見出し画像

荒野行動におけるゲリラルームの歴史を紐解く

*この記事の対象読者
荒野行動を知っている。配信を見ている。自分はプレイしない。プレイするが、Twitterはしていない。などが当てはまる人。
*荒野行動を知らない人にも多少の配慮があります。
*独断と偏見が含まれています。

Justive7が大会に出るまでの期間にしてきたことはこちらの記事にて。

僕と友人

 僕は友人にYoutube活動をしていることを伝え(あまりにも日常に支障がありすぎていて、ご飯の誘いを断っていることの不都合を説明できなかったため)、その中で荒野行動というゲームを配信していることを知ってもらった。
彼は荒野行動をプレイしたことがない。よって、Twitterもやっておらず配信から得られる情報しか荒野行動についての知識がない。

彼はPUBGの大会観戦やその周辺情報、選手の配信を見ることが趣味であり、そのあたりの知識は持ち合わせている。

「ゲリラってなに?」

なるほど。僕たちArcadiaGamingのプレイヤーは毎日21時から24時まで、30分刻みで6,7試合の賞金付き大会に出場している。その中でリーグ戦、大会、ゲリラが…と、その言葉が出てくる。リーグ戦は大会の形式の一つだと直感的に理解出来るけれども、ゲリラというのは理解しがたい。彼はそう言った。

荒野行動界隈における ゲリラ の定義

 Twitter上で主催者によりルームIDとパスワードがツイートされ、参加者はそのツイートを見てルームに入る。優勝者賞金を主催者から受け取る。

主催者は見返り(対価)として、TwitterのフォローやRT、特定ツイートのいいねを参加者に求める。賞金を複数人が出す場合はその全員が対象になることがある。

優勝者(このゲームは100人のうちひとり、またはひとチームのみが優勝者となる)は賞金を受け取る。

賞金は基本的にコンビニで買えるギフトカード。ギフトカードは最小単位が1500円となっており、優勝者は一人につき1500円を獲得するのがスタンダードとなっている。

記憶をたどって

2018年1月。荒野行動がリリースされて一年と数ヶ月、Twitter上に存在する荒野行動界隈では大会に出ることが一つのプレイスタイルを形成していた。

大会に出る方法はひとつ。

この日時に大会を開きます。DMをください。

DMを送った人の中から何チームか選び、選ばれたチームのみが出場出来ます。
指名されたチームは、出場するプレイヤー名を提出すること。これは決められたプレイヤー以外がルームに入らないようにし、トラブルを防ぐためのもの。助っ人は容認したりしなかったり。

めんどくさい!

いや、もうやることが多すぎる。なんでプレイヤー名を提出しなくてはならないのか。一ヶ月後の予定?今は空いてるけどそんなに早く決められないよ!

そこで現れたのは、それらの面倒な慣習を捨て去った、ゲリラ開催の賞金ルーム。

新たな風

ゲリラルームを開きます。何月何日何時にルームIDとパスワードをツイートします。このツイートをRTし、私をフォローすることが参加条件です。

界隈に革命をもたらした。これによりプレイヤーはマネージャーのちから(マネージャーは基本的に大会の枠を貰う連絡をすることを主な役割としている)に頼ることなく、一連の”パス打ち”というムーブによって大会に出場出来るようになった。

ゲリラというネーミングは、従来の主催形式と比較してお知らせから予定時刻までの時間が短いところから来ている。(いや、本当のところ突然ルームIDとパスワードを公開するのがゲリラルームなのだが、その公開のくだりだけ切り取ってゲリラと呼んでいる節がある)

さまざま学生が休みに入る2月。深夜にはたくさんのゲリラルームが開催された。毎日主催していたとある主催者はフォロワーを4000人以上獲得し、プレイヤーから慕われた。

ゲリラを主催すればフォロワーを獲得することができ、なおかつプレイヤーに慕われる存在になるのではないか。
そういった空気感がゲリラ主催の熱を更に盛り上げることとなった。世はまさに大ゲリラルーム時代である。

確定枠

さて、ゲリラルームに入る人は主催者側からは選べない。パスワードを打ち込むのが早いかどうかだけが、参加か不参加を分ける。
主催者としては、仲の良いプレイヤーに賞金をあげたい気持ちも存在している。そこで自然と現れたのが確定枠である。

