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【本】本が売れる、売れないを決めるのはどこの誰?

この本は売れる!
この本は売れない!
と、最初に決めるのは、
どこの誰だと思いますか?

昔は、取次(本の問屋)
仕入れ部のオジサンたちでした。

一ヶ月後に発売する書籍の見本、
それから、その本がいかに
面白いかすぐにわかる?
目次コピーや、
帯のデザイン見本を持参し、
取次の仕入れ部を、
出版社の人間が行脚していきます。

取次になんて言われるか、
ヒヤヒヤものでした。

普通、これは出版社の
営業の仕事ですが、
たまに編集者も同行して
より一層アピールしようと
加勢したことがあります。

この時、取次の人が
パラパラと本をめくり、
退屈そうにされると、
それだけで胸が
張り裂けそうになりました。

でも、怯む訳にもいきません。
これはこれこれで、
あれはあれこれで、と、
オジサンにがんばって
本の魅力を説明します。
まるで、アイドルの握手会みたい。
オジサン相手に5分くらいが
持ち時間でした。

ところで、
私が未だに忘れられない、
取次オジサンの第一声は
「これ、映画になる予定はある?」
でした。

私は、びっくりしました。
取次の平和ボケした仕入れ部長は、
映画やドラマになるなら、
10倍は仕入れたい。
でも、それがないなら
数百冊だなあ、なんて
ぬかしやがるんです。
(すいません、ちょっと言葉が
乱暴になりまして…)。

出版社では、ゴールは映像化だ
なんて思って働いてる奴が
いるわけねえだろう?

メディアミックスが
勢いよく騒がれたのも今や昔。
今は映像になっても、本自体は
あまり売れたりしません。

ただ、認知される範囲が
広がる利点はありますかね。

なのに、
取次の平和ボケオジサンは、
何もご存知ない。

こんな会社が
Amazonに勝てる訳がないですね。

道理で、
かつては、5社くらいあったんですが、
今では、もう取次会社は
たった2社になりました。
それがニッパンとトーハンです。

今は、ニッパンやトーハンも
前のままじゃダメだと反省し、
発売前の予約受注を
全国書店で受け付け、
しかも、それを元に
トータル何万部売れるか、
AIで数字を出せるよう、
研究が進んでいます。

しかし、
もうとっくに、
発売前に何冊売れるか?
部数を予想できる会社がある。
それが、Amazonです。

Amazonでは、
1〜2か月後に発売の本が
何千、何万人売れるかわかります。
買いたい人がクリックして
予約するからです。

その発売前注文の数字が
Amazonでは全冊、
把握することができますね。

ちなみに、
出版社が一番困るのは、
本を刷ってみて、
余り過ぎたり、
不足過ぎることです。

紀伊國屋書店や三省堂に
入る予約数では、
部分的過ぎて、
それを頼りにするのは
心もとなかったのです。

だって、2か月前の本を
本屋さんで事前予約するの、
ちょっと恥ずかしくありません?
ちょっと勇気が要りますね。

ある本がどれくらい売れるか、
一番カギを握ってるのは、
Amazonの予約数字、
ということになりました。

日本全国の人のニーズを
知れるのは、すごい強みです。
それも、みんな家で簡単に
できちゃうんです。
これは、Amazonを称えるしか
ないですね。

出版社はこの数字を元に、
何万部刷ろうかと算段する時代。

脱Amazonを掲げて、
每日あれこれ呟いてますが、
これだけは、すごい革命でした。

恐るべし、Amazon。

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