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【選本】12歳、思春期に悩む少年少女にススメたい本は?

もしも僕に12才の甥や姪がいて、
親や学校が勧める本は
どうも優等生的な匂いがして、
そんなのは読みたくなくて、
でも読書感想文は宿題だから
書く必要があって困ってる…
そんな悩みを打ち明けられたら?

さあ、本好きを自称してる
呑気な叔父としては、
どんな本を勧めるか?
いや、勧めないべきか?
多いに悩むところです。
叔父の本好きの見せ所でも
あるのです…。

学校や親が勧める本は、
今の大人たちの価値観を
肯定する本でしょうね。
でも12才になり、
その価値観の押し付けに
どうも違和感を感じてきた、
そんなデリケートな甥や姪は、
どんな本なら自分から読みたいと
なるでしょう?

まずは、自分から自発的に
好奇心が涌く必要があります。
思いきって、漫画にしても
いいかもしれない。
今の漫画は、小説を超えるほど、
何かを感じさせ、
何かを考えさせてくれる
実にクリエイティブな漫画も
たくさんありますから。

何も考えさせない、
癒し作品は本屋さんに行けば、
いくらでもあります。
でも、今の自分の日常や未来を
考えさせてくれる本は、
相性の問題もありますが、
出逢うのはなかなか難しい。

親や学校の先生が勧める本は
おそらく「ものを考えさせない」本。
もちろん、そんな本も
楽しいから悪くないですよ。

でも、どうも違和感を抱くなら
さあ、そこで私の出番です(笑)。
ものを考えさせてくれる本は
どんな本でしょう?

真っ先に浮かぶのは
川上未映子『ヘヴン』。
斜視でイジメを受ける
少年と少女の微妙な友情?反発?関係。
いじめや障がい、マイノリティなど
色んなことを考えさせられる。

村上春樹『海辺のカフカ』も
親殺しのテーマを含んだ、
14才の家出少年の冒険物語。
大人の価値観に疑問な年頃には
悪くない気がします。

ここで、森絵都さんや瀨尾まいこさん、
初期の角田光代さんを出すのは
敢えて外しましょう。
そもそも、良質の児童文学だから。

私が本を読んで感じて欲しいのは、
「え?何?一体どういうこと?」
と不条理に戸惑い、解釈を自分で
必死に考えざるをえない本のことです。
癒しや感動エンタメ本は、
みんなが解釈が一致し、悩まない。
本当はそれ自体が一番、ありえない
奇妙な現象なんですが…。

ものを考えさせてくれる本は、
人間ってこんなことになるん?
人間はこんなことをするん?
神様っているのかな?
生きてるって一体何なん?
…そんな風に戸惑いをくれる本です。

あ、例えば、米原万里の
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』も
今の日本では想像もつかない、
共産主義国時代を子供が如何に
生きていたか?を読める、
地に足がついたノンフィクション。

あ、そうだ、子供の読書感想文って
新書だっていいはずですよね。
養老孟司先生の環境問題を論じた、
『いちばん大事なこと』(集英社親書)、
これは意外と養老先生の中で
意外に読めれていない、でも中身は
めちゃくちゃ斬新で納得の環境論。

あ、そういえば、対談本だって
感想文にしていいですよね(?)。
私が最高に好きな、
対談本で中身がないのが多い中、
びっくりするほど中身が豊穣な本が!
心理療法家・河合隼雄先生と
脳科学者・茂木健一郎の対談
『こころと脳の対話』は
心や脳に興味ある少年少女に読んで欲しい。

それから、また河合隼雄さんと
作家・小川洋子の対談『生きるとは、
自分の物語をつくること』。
「物語」というのは、決して
小説や文学ではなく、人生という
原稿用紙に字を書いていく
誰もがしている行為なんですね。
生きることになんとなく
疑問や意味を抱きだした
少年少女に読んで欲しい。

どうでしょうか?これで
困った甥(実際はいませんが)に
役には立てるかしら?

『ヘヴン』川上未映子
『海辺のカフカ』村上春樹
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
米原万里
『いちばん大事なこと』養老孟司
『こころと脳の対話』河合隼雄・茂木健一郎
『生きるとは、自分の物語を生きること』
河合隼雄・小川洋子

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