100人のルームのうち確定枠は20人取ります。FF内(フォローしフォローされている人)の人はリプライしてきてね。

これにより恩恵を強く受けたのはいわゆる猛者プレイヤー、フォロワーが何千、何万といるプレイヤーだ。猛者プレイヤーはこの条件を突破してしまう(理由は言うまでもない)。
当然そうではないプレイヤーは不満を持つ。確定枠を取ることが出来ないプレイヤー、確定枠によって圧迫される一般枠(パスワードツイートを見てから入る人々)。4月にはそういった格差が生まれ始めていた。

時代は更に進む

確定枠は常に猛者ではないプレイヤーを蝕み続けた。そして、いつしか交換枠という新たなルールが生まれる。

このゲリラでの交換枠は5枠です。今日の22:00スクアッド(4人ルール)との交換を求みます。

これによって次に苦しんだのはマネージャーである。それまでマネージャーは確定枠を貰う立場であり、主催する立場ではなかった。こうなると主催者兼マネージャーはチームに強く求められ、主催者ではないマネージャーは枠を取ることが難しくなってしまう。

この状況により、マネージャーが自チームのために大会を開くということが当たり前になっていく。しかしそれは自己犠牲によるものであり、それをチームのプレイヤーがきちんと認識していればよいが、この界隈の中心は中高生である。当然わからないプレイヤーも存在し、それによるトラブルも起こってきた。

対価

参加者が主催者に払う対価は長い間TwitterのフォローとRTだった。フォロワーの数は主催の実績を表し、RTの数は需要を表現する。

ところ変わってKWLという毎週水曜日に行われる大きなリーグ戦がある。この界隈では最も注目されているこのリーグ戦は初期からチーム選考の方法として、応募ツイートのいいね数を参考にしている。
これはもちろん対価なしだ。実力や人気はプレゼント企画の条件なんかに入れられては正当な評価はわからなくなる。

しかしそうではない大会が開かれた。その大会はリーグ戦ではなく一日3戦行い総合ポイントを争うといった形式だったが、参加方法は応募ツイートのいいね数順、対価ありだった。

そうなればこの高額賞金が出るこの大会(荒野行動界隈で言う高額賞金は本当に高額で、このJustive7は過去に1試合で37000円を獲得したことがある)に出たいチーム、特に有名ではないチームは対価でいいね数を増やすことを画策する。
そう、参加条件に対価としていいねが登場する。

賞金ルームとゲリラの違い

上記でゲリラについては過去の流れも踏まえて理解してもらえたと思う。次は賞金ルームとゲリラの違いについて。
ゲリラは確定枠以外の枠は参加条件さえ満たせば誰でも入ることが出来る。それとは違い、賞金ルームはゲリラ以前の大会に近い。ただし、現在のシステムは主にリプライからの選考が多いがリプライからDMグループに招待、すべての参加枠がゲリラで言う確定枠になっているのが賞金ルームである。


蛇足

荒野行動界隈ではこのようにシステムを効率化、円滑化させて経済が回っている(回ってはいないのだけれど)。これは世界中どこを探してもこのような環境はない。異常である。

たとえばPUBGを例に挙げればスクリムといういわゆる交流戦が毎晩開かれている。これは大きな大会を想定した練習試合みたいなもので賞金が発生することは基本的にない。
しかし荒野行動では大きな大会に出ることがなくとも、誰でも賞金付きのマッチに参加することが出来る、それも形式をいとわなければ一日中どの時間帯でも、である。

よってこの狭い世界では上達や環境の移り変わるスピードが異常に速い。

惜しむべきは荒野行動がほぼガラパゴスゲームということだ。これが世界的に人気なFortniteだとかPUBG mobileならば日本プレイヤーは無類の強さを誇ったに違いないと確信している。それくらいの熱量があるのにも関わらず鎖国的、日本と中国のみというプレイヤーの幅の狭さが残念でならない。

そうなれば、僕が望むことはこのある程度の完成度を持ったシステムが他のゲーム界隈(と言っても普通、ゲームは環境を取り巻くひとつの界隈といったような形よりもさらにふわっとした実体のないものになりがちだ)に浸透することである。さすれば日本のゲーム競技環境はよりレベルの高いものになるであろう。対価については議論や考察の余地があるとしても。


普段は毎日21時から大会の様子を配信しています。見に来たことのない人はぜひ見に来てね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?