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【オードリー若林】夢と挑戦に溢れる自己啓発は、お金とアドレナリンの匂いがする?

昨日出た文春文庫の新刊を
読んで、まずは大きくうなづき、
それから衝撃に打たれた。

「タイムズスクウェア周辺には、
日本では見ないようなド派手な
広告ビジョンがひしめいていた。
広告からは『夢を叶えましょう!』
『常にチャレンジしましょう!』
『やりがいのある仕事をしましょう!』
と、絶え間なく耳元で言われている
ような気がした。
もしも『無理したくないんだよね…』
などと言おうものなら……略…
ニューヨークはどこに行っても
金とアドレナリンの匂いがした。」

これはオードリー若林正恭が
2014年に書いたエッセイの
冒頭付近のひとくだり。
まるで十数年前からエッセイを
書いてきたベテランのような安定感。
うまい。

もうここには、6年前、すでに
「夢を叶えよう」や
「チャレンジしよう」と
騒ぎ立てる自己啓発の語り手が、
フルボリュームで訴えていたことが
わかります。

若林のようなシャイボーイは、
その風潮にうんざりしながらも、
逆らわないで弱っていたこともまた、
伝わってくる。

オードリー若林は
頭もよいけど、時代や社会への
アンテナもいいんだな。すげえ。

若林のこのキューバ紀行エッセイ、
『表参道のセレブ犬と
カバーニャ要塞の野良犬』は
日本旅行作家賞を授与され、
書物としても一級のエッセイ。
オススメです。

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