に近い。最初、クリエイターがベタ書きになっているのかと思ったぐらい。

この違いはどこにあるんだろう…と考えました。

3度目、4度目、5度目と「人気のクリエイター」を表示させても、ほとんど一緒。しばらく考えて、もしかしたら人手で「人気のクリエイター」を選んでいて、かつその数は相当少ないのではないか?と考えました。

新規会員が最初に誰かをフォローする際に「人気のクリエイター」を選ぶのであれば、その数が少ないと特定のクリエイターにフォロワーが集中してしまうのですが、それって「noteらしい」のか…?

「細かいことが気になってしまうのが僕の悪い癖」なのは、杉下右京と松本健太郎ぐらいですね。


データを計測する

単なる偶然かもしれませんから、まずはデータを計測し、偶然というには確率が高過ぎる…と言えるまで実験をしてみました。

【実験内容】
期間:
19年11月~20年01月の3か月のうち10日間
(19年11月19日、20日、21日、27日、28日、29日、12月2日、11日、13日、23日、20年1月8日)
内容:26ジャンル毎、「人気のクリエイター」画面を表示し、どのような方が「人気のクリエイター」と推薦されるか記録する。これを50回繰り返す。ちなみに「人気のクリエイター」機能は、各ジャンル毎回7人~10人を推薦してくれる。

noteをハックするつもりも無く、なんとか記録の自動化を図りたかったのですが、全て人手で対応しました。


データで検証する

実験の結果、26ジャンル合わせて1173人のクリエイターが推薦されました。思っているより少ないですね。

ただし「クリエイター名」を突合しているので、3か月10日間に分けて実験している途中で名前が変わった結果、突合できていない可能性はあります。目視で何名か確認できたので統合しました。

19年10月の公式発表によると、会員登録者数は150万人だそうですから、およそ0.08%になります。実際のアクティブ数で割ると傾向は変わると思いますが、だとしても0.5%にはならないでしょう。

「人気のクリエイター」は「選ばれた方たちなんだな…」と感じました。

内訳を見てみましょう。

例えば19年11月19日の「健康」ジャンルでは50回試行して、同じ人8人が50回推薦されたと分かりました。この図のメモリは推薦回数を表しています。

図1

この結果から確実に「健康ジャンルにおける人気のクリエイターは、そもそも8人しかいないやろ!」と思ったのですが、日にちを変えると、違う方が推薦されました。

結局、10日間を通して9人が推薦されました。

図2

各ジャンル相当少ないのか?と思ったのですが、19年11月20日の「恋愛」ジャンルでは50回試行して、18人が推薦されたと分かりました。1人につき最大33回、最小21回推薦されました。

図3

今度は「恋愛ジャンルにおける人気のクリエイターは、18人より多いんだろう」と考え、日にちを変えると、やはり違う方が推薦されました。

結局、10日間を通して21人が推薦されました。

図6

「健康」ジャンルにせよ「恋愛」ジャンルにせよ、50回試行して1回も出て来ないなんて確率は相当低いでしょう。

したがって健康ジャンルの「人気のクリエイター」は9人恋愛ジャンルの「人気のクリエイター」は21人だと考えました。

つまり、こういうルールっぽいですね。

・あるジャンルには合計N人の「人気のクリエイター」がいる。
・日毎に、Nから抽出されたn人の「人気のクリエイター」が選ばれる。
・n人のうちランダムで7人~10人が推薦される。

全ジャンルで比較的少数かと思ったのですが、そうでもありません。

19年11月21日の「コラム・エッセイ」ジャンルでは50回試行して、140人が推薦されたと分かりました。めちゃくちゃ多い!

