犯罪と更生

今、日本では犯罪は過去に比べ減少しているが、それでも犯罪はなくなるどころか逆に高齢者による犯罪は増えている.それだけ高齢者が生きにくい世の中になってきていると言わざるを得ない。物価は上昇し核家族化し、高齢者は孤独を強いられ年金はどんどん削られ未来に希望など持てない社会になってきている。

また格差社会はますます加速し、持つものと持たざる者の格差は拡大の一途である。国民総中流と言われるまでに我が国は戦後見事に復興したにもかかわらず、何故このような社会になったのか。経済とはそもそも一部の人達が一人勝ちできるシステムではなく、経世済民を実現すべきではないのだろうか。

その社会の中で生きづらい弱者が一度犯罪に手を染めてしまい犯罪者になってしまったら、なかなか更生は難しいと言わざるを得ない。

国は今法律を変えシステムをより良くする方向に進んでいる.例えば懲役刑と禁固刑、この違いはご存知だろうか。懲役刑は労働作業を受刑期間を通して課せられるが禁固刑は労働の義務はない。しかしこの度の法改正で長らく続いたこの制度は、拘禁刑として生まれ変わることになったのだ。これは大いに画期的なことである。拘禁刑受刑者全てに更生のために必要とされる作業に就かせ、また必要な指導を受けることができることになるのである。

作業や教育は、出所後の生活を支えるためのスキルとなり更生へ大きな役割を担うものにはなるであろう。しかし実際に出所後の仕事に就くという課題には大きな壁が立ちはだかっている。就職先は建築現場、運搬運送、という危険を伴う職場が多くの雇用先となってる。しかし最近有名お好み焼き店の社長が率先して出所前に刑務所内で就職面接をするというリクルートを始めた。これには様々な条件があり、再販回数、刑期、犯罪内容などが精査され募集できる条件も様々だが、これは非常に画期的なことである。これに賛同して後の続く企業も増えてきている。このような企業の動きは更生に大きな役割を果たすであろう。就活雑誌も所内で配布できるように、教誨師、特使面接官の働きかけもありこのような動きが、継続され大きな流れになっていくように思われる。

また所内での教育学習、更生のための様々な宗教のプロによる教誨を受ける時間や、折に触れて行われる宗教行事などが心の更生に大きな役割を果たしていくだろう。反省は1人でもで来るが、決して更生は1人では出来ないのである.罪と正面から向き合う気持ちを持つことは、周りの人との関係性の中から芽生え、支えてくれる刑務官はじめ色々な人達の中で更生への扉は開かれて行くものだと思うのである。

私たちは犯罪者に対して警戒心や、嫌悪感、恐怖心など持ってしまいがちである。しかし反省し更生し人生をやり直す機会を得た人達が、労働者として働き、ささやかなごく当たり前の生活を営む事を応援する事が再犯の抑止に繋がって行くのではないだろうか。受け入れる企業を増やし、その企業を応援する、そういう店を私たちが利用する事によって雇用は確保され、再犯は防がれ、社会に受け入れられる事で真の更生につながって行くと思うのである。

私たちは決して1人では生きてゆけない、生きるということは社会と、他人と関わって行くという事だ.様々な出生、生育歴、自分では選べない家庭環境の中、或いは追い詰められた生活の中で、いつどんな犯罪に巻き込まれるやもしれない。誰しもが、加害者にも被害者にもなりうる可能性は決してゼロではない。だからこそ私たちがより良い未来のために、犯罪をなくすためにも、更生という事に取り組んでいる企業や店舗を応援し利用し、それに携わる法務局の仕事をはじめ、刑務官、保護司、篤志面接官、教誨師、等の社会福祉更生矯正の仕事に興味を持ち、理解することも社会の一員として未来のためにできる事なのではないだろうか。


#未来のためにできること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?