アカデミー賞_パラサイト

アカデミー賞で『パラサイト 半地下の家族』が作品賞と監督賞のダブル受賞! この快挙のワケを自分なりに考えてみた。

こんにちは。映画大好き渡辺です。

今回のアカデミー賞は、韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』が、主要部門の中でも主要な作品賞と監督賞のダブル受賞という快挙!!
アジア勢では初となる作品賞で、とてもすごいこと。アカデミー賞の歴史が変わった瞬間を見てしまった感じ。

個人的にも『パラサイト』めっちゃ面白かったし、ポン・ジュノ監督は大好きなので素直に嬉しい。

とは言ってもどのあたりがすごいことで快挙なのか、自分なりに解説してみたいと思います。


『パラサイト』受賞、快挙のワケ

・外国語の壁

アカデミー賞は基本的にアメリカ国内の映画賞で、アメリカで公開されたアメリカ映画を対象にアメリカの映画人たちが投票します。
なので、アメリカ映画以外は作品賞にはノミネートされず「国際長編映画賞(旧外国語賞)」ノミネートにとどまることが多いんです。
それにアメリカ人は外国語映画をあまり観ないので字幕の作品を敬遠しがちと言われています。
昨年、ネットフリックスの『ROMA』がスペイン語で作品賞ノミネートされていたし監督のアフフォンソ・キュアロンは監督賞を受賞していたので波はきていた。
とはいえ、韓国語で字幕の『パラサイト』にそのハードルは高かい。

アカデミー賞_パラサイト1


・王道は『1917 命をかけた伝令』

前哨戦の賞レースでは作品賞も監督賞も『1917 命をかけた伝令』が獲得していてこちらが大本命。 ネットフリックス勢が資金と物量にものを言わせて映画会社別では最多ノミネートな中、映画館の大スクリーンならではの没入型の大作で全編ワンカットという技術的にも高いことをやったのが評価されていました。
劇場関係者はネットフリックスを映画館からお客さんを奪う敵だと考えている人たちも多いので、映画館向けの作品で尚且つ字幕ではないアメリカ映画の『1917 命をかけた伝令』がその層に支持されていて大本命でした。

アカデミー賞_1917


・ホワイトオスカーなどのアカデミーの問題点

ホワイトオスカー(白すぎるオスカー)とは、アカデミー賞の会員が年配の白人で多く構成されていて、俳優部門ノミネートが2年連続で全員白人。そして有力視されていた黒人の監督や俳優が漏れていたことに対する不満が業界内やSNS上でも高まり、スパイク・リーやウィル・スミスが授賞式を欠席したり、スピルバーグがコメントを発表するなどに発展した騒動。

さらに、パワハラ問題やセクハラ問題も相次ぎ、アカデミーとしても大きな変革が必要とされていて、それを実行し、変革をアピールする必要があった。

アカデミー賞_オスカー


・多様性の勝利!

いろいろと問題の多いアカデミー賞が行った変革の中で、アカデミー会員の増加がありました。黒人やアジア系、若い人や女性の割合を上げるために投票権を持つ会員が大分増加されました。
最近の作品賞も「グリーンブック」(2018)、「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017)、「ムーンライト」(2016)と人種やマイノリティに対して多様性を問う作品が連続して受賞。

監督賞も(トランプ大統領が「メキシコ人は出て行け!」と叫んでいる横で)アルフォンソ・キュアロン、ギレルモ・デル・トロらメキシコ勢が連続して受賞して多様性の流れはきていた。

アカデミー賞_ROMA


・まとめ

WOWOWの放送で町山さんや白石監督も言ってましたが、「韓国の監督が、韓国人向けに、韓国で制作した映画がアメリカのアカデミー賞を受賞する時代になった」というのが、歴史的な出来事。

アカデミー側もいろいろと問題もあるけれどそれに対して戦う人たちがいて変革して実行してきている。

そして流れはあるものの、依然高いハードルを越えられたのは、「本当に面白い作品」だったから。
本物の作品であれば、アジアの映画であろうとアカデミー賞で作品賞が受賞できる。それを証明してくれたのが『パラサイト 半地下の家族』だった。

日本からも近いうちにこれに負けない素晴らしい作品を送り出して欲しい。


アカデミー賞全体について書こうとしたのに、パラサイトだけで長くなってしまったのでここまでに。

最後までありがとうございます。



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