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2021.3.21 パレスチナ ピーススタディツアーに参加して

こんにちは、2020年度パレスチナ事業インターンのmiyabiです。

先日3/21に、JVCパレスチナ事業では旅行会社のHIS(エイチ・アイ・エス)さんと、パレスチナのオンライン・スタディーツアーを開催しました。

イベントの名前は「壁で分断された国をめぐり考える、パレスチナ・ピースタディツアー第二弾」(第一弾は1/22開催、第三弾5/23開催予定です!)。

当日はなんと、60名以上の方にご参加いただきました。

今回の記事では、イベントの題名「壁で分断された国をめぐり考える」にちなみ、インターンの私がイベントに参加して考えた3つのことを軸に当日の感想を書いていきたいと思います。

パレスチナについて学ぶ参考になれば嬉しいです😌
それではさっそくいきましょう。まず1つ目は、封鎖下にあるガザの教育と仕事の状況について。

ガザの教育と仕事について考える

現在大学生である私にとって、ガザの教育環境については気になるテーマの1つです。
日本では新型ウイルスの蔓延によってオンライン授業が普及し、各家庭にタブレットを配る学校もありました。

一方、2007年よりイスラエルの封鎖下にあるガザでは、一日の電気供給量が厳しく制限されており、オンライン環境を整えるのは困難です。また、例えオンラインの接続が可能であったとしても、貧困家庭の多いガザでは、子どもたちは1つのタブレットを5人、6人の兄弟と共有しなければなりません。

大学を卒業しても仕事がないという問題も深刻です。ガザには大学進学する若者もたくさんいますが、2019年時点でのガザの失業率は50%以上となっており、2人に1人が仕事に就けないという状態です。

勉強を頑張ればいい仕事に就ける、という日本の方程式は当てはまりません。

一方で、ガザの若者のなかには自分の能力を活かし、将来を切り拓いている方達もいます。私がインターンの業務を通じて知ったワラアさんは、24歳の建築家兼アーティスト。パレスチナ女性による手工芸品を製造・販売する社会的企業を立ち上げました。

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ワラア・シュブラグさん。パレスチナ事業の制作物のイラストを描いてもらうこともあります。

ただし、このような明るい側面ばかりでもありません。2020年夏には、新型ウイルスによる失業によって、将来に絶望した若者の自殺者が急増しているという衝撃的な実態も報道されています。

同じ若者としてワラアさんのような方達を応援しながら、<封鎖>の厳しい現実から目を背けずに向き合っていかなければならないと感じます。

西岸の入植地問題について考える

続いて考えていきたいのは、パレスチナ西岸地区の入植地問題。

入植地とはイスラエル人居住地のことで、多くの場合、パレスチナ人の住居や農地を収奪して建設されています。長年に渡って先祖代々パレスチナの人々が住み続けていた土地に、です。

当日イベントに登壇したJVCパレスチナ事業の山村さんによると、パレスチナ人が住居の立ち退きを迫られる際には、裁判の判決が言い渡される場合もあれば、銃をつきつけられる場合もあるといいます。

退去した家は、自分で壊すか、もしくは業者に30万円ほど支払って壊してもらうか、パレスチナの人々は選択しなければなりません。

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東エルサレム。中央の分離壁を挟んで、左側がパレスチナ人難民キャンプ。右側がイスラエル人の入植地。

自分で建てた家を自分で壊すという理不尽な現実。この話を聞いて私が思い浮かんだのは、東電の原発事故で避難し、退去した自宅を機械で壊すことになった浪江町の方の話でした。

長いこと生活し、歴史の残った家を壊さなければならない人々を生み出す問題の根源は、その状況に置かれていない私が断定することはできませんが、パレスチナと福島に共通するものがあるのではないかと感じました。

だからこそ、パレスチナの入植地問題は遠い土地の話ではなく、日本の、そして私たち自身の問題なのだと思います。

平和と中立ついて考える ——日本の私たちにできること

これまで学校生活や日常生活におけるさまざまな争いごとに対しては、<中立>の立場にあることが良しとされてきました。お互いの意見にきちんと耳を傾けなさい、という教えです。

しかし、パレスチナ問題に対して<中立>という立場を最重要視しなければならないか否かについては、疑問が残ります。パレスチナとイスラエルでは、すでに圧倒的な力の差が存在するからです。

苦しんでいる立場の人の声を多少大きく取り上げなくては、いつまで経ってもパワーバランスは平行に近づきませんし、多くの人の声を取りこぼしてしまうのではないかと思います。

リサフェSNS用写真_最新版(松田)

ベツレヘムの分離壁。出典:JVCパレスチナ事業note 【JVCスタッフが解説】 3つのキーワードから知る、パレスチナの歴史といまhttps://note.com/jvcpalestine/n/ncdafe8a8b5cd

また、<平和>という言葉の意味についても、今回のイベントに参加して改めて考えさせられました。

パレスチナ人も、イスラエル人も、そして私たち日本人も、誰しもが<平和>を願っていると言いますが、その意味は立場によって異なります。

2002年より分離壁の建設を拡大しているイスラエルにとっては、多くの場合、平和とはセキュリティ面の平和のことを指していますが、これは結果的に、パレスチナ人に移動制限を課すことで、人々を苦しめることに繋がっています。

これに対して山村さんは、「誰かを苦しめた上での平和は平和とは言えないのではないか」と疑問を呈していました。

2020年、イスラエルがUAEやバーレーンと次々に和平条約を結びましたが、これが誰のための平和なのか?という点については、これからもよく考えなければならないと感じています。

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第3回は5月23日開催予定!

スタディーツアー第3回の詳細とお申込みはコチラから↓ 

最後までお読みいただきありがとうございました😌
この記事を最後に、1年間のインターン期間も修了となりました。

この1年間、複雑なパレスチナ問題と向き合い続けることができたのも、JVCパレスチナ事業のスタッフや、イベントで知り合ったジャーナリストの方々が、日々さまざまな方法で現地の情報を発信してくださっているおかげです。この場を借りて、みなさまとの繋がりに感謝申し上げます。

そして、パレスチナ問題に関心を寄せ、この記事を読んでくださっているみなさま、私自身、今後も一市民としてJVCを応援し、パレスチナ問題に向き合っていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。