図4

図のヒストグラムを見る限りは、50回試行して1回も推薦されなかったけど141人目の「人気のクリエイター」がいる可能性は捨てきれません。

実験を踏まえて、「人気のクリエイター」の推薦アルゴリズムは簡易な確率ではないかと考えました。よくある「袋からボールを取り出す問題」です。

図5

いったん、この前提に立ってちゃんと計算してみましょう。


人気のクリエイター」を確率思考で計算する

19年11月27日の「教育」ジャンルで50回試行して、41人が推薦されたと分かったグラフを見て下さい。

図8

1回につき10人推薦されたので、10人枠×50回試行=500の奪い合いゲームだと想定します。図に数字が表記されていますが、41人の推薦回数を足し合わせると500です。

それを、その日の「人気のクリエイター」41人で奪い合います。500÷37で平均線は約12.20に引かれています。

50回中19回紹介されたクリエイターもいれば、50回中6回紹介されたクリエイターもいるのです。仮に41面体のサイコロを振った各面の出目の数だと考えれば、適合度検定をしてもこのバラツキは正当だと考えられます。

では、41人で10人枠を奪い合って、50回連続推薦されないってどんな確率でしょうか? 下の図のように考えます。

図9

つまり41分の31(約75%)×50回と考えれば良いのです。

その確率は0.000085%です。つまり試行を100万回実施して85回起きます。

ちなみにジャンボ宝くじ1等が当たる確率は1000万分の1(0.0000001%)です。これは宝くじを1枚買った時の確率ですから、850枚(25万5000円相当)買ったとして当選する確率と同等だと考えれば良いでしょう。

米国国家安全委員会(NTSB)が公表している数字だと、米国内のフライトに限定して、搭乗した飛行機が墜落する確率が0.000032%。その約3倍。

決して起きないとは言えませんが、限りなく低いですよね。

この計算式に準拠して、10日間×26ジャンル=全260回の実験で、それぞれ50回連続推薦されない確率を求めてみました。

先ほど紹介した19年11月20日の「恋愛」ジャンルでは18分の8(約44%)×50回ですから、50回連続推薦されない確率は「2.45965-16%」…すなわち2.46×10の-16乗です。実質ゼロ。

19年11月21日の「コラム・エッセイ」ジャンルでは140分の130(約93%)×50回ですから、50回連続推薦されない確率は2.459041%。結構高い。

10日間×26ジャンル=全260回の実験で、「コラム・エッセイ」ジャンルでは平均2.11%、「ビジネス」ジャンルでは平均0.99%、「マンガ」ジャンルでは平均0.56%と、他ジャンルでは比較的高い確率を示しました。

ちなみに次に高い「写真」ジャンルでは平均0.07%でした。1万回試行して7回はもう十分少ないかなと思い、n+1人目の「人気のクリエイター」は登場しないと判断します。

そこで上記3ジャンルを除いて、少なくとも915人以上が「人気のクリエイター」として登録されているんだろうなぁ…と考えました。

【内訳】
アート…32人
アニメ・ゲーム…57人
イラスト…58人
エンタメ…53人
カルチャー…88人
グルメ…62人
スポーツ…58人
テクノロジー…47人
デザイン…81人
ニュース…17人
ファッション…67人
ライフスタイル…54人
育児…29人
映画…18人
音楽…84人
教育…44人
健康…9人
写真…78人
小説…20人
政治・経済…49人
美容…15人
旅行…40人
恋愛…21人
のべ1081人。うち166人は、複数のジャンルにて推薦されている。

以降は、23ジャンル915人が「人気のクリエイター」として選ばれている前提で話を進めます。

計算の考え方、求めた方が合っているかどうか不安です。良かったら検証して欲しいです。


なぜ「改善して欲しい」に拘るのか?

