私はしくじり自己啓発本編集者?
「好き」を仕事にしたい28才、無職。
時代はバブル崩壊直後。
好きな料理と、
かつて編集をしてた経験から、
料理本の編集をめざすことに。
「好き」を仕事にすることに
まだ私は捕らわれてました。
いくつか企画もあたためた。
でも、料理専門出版社は
なかなか空きがなかった。
新聞の求人欄から出版社を探し、
料理本の企画書を添えて応募した。
面接では、料理への思いをアピール。
すると、ある会社ですぐに採用へ。
うそ?マジ?ラッキー!
そこはジャンルを問わず
色々な単行本をだすベンチャー出版社。
よーし、と期待に胸を膨らませて出社。
でも、そこで私を待っていたのは、
自己啓発本の仕事であった…!
何冊か自己啓発本で売上を出したら、
自分の企画の本を作らせてあげる、
、、、それが社長の魂胆だった。
実際、写真をたくさん使い、
レイアウトも1ページごとに違うから
デザイン費用もかなり嵩む料理本。
それに比べて、自己啓発本は
時折りチャートやグラフを付ける位。
何より、自己啓発本は、
書店でいちばん売れる人気ジャンル。
すぐお金になる自己啓発本は、
経営者としたら、たまらない分野。
「好き」を仕事にできると
思っていたのは甘かった。
新しい出版社では、初日から
いきなりライターと
ビジネス書の校正で終電まで。
ヤバい匂いはしたけど、
世の中はバブル崩壊。
ここは、この会社にいて、料理企画の
チャンスを待つしかないかな?
と妙に受け入れてしまう、
これが私の悪いクセ…(笑)。
自己啓発を読むのは、
文芸好き、フィクション好きには
ちょっと恥ずかしい行為。
一言でいえば、ダサかった。
90年代は、まだ
カーネギーや松下幸之助、
「七つの習慣」など伝統的な本を中心に、
心理カウンセリングや、
経営コンサルタントの
専門家が自分で本を書こうと
群雄した時代。
まだ、自己啓発→人生に悩む人向け
→文学や思想より数段下…?
そんな時代でした。
当時は、加藤諦三さんくらいかなあ、
きちんとアメリカで心理学を学び、
文章にも「香り」があった人は…。
そんな時代、自己啓発編集は
お金になるけど、恥ずかしい
ちょっと納得いかない仕事だった。
とはいえ、編集は
著者や著者の考え方が好きになる
ところから、仕事が始まる。
好きにならねばならない。
でも、私はこれが得意だった。
好きになろうとその著者を
調べていくうちに、
たいていすぐに好きになる。
人間が単純にできてるんでしょうね(笑)。
さあ、自己啓発本漬けの毎日。
好きな料理本のために、
ではありましたが、
類書や傾向を調べてくうちに
それなりにおもしろくなる。
これが私の短所か?長所か?
この性格ゆえに漫画の仕事も
かなり面白くなったのだなあ。
まあ、結局、ここの会社では
一冊も料理本を作れなかった。
次々に自己啓発本の仕事が
回ってきたから。
ただ、自己啓発専門の編集者に
このままではなってしまう!ヤバい。
『「好き」を仕事にする』を
第一目標、大前提に、
仕事探しをするのは、どうも
ちがうんじゃないか???
「好き」より「向いてる」を
第一目標にしたら、どうだろう?
そう思い始めたのは、
自己啓発本の読み過ぎ?
そのおかげ?だったかもしれない…(笑)。
(続く)
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