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月がきれいですね。シナリオ案

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<主な登場人物>
・男(主人公)・・・27歳サラリーマン。大学院を卒業後、金融企業に就職.。日本企業の海外活動支援を行う。
・女・・・26歳OL。化粧品会社で1年間販売員を経験した後、念願の開発部に異動。編入した大学院で男と出会い、付き合って2年。同棲中。

・場面ごとの男女ペア

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現在の東京。
都会のビル群をスーツ姿の人々が忙しなく行き交う。
(画面そのまま、男の声のみ)
この気持ちを君に伝えるにはどう言ったらいいんだろう。
なにかぴったりの言葉があったような気がするが、思い出せない。

画面が切り替わり、ベッドで寝ている主人公の男と女が映る。
女はぐっすりと眠りこんでいて、男は肘をつきながら彼女の寝顔を見つめる。
男は女の顔を見ながら首をひねる。

好きなものは抱えたまま、それに名づける言葉だけを失った人々。
空白とも気づかないその空白を埋めようと、言葉や態度でなんとか伝えようと努力する。
このような状況を、すきを抱えたそれぞれの男女の場面をつなげながら表現。


▶場面①髪を切ってきた彼女
 窓の外では桜の蕾がふくらんでいる。
 風は冷たいが日差しは暖かい。
 たまに振り返りながら、たまに石段に上りながら彼女は笑って先を歩く。

(同級生の彼氏と彼女)
彼女が楽しそうに話しているのを聞きながら呟くように
A「君の首筋に見とれちゃう」
彼女「ん?何か言った?」
A「なんでもないよ。髪、よく似合ってる」

▶場面②結婚記念日の老夫婦
 朝の静けさが漂う閑静な住宅街。
 カレンダーの丸印(2月5日)
 布団に寝ている70代女性。
 枕もとの時計が5時半を少し過ぎた頃、アラームなしに目を覚ます。
 お味噌汁をあたためながら、ニットの羽織の襟を寄せる。
 病院にて、ベッドを抜け出し公衆電話へと向かう70代男性の姿。
 朝7:45電話が鳴る。
 話しながら女性のほころんだ横顔。
 一緒にお見舞いに行こうと家に女子高生の孫がやってくる。

(おばあちゃんと孫)
孫「今日は結婚記念日だよね!ケーキ買ってきたよ!」
嬉しそうにカレンダーを見ながら
B「ありがとう。今日はおじいちゃんとおばあちゃんの結婚40周年なの」
孫「40年!そんなにずっと一緒にいるなんてすごいねぇ」
B「おじいちゃん入院中なのに、いつもありがとう、って電話くれたの。嬉しかったぁ…」

▶場面③アイドルオタク
 マスコミ業界で酷使されている37歳独身男性。
 友人に誘われたライブをきっかけに19歳の地下アイドルにドはまり。
 夜の街中。人混みを縫って全力ダッシュしライブへ向かう。

(オタクとアイドル)
ライブ終わりの握手会で順番が回ってくる
アイドル「忙しいのに、今日も来てくれてありがとう!」
C「君に会えると思うと仕事の効率が爆上がりします」

▶場面④クラスメイト
 高校2年生の夏。
 教室の窓は全開にされていて、生ぬるい風がカーテンを膨らませている。
 みんなのおしゃべりが集まって、教室はすごく騒がしい。

(女の子と同じクラスの男の子)
ぎゅっと鞄の紐を持ちながら、自分の席に座る。
みんなでワイワイ話している男の子。
少し離れた席からDに気づいて「おはよ!」と声をかける。
振り返りながら、D「お、おはよう!」
Dは教科書を机にしまいながら深く息を吐く。
(D心の声)「朝教室に入った時、自分の席より先にあなたの席を見てる」

<展開>
主人公の男女の恋愛の中で、自分の気持ちが上手く伝わらなかったり、
相手の気持ちがよく分からなかったり、すれ違ってしまうことが増える。

便利な言葉や、通信媒体によるコミュニケーションに頼りきりだった二人の間にはいつしか不安が積み重なっていき、お互いがお互いのことを好きであるはずなのに、彼女は男から離れていってしまう。
そこで男は彼女のことをを何とか繋ぎとめようと、慣れない言葉で自分の想いをぶつけていく。


<結末>
そのまま年月を重ねたある日、突然「すき」が戻ってくる。
そうだそうだ、言いたかったのはこの言葉だ。

ABCD「「「「すき」」」」

あれ、と人々は首をひねる。
僕のわたしの中にいるこの気持ちは「すき」なんてたった二文字で伝わったのだろうか?
この温度この熱量のまま、あなたに伝わったのだろうか?

僕の「すき」はそもそも「すき」なんて二文字じゃ、全然まだまだ足りなかったんだ。

<コンセプト>
文面やスタンプでしか素直になれない現代社会において、
言葉の重要性や、人と人とのコミュニケーションの大切さを再認識する作品にしたい。


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