私はnoteが好きです。ランキングも無いし広告も無い。非常にシンプル。光文社から刊行した書籍「なぜ「つい買ってしまう」のか?」も、最初はnoteに試し書きをして、周囲の評判を聞きながら完成に漕ぎ付けました。

以前にハフポでピースオブケイクの加藤さんが以下のように語っています。

noteには特徴的な点があって、(クリック数などを元にした人気順で記事を表示する)ランキングがないんですよね。サービスの思想として、置かないと決めているんです。
ランキングがあると、段々とコンテンツがそこに収斂していきます。人はみんな、ランキングが大好きです。僕もニュースサイトなどを見ている時にはつい押してしまいます。
でもそうすると、結局刺激的な見出しや、悪口のようなものになりがちですよね。僕はnoteをそういう「街」にしたくない。
当然、ランキングなしでも読者にしっかり読んでもらうとなると、よりインテリジェントな(読んでもらうための)仕組みが必要になりますが、それでもです。そこまでしてコンテンツの多様性を担保したい、と考えています。

ランキングが設けられると、結果的に著名人の記事、バズった記事によりアクセスが集中します。それだと私みたいな弱小戦士は簡単に圧し潰されてしまう。Twitter経由で読者開拓するしかありません。

だからランキングが無いのは、本当に嬉しい。

一方で、新規会員の誰もが見る最初の機能である「人気のクリエイター」で少なくとも915人以上しか表示されないのは、実質的なランキング機能ではないでしょうか? なぜなら会員登録者数が増えれば増えるほど、この915人のフォロワー数が集中するからです。

ちなみに、会員登録者数はこの9カ月で50万人増えたそうです。つまり、その回数分だけ「人気のクリエイター」のフォロワー数が増え、アクセスが集中しますよね。

もし、そうじゃなければ何のためのフォロワー機能なんだとなります。

これでコンテンツの多様性が確保されているのでしょうか。「街」と言いつつも、実質的には915人に集中する「街」なんじゃないでしょうか。

だから、ぜひとも会員登録の動線上で「人気のクリエイター」にフォロワー数が集中する仕組みを、なんか違う風に良く欲しい!と思っています。

なるほど、確かにフォロワー数が多いからと言って、記事が読まれるとは限りません。しかし世の中には「フォロワー数」だけでしか判断しない人間が大勢います。主にメディア関係者ですね。あとインフルエンサーを名乗ってオンラインサロンやっている人。そして、とは言え他のクリエイターに比べて「見られやすい」のに変わりはありません。


せめて「精査」はして欲しい

「人気のクリエイター」の質は担保したい、という想いはあるかもしれません。私みたいな攻撃的な奴はリストに入れたくない…という気持ちも分かります。突然、金属バット持って「適当なこと言うな」と道場破りするのですから。だから私は、まぁ選ばれない。それは理解しています。

なので私は会員登録の動線上で「人気のクリエイター」にフォロワー数が集中する仕組みを、なんか違う風に良く欲しいと思うのです。別に「人気のクリエイターをもっと増やせ」とは言っていません。

もし、機能がそのままであるなら、せめてクリエイターのリストの「精査」はして欲しいと思うのです。

915人中、2019年7月以降にnoteを更新していない方は77人おられました。全体の8%を占めます。私は「今」人気のクリエイターさんにお会いしたいのです。長期に更新されていない方を推薦されるのは辛い。

さらにアカウント開設後、1回もnoteを書いていなくて「まだ記事はありません」と表示されている、或いは明示的に「本サイトの公開は終了いたしました」とnoteに記載しているクリエイターが6人おられました。

これは、どういう意味なんでしょうか? どのようにして「人気のクリエイター」だと判断されたのでしょうか。noteに何かを書いているより、その人のネームバリューで選ばれているって意味なんでしょうか。

何より、そのような方を「人気のクリエイター」として新規に会員登録されたユーザーに推薦する意味が私にはちょっと理解できないのです。

noteって、そういう場所なんでしたっけ…。慄然とする思いです。

これは僕の単なる片思いでしょうか。

例えば、今選ばれている各ジャンルの「人気のクリエイター」を誰もがアクセスできるように確認できて「すげぇな」と心から思えてこそ「人気のクリエイター」なんじゃないかしら、と思う次第です。

長文失礼しました。以上、お手数ですがよろしくお願いいたします。

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